高校三年 三学期―3 (川島 久美子)
三年生は休みに入った。
卒業式まで、何してよう。
別にする事もないし、部屋でごろごろしてるのも。
って、言うか寮はもう出てかなきゃいけないし。
色々大変だな。
悩みは絶えません。
安奈はもう実家に荷物を送ったらしいし、冷夏も荷物をまとめて明日実家に送るらしいし、和美はとりあえず大学の方の寮に移るらしい。
皆、色々大変なんだ。
私も、荷物まとめなきゃならんのだが、色々と大変な訳だ。
それでも、のんびりと部屋で寛いでいる。
「片付け……。めんどくさ〜い!」
枕に顔を埋めそんな事を叫んでいると、部屋のドアが急に開かれ安奈の声が響いた。
「ウワッ! 久美ちゃん! まだ、荷物まとめてないの!」
「安奈。勝手にドア開けちゃ駄目なんだ〜」
「何言ってるのよ。電話したのに出ないから心配して来たのに!」
「電話? そういえば、携帯何処おいたっけ?」
「私に聞かれても知らないわよ」
安奈が少し力強い声でそう言う。
まぁ、当然といったら当然だ。だから、私は辺りを見回し携帯を探す。
呆れた様子の安奈は、右手に携帯を持ちそれを耳に当てる。
すると、何処からか着信音が――。
「音鳴らしてるけど、何処からかな?」
「う〜ん。音からすると、近くにある気がする」
「じゃあ、早く見つけてよ」
「わかったわよ。今探すから」
私はそう言い音のする方を探す。
着信音が徐々に近付く。そして、携帯が布団のしたから顔を出した。
私は携帯を手に取り電話に出る。
「見つかった」
「うん。分かってるよ。目の前に居るんだから。別に電話に出て言う事じゃないよ」
「そうだね。じゃあ、切るわ」
私はそう言って電話を切り携帯を畳んだ。
安奈もすぐ携帯をしまい、私の傍に座る。
ゆっくりと落ち着いた感じで部屋を見回す安奈は、あまりの散らかりっぷりに唖然としていた。
「ねぇ、久美ちゃん。もう、この寮から出ていかないといけないけど、少し荷物まとめなきゃ」
「わかっちゃいるんだけどね〜。どうにも片付かなくてね〜」
「それは、片付けようとしないからじゃないの?」
意外とそう言う所は鋭い安奈。
私の心を見透かした様にズバッと本心を言い当てる。
引き攣った笑いを見せた私は、「その通り」と、開き直ったように言い放ち、安奈が呆れたようにため息を漏らした。
「その通りじゃないよ。私も手伝うからさ。早く片付けすませちゃお」
「そうね。安奈がそう言うなら」
「あのね! 久美ちゃん」
「冗談よ。冗談」
怒った様子の安奈に、私は笑いながらそう言う。
すると、安奈は「もう」と小さく呟き頬を膨らした。
まるでフグの様な顔の安奈を見て、私は爆笑した。
その後、何故か和美がやってきて、「うるせぇ!」と一喝した後、私は一発殴られた。
意識は遠退き、結局この日は荷物をまとめる事なんて出来なかった。