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高校三年 冬休み―2 (倉田 恵利)

 今年の大晦日も、奴が来た。

 奴と言うのはもう毎年日課の様に大晦日にやってきて、年越しそばを食べてゆく加藤 健介の事だ。

 確かに大掃除を手伝ってくれるのはありがたい。でも、その分食費がかさむ。

 毎度の事ながら、大掃除が終った後の年越しそばを人一倍食べる。その分働いてくれればいいのだが、殆ど私とお兄ちゃんで終らせている様なものだ。

 まぁ、力仕事はお兄ちゃんより頼りに成るから、助かるけどもう少し働いて欲しい。

 お兄ちゃんはそんな事全く気にはしていない様だし、私としてもお兄ちゃんが気にしないならそれでいいかなって最近思う。

 でも、今年は――。


「それでさ、安奈ちゃん、聞いてくれよ」

「う、うん。き、聞いてるよ」

「おう。マサ! お茶くれ!」

「はいはい。わかってるって」


 って、何であんたが安奈さんと並んで座ってんのよ!

 大掃除が終わり、休憩を取る事になり健介先輩は迷わず安奈さんの隣にすわった。

 普通、彼氏のお兄ちゃんが横に座るのが当然だと、私は思うがそんな事お兄ちゃんは気にしていない。

 と、言うより少し鈍いのだ。

 今度と言う今度ばかりは、私が何とかしなくては。

 私はそう思い即座に玄関の方に向かい携帯のボタンをプッシュする。

 何度か呼び鈴が鳴り、向うから声が。


『もしもし。どうしたの?』

「由梨絵? 今、忙しい?」

『今? 別にだよ。大掃除も終ったし、今は暇かな』

「それじゃあさ、家来ない?」

『えっ? 恵利ちゃんの家に? でも、迷惑じゃない?』

「大丈夫。家にすでに迷惑な人が来てるし、由梨絵にはその人をひきつけてもらいたいわけよ」


 私がそう言うと、暫し唸り声が響いた後明るい声が聞こえる。


『うん。わかった。すぐ行くね』

「ありがとう。助かるわ」


 電話を切り、私は思わずガッツポーズをする。

 これで、お兄ちゃんと安奈さんの恋愛を邪魔する奴は消える。

 そう思うと私は自然と笑みがこぼれた。

 リビングに戻ってくると、普通に三人でお茶を飲んでいた。


「恵利もお茶飲むか?」

「ううん。私はいいや」

「そう」


 それから、暫く四人で喋った。

 私は早く由梨絵が来ないかと、時間を気にする。

 そんな時、室内にチャイムが鳴り響いた。私は由梨絵だと思い、すぐに玄関に走った。


「いらっしゃい!」


 私が玄関を開けると、そこには由梨絵ではなく和彦先輩の姿があった。


「どうも。いつも、元気だね」

「あっ、か、か、かか和彦先輩!」

「フフフフッ。びっくりした?」

「由梨絵!」


 和彦先輩の後ろからヒョコッと顔を出す由梨絵は、ドッキリ成功と、小さな声で言い私の顔を見てニコニコと笑う。


「途中でばったりあっちゃったんで、一緒に連れてきちゃいました」

「それなら、そうといってよ! ビックリするでしょ!」

「報告しちゃったら、ドッキリにならないでしょ?」


 和彦先輩の後ろに隠れながら由梨絵がそう言い、和彦先輩が少し困った様な表情を見せる。

 それに気付き、私はすぐさま和彦先輩を家に招く。


「ど、どうぞ。す、すいません。和彦先輩にため口なんて」

「いいんだよ。それに、俺の方も気にしてないし。ため口の方が俺もらくだからさ」

「えっ、で、でも」


 戸惑う私に由梨絵が悪戯っぽく笑いながら言う。


「顔真っ赤にしてる。駄目だよ。和彦先輩には彼女がいるんだから」

「し、知ってるわよ! それくらい!」

「キャッ。怒った怒った!」

「人を馬鹿にして!」


 完全に由梨絵のペースに飲み込まれた。

 二人をリビングに連れてくと、お兄ちゃんも安奈さんも驚いた様で、健介先輩にいたってはお茶を零していた。

 間違いメール番外編が遂に70話を突破しました。安奈編から様々な物語を語ってきましたが、まさか本編よりも長くなるなんて、思っても見ませんでした。

 読者の皆さん、本当にありがとうございます。あとわずかで終わりですが、最後までよろしくお願いします。

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