高校三年 クリスマスパーティー―1 (倉田 雅之)
遂に、クリスマスがやってきた。
結局、プレゼントを何にするか悩んだ末、綺麗な星のネックレスにした。
そのせいで、今回僕に予算が無く、今年のクリスマスは僕の家でパーティーをする事にしたのだ。
恵利はパーティーをする事に対し、大賛成してくれ安奈の他にも色んな人を誘おうと提案した。
もちろん、僕は反対するはずだったが、結局、恵利が反対する前に安奈にメールを送ってしまったため、それも叶わなくなっていた。
その為、今日は僕と安奈、恵利のほかに、健介と由梨絵、和彦、和美、久美子、冷夏の六名が僕の家に集まっていた。
いつもは広く感じる家もこんなにも大勢の人が集まると小さく感じる。
テーブルに並べられる料理は、全て僕の手作りで皆は料理を食べながら大騒ぎしていた。
「うめぇ〜っ! 流石はマサだ! 料理の腕だけは凄いな!」
「健介。もう少し静かに食えないのか?」
「お前、クリスマスパーティーだぞ! もう少し盛り上がろうぜ! 酒もってこい!」
「俺達は未成年だぞ」
騒ぐ健介と対照的で、少し静かに料理を口に運ぶ和彦は健介に思いっきり絡まれている。
その為、とっても迷惑そうな表情を浮かべていて、何だか少し可哀想だった。
一方、健介の彼女である由梨絵は、同学年の恵利となにやら楽しげに話しをしていて、嬉しそうに笑っていた。
安奈も、いつものメンバーと料理を摘みながら話をしていて、僕はキッチンからその様子を見つめていた。
なぜ、キッチンにいるかと言うと、まだ僕にはやる事があったからだ。
そのやる事とは、ケーキのデコレーションだった。料理を作るのに夢中になっていて、肝心のケーキのデコレーションがまだだったのだ。
その為、皆が楽しんでいる中、僕は一人でキッチンに立っているのだ。
でも、その作業もようやく終わり、僕はケーキを冷蔵庫に入れて一息ついた。
「ふ〜っ。やっと一段落ついた……」
「お疲れ様。これで、マサもパーティに参加できるね」
突然キッチンに顔を出した安奈が、笑顔で僕の方を見つめる。
「うわっ! あ、安奈!」
突然の事に、妙な声を上げて僕はイスから落っこちた。そして、、僕はそのまま頭を床にぶつけた。
鈍い音が家の中に響き、騒いでいた皆が少し静かになったのが分かる。僕は頭を擦りながら半笑いし、安奈を見て言う。
「急に出てきたからビックリしたよ」
「そんなに驚く事ないじゃない。まるで、幽霊を見た様な顔してたよ」
「そんなんじゃないよ。ただ、僕の事なんて気にしてない様だったから」
「もう。私、ずっと気にしてたよ。このままパーティー終るんじゃないかって」
少し怒った様に頬を膨らませる安奈。こんな表情を見たのは、いつ振りだろう。
何だかそれが可愛くて、僕は思わず笑ってしまった。
「フフフフッ」
「何よ! 人の顔見て笑っちゃって! もういいよ。マサなんて知らない!」
「ごめん。別にそんなつもりじゃなかったんだって!」
キッチンを出て行く安奈を僕は追いかけた。だが、キッチンを出てすぐ僕は健介に捕まった。
「マサ! やっと終ったか。よし! お前も飲むぞ!」
「ぼ、僕はいいって。それより――」
「うるせ〜! 俺の誘いを断るのか!」
「エッ! そうじゃないけど……。って、言うか酔ってるの?」
安奈の方も気になったが、何故か少し顔の赤い健介が心配になり僕はそう訊く。
だが、健介は「ガハハハハッ」と、大笑いするだけで僕の質問には答えない。
その為、僕は健介の後ろに立つ和彦の方を見る。和彦は少し呆れた様に肩を少し上げた。
僕は大笑いする健介に軽く愛想笑いして、その後ろの和彦の方へと移動する。
「ガハハハハッ! さぁ! 皆で騒ぐぞ!」
「ちょ、ちょっと、和彦! 健介、酔っ払ってるんじゃないよね?」
「俺に言われてもな。さっきからあの調子だぞ」
「ガハハハハッ! 何、コソコソはなしてるんだ!」
「や、止めろよ! 健介。重いって!」
僕と和彦の肩に腕を乗せ、体重を乗せる健介に僕はそう叫ぶ。
だが、健介は笑いながら更に体重を乗っけてくる。僕と和彦は結局健介の体を支える事は出来ず、そのまま床に押し倒された。