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高校三年 二学期―2 (川島 久美子)

 二学期になり学校では皆受験モードになっていた。

 私は別に大学に行くつもりもないし、専門学校に行くつもりも無く、就職先を探すため、何度か進路指導室に足を運んでいた。

 そして、今日も何と無く進路指導室で資料を見入っていた。


「う〜ん。どうしたものか……」


 ブツブツと独り言を言っていると、進路指導室のドアが開かれ安奈と冷夏が入ってくる。

 二人は私に気付き笑顔で歩み寄ると、声を掛けた。


「進路、考えてるの?」

「まぁね」


 安奈に私はそう答え、持っていた資料を棚に戻す。

 そんな私を見ながら冷夏が、何やら不思議そうに言う。


「久美子は、就職ですの?」

「まぁ、そうなるかな? ほら、成績よくないし」

「でも、スポーツ推薦とかはしないの?」


 安奈がそう言うが、私は別に大学なんて行く気はない。

 陸上も、高校までと決めていたから。

 だから、私は明るく笑いながら安奈に答えた。


「うん。私、大学とかって合わないと思うんだ」

「そっか。でも、どういう所に就職するの?」

「う〜ん。まだ、考え中って所かな。安奈と冷夏は進路どうするの?」


 私の質問に先に答えたのは冷夏だった。

 まぁ、私の中では冷夏も安奈もどうせ大学に行くんだろ? 何て考えがあったため、冷夏の進路を聞いて驚いた。


「ワタクシは、アメリカに行きます」

「なっ、アメリカ! 何でまた!」

「お父様が決めた仕来りで、ワタクシの家では高校を卒業と同時にアメリカに行く事になっていまして」

「さすが、お嬢様って感じね。ビックリし過ぎて腰が抜けそう」


 私はそう言いながら苦笑した。正直、マジで驚いた。

 卒業と同時にアメリカかよって、突っ込みたかった。だが、そのスケールの違いにもう、突っ込むどころじゃなくなっていたのだ。

 安奈も多少は驚いているようだったが、少し寂しそうな表情をして冷夏を見ていた。

 私もすぐに安奈がなぜそんな表情をしたのか気付き、肩を落す。そんな私と安奈を見て、冷夏は明るく振舞いながら言った。


「どうしたんですの? 二人とも落ち込んで」

「だって、高校卒業したら、あえなくなっちゃうんでしょ? アメリカいっちゃうんだから」

「そうですわね。でも、一生会えなくなる訳じゃないですのよ。一ヶ月に何回かは日本に帰って来るんですから」

「でも、寂しくなるね。あんたがアメリカ行っちゃうと」


 しんみりとした空気が流れ、辺りを静寂が包む。それと、同時に授業開始のチャイムが鳴り響いた。

 その音に、私も安奈も冷夏も同時に進路指導室の時計を睨む。時計は針がピクリとも動いておらず、私達三人はその事に初めて気付き大声で叫んだ。


「と、とと時計止まってる!」


 その声は多分、学校中に響いた。そして、私達が廊下を駆け抜ける足音も。

 急いで教室に向った私達だったが、間に合う訳も無く、遅刻と名簿につけられた。

 久し振りに思いっきり走り、とっても気持ちよかった。やっぱり、私は陸上を続けたいと心のどこかで思っているんだと、この日感じた。


 やっと、二学期に入ったわけですが、もう恋愛とか関係ないですね。殆ど進路の話しになっちゃってます。

 まぁ、それが高校三年である彼らの悩みなんですけどね。まだ、冬休み・三学期とあるんですが、結構番外編の方が本編より長くなったりするわけですよね(笑)

 笑い事じゃないんですけどね。

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