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高校三年 一学期―7 (国水 冷夏)

 和美が雅之を連れて行って数分がたった。

 未だ戻らない二人に、不安になりつつある安奈は、落ち着きが無くオドオドとしている。

 健介も少しばかり落ち着かない様子でウロウロとしていた。

 一方の和彦は、落ち着いた様子でニコヤカに笑いながらそんな二人を見ていた。


「ネェ、マサとカズちゃんちょっと、遅くない?」


 落ち着きの無い安奈が私と久美子の方を見てそう言う。私も久美子も苦笑しながら、それに同意する。

 その時、向こう側から和美と雅之が戻ってきた。その手には人数分の缶ジュースを持って。

 二人に駆け寄る安奈の後姿を見据える私の耳に、健介の声が聞こえた。


「なぁ。お前、あいつに何言ったんだ?」

「何の事だ?」


 和彦と話をしている様だった。私も何を言ったか気になってその会話に耳を傾けていた。

 惚けた口調の和彦に、少し強い口調で健介が言う。


「さっき、あいつと話してただろ?」

「そうだね。ちょっとした世間話を」

「本当かよ。世間話したくらいで、ああなるか?」


 私も健介の意見に賛成だ。ただの世間話で、あんなに毛嫌いしていた雅之とジュースを買いに行くだろうか?

 私がそう思っていると、久美子が話しかけてきた。


「あの二人、何かあったのかな?」

「さぁ? どうなんでしょう?」

「でも、これで一件落着って感じ?」

「そうですわね」


 頷き私は微笑んだ。暫くして、和美と雅之が買ってきた缶ジュースを配った。

 芝生の上で円になり座り、私達は乾杯した。そして、喫茶店の時とは正反対の明るい雰囲気で会話が盛り上がった。


「だよな。普通、間違いメールからメル友に発展しないよな」

「そうそう。大体、間違いメールに返事を送るって言うのもどうかと思うわよね」


 酔っ払ったように大笑いしながら健介と久美子がそう言う。

 それに対し、安奈が反論する。


「何よ! 元々、メル友になろうって送ったのは久美子じゃない! 面白がっちゃって」

「でも、そのおかげで、今は彼氏でしょ? 大体、あんた最初、オタク系だったらどうするのよとか騒いでたでしょ!」


 反論した安奈に、久美子が噛み付く。


「大体、私が居なきゃあんた達、付き合う事はなかったんだからね!」

「そうなんだ。それは、どうもありがとうございます」


 安奈に噛み付く久美子に、丁寧に頭を下げた雅之。そんな雅之の肩を叩き、大笑いしながら言う。


「そう、そうよ。私にもっと感謝しなさい。あなた達の愛のキューピットよ」

「わかった。わかったから、もうちょっと静かに!」

「安奈。あんたは、分かってないわ。大体――」


 鈍い音が辺りに響いた。それは、和美の一撃が久美子を直撃したのだ。

 崩れ落ちる久美子の体は芝生の上に横たわり動かなくなった。完全に気絶したのだ。


「く、久美子! 大丈夫!」


 私の呼びかけに久美子は答えず、代わりに和美が答えた。


「五月蝿い。少し黙ってろ」

「それは、ちょっとやりすぎだろ?」

「これくらいやらないと駄目なんだよ」


 健介の言葉に、和美は静かにそう答えた。

 その場は一瞬にして静まり返ったのだった。

 それから、色々な話をした。楽しくおかしな話を。

 時が止まったように話し続け、いつしか夕暮れになっていた。


「楽しい時間はあっという間ですわね。喫茶店では長く感じましたが」

「そうだね。今日は、楽しかったよ。また、こうしてみんなであえるといいネ」


 雅之が笑顔でそう言った。そして、私達女子四人は、雅之達と別れた。

 その雅之の後姿を見ながら、安奈は嬉しそうに微笑んでいた。

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