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安奈編 第二通 メル友 『倉田 雅之』

 あの間違いメールの人と一週間ほどメールのやり取りが続いた。と、言うより無理やり久美子にやらされていると、言う方が正しい。その間、お互いに自己紹介をしたため、メールをしている人の名前は分かった。


 名前は倉田くらた 雅之まさゆき。私と同じ高校二年生らしい。らしいと言うのは、相手が本当の事を言っているかわからないから。部活とかはやってないらしく、得意な科目は無いと断言していた。逆に苦手な科目は全てと、これまた断言していた。


 私の中で、倉田 雅之と言う人物がどういう人物なのかが纏められてゆく。そして、得た情報から打ち出された印象は、成績は悪く少し不気味な雰囲気を漂わせるいかにも、オタクといった印象だった。

 本人には悪いと思うけど、私の中ではそう言う印象なのだ。それでも、定期的にメールを送っていた。


「お疲れ様でした〜」

「うん。お疲れ〜」


 サッカー部の練習が終わり、後輩部員がマネージャーの私に声を掛けたので、私は優しく返事を返す。その後、部員の皆は足早に部室を去っていき、結局後片付けは私がする羽目になるのだ。

 一人でグラウンドに散らかるサッカーボールを、軽く蹴りながら私はふと雅之にメールを送っていた。


『やっと、サッカー部の練習が終ったよ。でも、私の仕事はこれから(泣) しょうがないよね。雑用がマネージャーの仕事なんだし(笑) それじゃあ、頑張ってくるよ』


 メールを送った事を忘れ、ボールを片付けているとジャージのポケットに入れた携帯が震えだす。誰からだろうと思いながら、私は携帯を見た。画面にはマサと映し出されている。ついでに、私は雅之の事をマサって呼んでいる。それは、久美子がマサって呼んだ方がいいよって押し切ったからだ。

 私は携帯を開き、雅之からのメールを見た。


『頑張れ! マネージャー!』


 こんな短いメールの内容だけど、私はなぜか嬉しかった。多分、サッカー部員からこんな風な言葉を掛けられた事も無かったし、マネージャーなんて呼ばれた事がなかったからだと思う。

 少し表情が綻ぶ私に、背後から久美子が抱きついてきた。それに、驚いた私は思わず携帯を上に投げてしまった。


「あっ、わわっ!」


 何とか携帯をキャッチした私は、振り返り久美子に少々怒りを込めて言葉を飛ばす。


「もう! 久美ちゃん! びっくりさせないでよ!」

「ごめん、ごめん。そんな怒った安奈も可愛いわよ」


 笑いながら私の頬を触る久美子には、私の怒りの込められた言葉など通じていなかった。少し呆れ気味の私に、久美子は少し離れて問いかけてくる。


「それで、さっきは何してたの? 見た感じ携帯を開いてたみたいだけど……」

「べ、別に、な、何もしてないよ」

「安奈って、分かりやすいよね。さぁ、見せなさい。どんなメールを送っちゃったわけ〜」


 焦る私に歩み寄る久美子。その手はゆっくりと私の携帯に伸び、結局携帯は久美子の手の中へと消えていった。

 そして、私の送ったメールをチェックした久美子は、私を茶化すような声で言う。


「なるほど〜。結構、いい感じでメール送ってるんじゃない」

「ち、違うわよ。ボーッとしてたら、勝手に送ってたの」

「携帯依存症ですか?」

「違います! 大体、意味分かってるの!」


 私はそう断言し、逆に久美子に問いかける。なにやら複雑そうな顔をして、久美子は考え込み、そして、私の問いの答えを言い放つ。


「わかっておりません。テヘッ」


 軽く自分の頭を叩きニッコリと笑みを見せる久美子に、一歩踏み込み言う。


「テヘッ、じゃないでしょ! 早く携帯返しなさい!」


 私は携帯を返してもらおうと右手を差し出す。でも、久美子は不適な笑みを私に向ける。私はその笑みに怯み一歩後退した。その瞬間、久美子が私に背を向け一目散に逃げ出したのだ。


「そんな簡単に返さないよ〜。返して欲しけりゃ捕まえてみろ〜」


 まるで、どこかのガキ大将の様な口調でそう言う久美子に、私は右肩を落とし半笑いを浮べるしかなかった。

 安奈編 第二通 メル友 『倉田 雅之』は、如何だったでしょう? 僕なりに今回も精一杯頑張りました。

 やっぱり、恋愛は難しいと感じております。特に女の子の気持ちなど、男の自分ではよく分からず、相変わらず梃子摺っております。

 何か指摘などあれば申し上げください。

 長くなりましたが、以上作者の独り言でした。

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