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番外編 健介と由梨絵の恋 前編

 今回は、健介と由梨絵がどうして付き合うようになったのかと言う物語を。皆様が、楽しんで頂ける様な作品になっていれば、いいと思います。

 私、鈴川すずかわ 由梨絵ゆりえは、今年高校生になったばかり。

 成績は中の中といったって普通。スポーツの方はと言うと、結構どんくさく走るのも遅ければ、持久力もない。

 そんな私だけど、スポーツを見るのは好きで、今は野球部のマネージャーをやっている。

 そして、私はここで素敵な人と出会った。



 高校に入学し、もう随分と時は経ち、すでに夏休み前。

 私はドジりながらも、何とか野球部のマネージャーを続けていた。

 ドジをしたと言っても、カゴに入れたボールを倉庫に運ぼうとして落ちているボールを踏んで転倒し全て零してしまったとか、皆が飲む麦茶を作り忘れたりとか、ちょっとした? ミスばかり。

 そんなこんなで、今日も、片付けたばかりのボールを倉庫の傍でばら撒けてしまっていた。


「はぁ〜っ。今日も、やっちゃった……。気をつけてたのに……」


 今日は、足元を気をつけるあまり前を見てなく、壁にぶつかったのだ。ボールを一人で拾っていると、倉庫の傍らで声がする。

 聞き覚えのある男の人の声と、聞き覚えのない女の人の声。

 私は何と無く興味があり、耳を澄ませる。


「お、俺と付き合って欲しい!」

「ごめん。私、暴力的な人嫌いなの」

「それなら、これから暴力振るわないから!」

「そんな事言われても、駄目なものは駄目なの……。ごめん」


 女子生徒がそういい、足音が遠ざかってゆく。立ち去ったのだろう。暫く沈黙が続き、叫び声が聞こえた。


「ぐ〜っ! な…なぜだ! 何故なんだ!」


 男子生徒の叫び声。泣いているかの様に震えた声に私は少し心配になった。

 暫く叫び声が響いた後、静まり返り足音が近付いてくる。私は焦り地面に転がるボールを拾い集めているフリをする。

 倉庫の傍らから出てきた男子生徒は、体格が大きくガッチリとしていて、顔は少しこわもてで私は少しビクついた。

 その人は先ほどまで泣いていたのか、目が薄らと充血しており、少し元気が無い様に見えた。その人は、私に気付くとそれを隠す様に顔を背け声を掛けた。


「ひ、一人でボール拾いか? 他の部員はどうしたんだ?」

「えっ。こ、これは私が片付けたのをばら撒けちゃって……」


 いきなりの事で私は少し戸惑い、とっさにそう言う。そして、私はその人が誰か気付いた。

 この人は、次期キャプテンの加藤 健介先輩だった。

 初めて健介先輩と言葉を交わした私は、その顔が少し怖くあまり顔を見る事は出来なかった。

 その後、私のばら撒いたボールを健介先輩は一緒に拾い集めてくれた。



 それからすぐ、夏休みに入った。

 夏休みに入るとすぐ、地区大会が行われた。私の高校の野球部は、弱小と言われ毎年一回戦で負けていると聞く。

 今年は何としても、一回戦を突破すると先輩達も気合を入れていた。


「言いか、相手も殆ど我々と変わらん。今回は点の取り合いになるぞ!」


 顧問の先生の言う通り、試合は点の取り合いになった。そして最終回――。

 十七対十六で、私達高校は負けていた。しかも、ツーアウトで、ランナー三塁、二塁。

 内野を越えれば、同点の大チャンスにバッターは四番の健介先輩だった。

 いつも、強気で練習も人一倍頑張っていた健介先輩は、バッターボックスの前で暫し深呼吸を繰り返していた。


「あいつなら、打てる!」

「初めて一回戦突破だ!」

「俺達の夏はまだ続くぞ!」


 三年生の先輩方は口々にそう言った。私も、健介先輩なら――そう思った。

 だが、健介先輩のバットはこの試合初めて空を切った。三振に終った――。無情にも試合終了の合図が鳴り響き、勝ちを確信していた先輩達は大粒の涙を流していた。

 それでも、一人涙を流さずひたすら微笑む人が居た。それは、健介先輩だった。


「先輩、泣かないでください! 俺が来年は必ず、この高校を甲子園に連れて行きますから!」

「ウッ…ウウッ……」


 健介先輩はひどい人だと、私は思った。悔しさとか悲しさとか、感じないのかと言いたかった。最後の打席に立って、三振したのにどうして笑っていられるのと、言いたかった。

 でも、一番悔しかったのは健介先輩だったと、私は知った。

 皆が帰った後、私は部室に携帯を忘れたのに気付き、取りに戻った。その時、部室で男の人の泣いている声が聞こえた。

 私は誰だろうと思い、部室の窓からソッと中を覗いた。そこには、悔しそうに床を叩き泣く健介先輩の姿があった。


「グッ! お…俺は……ウウッ……。俺は……」

「健介先輩……」


 私は小さく呟いた。初めてだったかも知れない、健介先輩が号泣する姿を見るのは――。

 本当に悔しそうで、さっきまでは無理に明るく振舞っていたのだとわかった。

 翌日、健介先輩は昨日の事を悔やむ様に早朝から一人練習をしていた。

 そんな先輩の姿に私は少しずつ惹かれて行った。

 どうでしたか? 今回は、由梨絵の視線でこの恋の物語を進めていますが、少々不安です。

 何だか、書いていて今までとちょっと違うなぁ、と感じる部分が多々あり、読者の方が楽しめているかとても不安です。

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