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安奈編 第三十二通 好きな人と

 あっという間に三学期になった。

 何だか、例年よりも短く感じた冬休みは、私にとってとても良い事ばかりだった。

 雅之と初詣に行けたし、長い時間を一緒に過した気がした。

 そのせいか、少し浮かれる私は自分の席に座り一人微笑んでいた。そこに、気味悪そうに登場する久美子は、


「どうしたの? 何かあった?」


と、訊いて来た。私はそんな久美子に冬休みの出来事を全て話した。


「ふ〜ん。それで、その間彼とは何かあったの?」

「別に、何にも無いよ」

「はぁ〜っ。そんな長い間一緒に居て、何も無いわけ? 駄目だわ……。絶対上手くいかないわ……」


 呆れ口調の久美子はそう言いながらガックリと肩を落とした。

 その態度に、私は少し納得がいかず反論する。


「何も無くていいの! 一緒に居られるだけで、私は嬉しいんだから」

「甘いわ。一緒に居られるだけで嬉しいだ何て……。それに、今時キス位中学生だってするんだから」


 その久美子の言葉に私は驚いた。流石に中学生でキスは無いだろうと思いながら。

 そんな事を思っていると、久美子が更に追い討ちを掛ける。


「まぁ、色んな人に告白されてる安奈ならキスの経験位あるでしょ?」

「う〜っ。無いよ……キスの経験なんて……。告白されるのは確かだけど、私が好きになったのは雅之だけだもん……」

「意外だわ。てっきり、キス位なら経験があると思ったのに」

「私、そんなに軽い女じゃないもん」


 久美子の言葉を軽く否定してため息を吐いた。今時、キスの経験が無いなんて、とショックを受ける私は、もう一度ため息を吐いた。

 そんな私を見ながら微笑む久美子は、何だか楽しんでいるように見えるが、きっと気のせいだと私は思う事にした。

 色々と考えていると、右隣の席に和美がやってきて声を掛けた。


「何悩んでるんだ? もしかして、冬休みの間にメル友と何かあったのか?」

「その逆。何も無かったんだってさ」


 和美の問い掛けに久美子が即座に答える。それに対し、和美が小さく「なーんだ」と言いため息を吐いた。

 脚を組み不思議そうな表情を見せる和美は言う。


「それで、何にもないなら何を悩んでたんだ? 私で良ければ力になるぞ」

「それがさ。安奈、この歳でキスの経験も無いんだって」


 またしても、久美子が和美の問いに答える。私は発言するタイミングを掴みそこね、ただ頷くだけだった。

 和美はその言葉を聞くなり、呆れたと首を左右に振りながら深いため息を吐き、軽く久美子を睨み付けた後優しく言う。


「それでいいんだ。安奈は今まで好きになった奴がいなかったんだろ? キスは本当に好きな人同士がするものなんだから、気にする事はないさ。それに、久美子。お前もまだキスしたことないじゃねぇか!」

「エーッ! そうだったの!」

「えへっ。ばれちゃったか」


 久美子は軽く舌を出し笑った。完全に私はからかわれていただけなのだ。ムスッとした表情を久美子に見せると、久美子は両手を合わせて謝った。

 すぐに久美子を許し、私達三人は笑った。

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