安奈編 第二十三通 沖縄の海
蒼い空と蒼い海の広がる沖縄の白い砂浜。
沖縄に来て五日。明日はいよいよ沖縄を去る日だ。
そして、今日は最後の自由時間とあって、皆かなり盛り上がっていた。少しばかり暖かいからと、海に飛び込む者や、砂浜を駆け巡る者や、様々な事を楽しむ者達を私は堤防の上に膝を立てて座りながら見ていた。海を見ていると、雅之と行ったあの海を思い出し何だか切なくなる。携帯を忘れてしまった事を、ちょっぴり後悔しため息が毀れる。
暫く空を見上げる私は、背後から迫り来る久美子と和美に気付かず、
「わっ!」
と、言う威喝に驚き少し飛び上がる。心臓がドクドクと早く脈打ち、寿命が縮んだ気がした。
「な、何? 急に」
「何じゃない! 何、辛気臭い顔してるのよ。最後の自由時間よ! もっと楽しく行こうじゃない」
「そうだ。久美子の言うとおりだ。もっと楽しく笑おうぜ」
励まそうと久美子と和美の言葉に、私は心配掛けまいとニコリと微笑む。だが、久美子も和美も更に心配そうな表情を見せる。
「安奈。無理に笑ってないか?」
「そんな事ないよ」
「本当に?」
「本当だよ」
私の目をジッと見つめる久美子と和美に圧倒され仰け反る。暫く沈黙が続き久美子が腕組みをしながら、
「じゃあ、一緒に泳ごう!」
と、言った。私も和美もありえないと言いたげな目で久美子を見る。沖縄と言えども、気温は低く泳げる状態の環境ではない。そんな中で、泳ごうななどと、思うほうがどうかしていると、私は思っていたが――。まさか、こんな身近にそんな考えを持っている者が居たとは。
呆れる私と和美は同時にため息を吐き、和美が久美子の肩をたたく。
「お前、頭大丈夫か?」
「へっ? 私はいたって正常だよ」
ニコニコ笑みを浮かべる久美子だが、私が思うに正常ではないと思う。
「それより、早く泳ぎに行くぞ安奈!」
「う〜ん。私はいいや。結構肌寒いし、まだ泳ぐ季節じゃないよ、って言うか、もう冬だよ」
そう言って苦笑する私に、久美子は更に力強く、
「冬が何よ! 沖縄の海で泳がないでどうするの! この先、来れるかも分からないのに!」
と、言うが、和美がそれに対して冷静に対処する。
「まぁ、二度と沖縄の海に来る事が出来なくても、冬には泳がんだろ。風邪引くし」
「風邪がナンボのもんじゃ! そんなの気合で何とかするんじゃ!」
「気合云々じゃなくて……」
和美の言葉を最後まで聞こうとせず、久美子は一目散に海へと走ってゆく。
暫くその光景を見守っていたが、久美子は海に足をつけてすぐに戻ってきた。表情は暗くとてもガッカリしているようだ。
「う〜っ。駄目だった……。冷たくて泳ぐ気無くなった」
「そりゃそうだろ」
和美は呆れため息を吐き、私はそんな二人を見て笑った。