表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/81

番外編パート1 告白の返事は?

 数枚の桜の花びらを、手の平に握り僕『倉田 雅之』はゆっくりと、重い口を開く。


「安奈……」

「なに?」


 僕の声に安奈は優しく答える。


「実は……伝えたい事があるんだ……」

「伝えたい事?」


 安奈は軽く首を傾げ、顎に右手の人差し指をあてる。

 僕の頭の中で整理されていた、安奈への言葉はいつの間にか真っ白になって消えていた。だから、シンプルにこう言うしかなかった。


「君が好きだ」


 暫く安奈からの返事は無く、僕は怖くて安奈の顔から目を背けていた。そんな僕の右手を安奈が握り締める。突然の事に僕はパニックに陥り、更に頭の中が真っ白になる。

 だが、僕はその目ではっきりと見た。安奈の目から零れ落ちる透明な雫を――。

 その涙が意味する事が何なのか分からなかったが、胸が痛んだ。


「ごめん!」


 僕はそう一言安奈に言い、手を振り解きその場を離れようと立ち上がる。そして、走り出すと同時に安奈の声が聞こえる。


「待って!」


 その言葉に僕の足は止まる。フラれる、そう確信し僕はゆっくり振り返った。その瞬間、安奈が僕に抱き付き涙を流しながら言う。


「やっと聞けた……。私も好きだよ……」

「エッ!?」


 フラれると確信していた僕は、その言葉に何て答えていいのか分からずにいた。反応を示さない僕に、安奈は軽く口付けをする。突然の事に驚き慌てる僕は、混乱し目を回し気を失ってしまった。

 その後、僕が目を覚ましたのは安奈の膝の上で、沢山の桜の花びらに囲まれていた。


「やっと目が覚めた?」


 僕の顔を覗きこみ、安奈が優しく微笑む。僕は安奈の微笑む顔を見て実感した。僕達は両思いなんだと。ぼんやりする僕に、心配そうな声で安奈が言う。


「どうしたの?」

「別に、何でも無いよ」

「そう? でも、キスで倒れるなんて、今度からキス出来ないね」


 悲しげな瞳をする安奈に、僕は焦りながら答える。


「そ、そんな事無いよ! さっきは、突然だったから」

「本当かな?」


 僕の事をおちょくるかの様に安奈は微笑む。僕がムスッとした表情を見せると、安奈は笑いながら言う。


「冗談だよ。そんなにムスッとしないの」

「別に〜。ムスッとしてないよ〜」


 そう言った僕に、安奈がもう一度口付けをしてくれた。今度ははっきりと覚えている。安奈とのキスの事をしっかりと――。

 『番外編パート1 告白の返事は?』は、如何だったでしょう?

 本編では語られなかった告白直後のお話でしたが……。わかってもらえたでしょうか?

 まだまだ、番外編は続きますが長々とよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ