安奈編 第十五通 彼氏?
色々あったけど、何とかショックから立ち直り数日が過ぎた。
大分、日が落ちるのも早くなり、空気も冷たくなってきた。もうすぐ冬が訪れるんだと言う風貌を漂わせている。
そして、今日は放課後から、サッカー部の練習試合があり、私はマネージャーとして走り回っていた。もちろん、後輩の桜と香澄も一生懸命働いていた。二人ともマネージャーの仕事も板につき、最初はあんまり話してくれなかった香澄も、今は積極的に話しかけてくれる。私としてはとても嬉しい事だった。
練習試合が終った時には、既に辺りは真っ暗になり、随分と肌寒くなっていた。ジャージを着ているとは言え、中々その寒さはこたえた。その寒さに耐えつつも、私はサッカー部の後片付けをしながら、雅之にメールを送った。
『うう〜っ。今日は疲れたよ〜(泣) 何で練習試合なんかあるのよ! でも、明日は休みだし、ゆっくり出来そう(笑)マサは、明日どう過ごす?』
メールを送って暫く経ち、私のポケットの中で携帯が震える。雅之からの返事が届いていた。私は作業を中断し、雅之からのメールを読む。
『実は明日文化祭で、今日は一人で居残りです(泣) 早く帰りたいよ〜(泣)』
そっか、文化祭なんだぁと、思いながら私はすぐに返事を送る。
『明日は文化祭なんだ。いいな♪ でも、何で一人で居残りなの? 何か悪い事でもしたの?』
メールを送った後、すぐに返事が返ってくると思い、暫く待っていたが中々返事が返ってこないため、私はとりあえず片づけを再開した。いつまでも休んでいると、桜や香澄に悪いと思ったからだ。片付けを再開して暫くした後、携帯が震えた。
『別に悪い事した訳じゃないよ(泣) ジャンケンに負けて、それで居残り……(泣) 他にも残ってる人が居たけど、皆先に帰って結局一人……』
メールを見て雅之らしいと思い、クスクスと笑っていると背後から桜の声が響いた。
「安奈先輩、携帯見ながら何ニヤニヤしてるんですか?」
「うわっ! ななな、何!」
殆ど不意打ちに近い感じで声を掛けられた私は、驚きのあまり声が裏返り慌てふためく。そんな私を見て香澄が言う。
「そんな事してると、怪しい人みたいですよ」
「そ、そんな事無いよ! ぜ、全然怪しくないよ」
精一杯笑いながらごまかす私に、疑いの視線を送る桜と香澄は何かを閃いたのか、口元に笑みを浮かべ言う。
「もしかして〜、彼氏ですか?」
「ち、ちちち違うよ! か、かかか彼氏なんかじゃないよ!」
「顔が真っ赤ですよ。安奈先輩」
「も〜う! 違うったら、違うの!」
桜と香澄の二人にからかわれ、私の顔は真っ赤に染まり、体中が熱くなった。そんな私を見て、桜と香澄は大爆笑する。
「アハハハハッ。安奈先輩、嘘つくの下手なんですね」
「大丈夫ですよ。私達、誰にも言いませんから」
「だ、だから、彼氏じゃないって!」
「まぁまぁ、大丈夫ですよ。私達、結構口堅いですから」
そう言うと桜と香澄は後片付けを再開する。そんな二人を見ながら私は頬を膨らました。でも、すぐに雅之に返事を送ろうと携帯を見て笑みを浮かべた。
『大変だね……(汗) それにしても、無責任なクラスだね(笑) 明日は暇だし、マサの学校の文化祭見に行ってみようかな?』
少し雅之の学校の文化祭に興味のあった私は、そうメールを送ったけど、本当は雅之に会いたかったからそうメールを送ったのだ。その後、暫く経って目メールが来なかったため、私は明日、雅之に会いに行こうと決意した。いきなり行ってビックリさせようと。