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安奈編 第十通 大騒ぎの昼休み

 九月はあっと言う間に過ぎ、10月に入った。相変わらず、雅之とは発展の無いままメールだけが続いている。こんな発展の無い私と雅之のメールのやり取りに、久美子と和美は少々呆れ始めていた。


「ねぇ、安奈さ。まだ、そいつとメールやってんのか?」

「うん。そうだよ。どうして?」

「よく続くよな。私だったら、一日で終わるかな」

「大丈夫、カズちゃんだって、マサとだったら続くよ」


 笑いながらそう言うと、和美は少し呆れた様な表情を見せる。昼休みとあって教室は結構静まり返り、私と和美と他数人を除いては皆昼食を買いに行っている。私は弁当を自分で作っている為、昼食を買いに行く事は無いし、和美は久美子をパシリにしているため昼食は買いに行かない。そのため、久美子が戻ってくるのをずっと待っているのだ。


「遅いな……」

「そうだね。どうしたんだろう」


 私は携帯を右手で触りながら和美にあいづちをうつ。その後、沈黙が続き私は携帯を開いた。それに対し、和美が不思議そうに声を掛ける。


「どうしたんだ?」

「遅いからメール送るの」

「はぁ? メールって、下の購買所に行っただけじゃん。メールしなくてもその内戻ってくるって」

「エッ? 購買所? 遅いってマサからのメールじゃないの?」

「違うわよ! 何で私が安奈のメル友の返事が遅いなんて心配するのよ! 久美子のことよ、久美子の」


 そういわれ、私は照れ隠す様に笑った。その直後、廊下を駆け抜ける足音と共に久美子が騒ぎながら教室に突っ込んでくる。そして、教卓にぶつかり、教卓と共に大きな物音を轟かせ倒れこんだ。私も和美もあまりにも凄まじい光景に、口を開けたまま暫し呆然としていた。


「ウウッ……。た…大変よ……。大変……」


 教卓とぶつかった痛みに耐えながら、久美子が私と和美にそう言う。どこか打ち所が悪かったのか、凄く掠れた声で表情も苦痛で歪んでいた。きっと、教卓の角に何処かしらをぶつけたのだと、私は推測する。

 そんな状況でも、久美子は言葉を続ける。


「大変なのよ!」

「大変大変って、あんた昼食はどうしたんだ!」

「そんな事より、大変なんだってば!」

「私にとっては、あんたが昼食買って来なかった事が大変なんだよ!」


 お互いに言い合う久美子と和美では、全く話がかみ合わないと思った私は、取り合えず、二人を落ち着かせる事に。大分時間が掛かったが、何とか久美子と和美の二人を落ち着かせた私は、久美子の話を聞く事にした。


「それで、久美ちゃん何が大変なの?」

「これで、くだらない事だったら、どうなるか分かってるだろうな!」


 久美子と向かい合わせに座る和美が、指の骨を鳴らしながら眉間にシワを寄せる。女の子とは思えぬ表情に、私は少し表情を引き攣らせていたが、久美子はそんな事はお構いなしに話をする。


「振られたのよ!」

「振られたって、お前告白する相手いないだろ」


 久美子の言葉に即座に対応する和美。その言葉に少しムスッとする久美子は、上目遣いで和美を睨む。何やら、険悪な雰囲気の漂うなか、二人の間に座る私が苦笑いを浮かべながら、訊く。


「振られたって、久美ちゃんじゃないよね」

「当たり前! 自分が振られて何で、ワザワザ騒ぎ立てなきゃいけないのよ! 振られたのは……」

「振られたのは?」


 何やら、もったいぶる久美子。まるで、とあるクイズ番組の司会の様だ。かなり間を空ける久美子に、遂に和美がキレた。机をなぎ倒し勢いよく立ち上がり久美子に怒鳴り込む。


「もったいぶってんじゃねぇ! 大体、そんなに間を置くもんじゃネェーだろ! さっさと話し済ませて昼食買って来い!」


 その声に教室中が凍りつき、クラスに居た生徒は皆こっちを見ながら引き攣った表情を見せていた。流石に私も驚いたが、よく考えたら和美は結局、早く昼食が食べたいだけの様な気がする。多分、そう思ったのは私だけかもしれないけど……。

 息を荒げる和美に対し、いたって落ち着いた様子の久美子が、なぎ倒された机を元に戻してゆっくりと静かに言う。


「実は、振られたのはあの国水 冷夏なのよ」


 先程和美が行った行動など、無かった事の様に処理した久美子はサラッとした口ぶりでそう言い、どうだと言わんばかりに胸を張る。流石の和美もこれには、怒りを通り越し呆れて笑うしかなかった様だ。

 そんな私達の話に耳を傾けていたクラスの生徒達は、その言葉を聞き同様が隠せなかったのか少しずつだがざわめきだす。確かに、この高校ではマドンナ的存在だった冷夏が、振られたとなれば男子は黙っちゃいないだろうし、女子からも結構な支持があるため、その話は瞬く間に学校中に知れ渡った。


「でも、冷夏の目にとまるほどの男子生徒なんて、この高校に居たっけ?」

「さぁな? 私はこの高校の男子にゃ興味ねぇ〜からな」


 サラッと本音を口走り首を傾げる私と、全く興味が無いと言った態度で腕組みをする和美。私も和美もこの高校の男子生徒の事なんて、全くといって知らない。和美にいたっては、クラスの男子の名前すら覚えてない始末。和美いわく、「名前を覚えて欲しいなら、それ相応の態度を示せ」とか、私には全く理解できない言葉を並べていた。

 そんな私と和美に対し、久美子が不適に笑いを漏らす。きっと、何らかの情報がまだ手の内に残っているのだろう。久美子は、私や和美と違いこの高校のカッコいい男子生徒とか、色々と調べまわっており、その情報網は蜘蛛の巣張りの凄さだとか。


「フフフフフッ。私の情報だと、国水 冷夏を振ったのは、二年二組桜田さくらだ 博隆ひろたか。今学期転入してきたイケメンよ。身長184cm、体重65kg。趣味はサッカー。前の高校ではエースストライカーだったとか。それから……」


 その後も、調べ上げられた久美子の情報は止まる事無く、私も和美も「ヘェ〜ッ」と、あいづちをうつ事しか出来なかった。


 随分と、更新が遅れてしまいました。

 毎回毎回、更新が遅れてしまい、すみません。最近、全く執筆が進みません。何とか努力しているのですが、何か物足りないと言った感じで、中々集中できない感じです。

 暫く、更新が遅れることがあると思いますが、努力して早く更新できるように頑張ります。

 本当に申し訳ありません。

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