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安奈編 第九通 二学期突入

 結構充実した夏休みが終わり、遂に二学期に突入した。

 いつもの様に身支度を済ませ、部屋を出た私は久美子と挨拶を交わす。


「おはよう、久美ちゃん」

「おっはよ〜ッ!」

「相変わらず、元気一杯だね」


 そう言うと、久美子は白い歯を見せ笑う。陸上部は夏休み中、殆ど練習だったらしく、久美子の肌は少し小麦色に焼けていた。そのせいもあって、白い歯が更に白く見えた。


「凄い、日焼けしたね」

「そうなのよ。やっぱり、今年の紫外線は強かった……」

「そうなのかな?」

「あ〜っ、安奈が羨ましいわ。そんな白くて滑々の肌」


 私の腕を触りながら、自分の肌と比較する久美子に苦笑する。部屋の前で立ち話をしている私と久美子に、背後から少々嫌味交じりな声がする。


「あなた達、こんな所で立ち話しないでくれない? 通行の邪魔よ」


 振り返ると、数人の女子生徒を従えた女子生徒が居る。髪は金髪でカールの掛かった感じで、物凄く堂々とした態度。それに、久美子が反発するように発言する。


「あら、どうして冷夏が、この寮にいるのかしら? 確か、実家から豪華なリムジンで登校するんじゃなかったのかしら?」


 彼女は国水くにみず 冷夏れいか。結構、大きな会社の社長の娘さんだとか、私は詳しくは知らない。あんまり、仲も良くないし、どちらかと言えば、冷夏に敵視されてる感がある。

 男子生徒から物凄い人気があり、何度か告白されてる場面を見かける。でも、その結果は全て惨敗に終わっているとか。とにかく、あんまり関らないようにしている。

 久美子の言葉に冷夏の後に集まる女子生徒達が反発しようとするが、それを冷夏が抑えた。そして、軽蔑するような目付きで私達を見ながら、嫌味な声で言う。


「私があなた方と同じ寮に住んでると思いまして?」

「現に今ここに居るじゃない」

「私がここに来たのには目的がありましてよ。ホホホホホッ」


 甲高い笑い声が廊下中に響き渡り、「ごめんあそばせ」と、言った後私と久美子の間を強引に突き進んでいった。まるで嵐の様だった。私も久美子も暫くポカーンとして動く事が出来なかった。


 その後、同じ制服を着た生徒が大勢歩く歩道を久美子と一緒に歩いていた。皆、同じ寮から登校するので、学校まで同じ制服の生徒ばかりが歩いている。


「久々の学校だ〜っ!」

「久々って、久美ちゃんは殆ど部活で学校行ってたでしょ?」

「まぁ、そうだけど、制服で登校するのは久し振りだな」


 そう言いながらはしゃぐ久美子を見ていると、何だか私もはしゃぎたくなった。けど、恥かしかったのではしゃぐのだけは我慢した。そんなこんなで、ようやく学校に着いた私と久美子は、自分の席に座り暫くお喋りを続けた。そこに、少し元気の無い和美がやってきた。


「おはよう、カズちゃん」

「おはよう、安奈に久美子……」


 やはり、元気の無い和美。いつもハキハキとしている和美が、こうも元気がないととても不気味で、少し怖かった。私も久美子も初めは少しビビッていたけど、やっぱり和美の事が心配に成り理由を聞くことに。


「ねぇ、カズちゃん。何かあったの?」

「昨日、眠れなくてさ……」

「眠れないって、遠足前の小学生じゃあるまいし」


 和美の言葉に冗談交じりでそう言った久美子は、笑いながら和美の肩を叩く。いつもなら、何らかの反撃をする和美だが、今日は反撃すら見せずにそのまま机にうつ伏せになる。流石に、久美子もこれには焦りを見せる。


「まずいって、絶対病気だ! か、かかか和美が!?」

「お、落ち着いて、久美ちゃん」

「こ、ここここれが、落ち着いていられますか!?」


 混乱して暴れまわる久美子を必死で抑える私だが、なんだかんだ言っても現役陸上部の久美子の力を押さえる事等出来ない。そんな久美子に今まで机にうつ伏せになっていた和美の一撃が決まった。

 その瞬間、辺りに鈍い音が響き、急に教室内が静まり返る。もちろん、教室に居る生徒の視線は全てこっちに集まり、私はとても恥かしくなった。一撃を浴びた久美子は頭を押さえて蹲り、うなっている。そんな久美子に、和美が一言言う。


「私は、眠い。静かに寝かせてくれ。ついでに、今度眠りを妨げてみろ……」


 和美はそう言って教室中を見渡す。教室に居る生徒に緊張が走り、和美が更に言葉を続ける。


「ただじゃおかねぇ〜からな」


 その後、和美は机にうつ伏せになり眠りに付き、久美子は頭を押さえたまま一言言う。


「うう〜ッ。頭痛が……。これは、早退するしかないです」

「早退って、頭を引っ叩かれただけじゃない。少ししたら治るって」

「安奈。あんたって、意外と冷たいのね……」

「それじゃあ、保健室に行こうか?」

「うん。お願いするよ……」


 私はうな垂れる久美子を保健室に連れて行き、戻ってきたときには被害者が増えていた。

 何だかんだで安奈編が第九通まで……。番外編なのに、まだまだ終わりそうに無い安奈編……。読者の方はどんな風に思ってるのか心配です。もしかすると、もう飽きてたりするんですよね……。

 それでも、頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。

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