第八十三話 噂を信じるな
薪たちが学校に行くようになってから数日、籐下の口からではなく『眞匏祗』の存在を耳にした。その話になればおのずと穂琥が動揺する。
「うん~・・・そういうの・・・いたら面白いかもね・・・・?」
「え~、でも結構マジでいるらしいよ?」
戸惑い困惑する穂琥の姿をみて薪は小さく笑う。というより嘲笑する。そんな薪に獅場が声を掛けてきた。
「おう、薪!あの『魔法使い』の話聞いたか?」
「あ?あぁ~、最近噂している奴だろ?」
「そうそう。なんかスゲー刀とか出せるらしいぜ?どう思う?」
「どうって・・・魔法使い?くだらない虚像だろう?」
「ん~、薪ならそういうと思ったけどさ!」
薪と獅場が話を進める。その様子を見た穂琥と籐下は目を丸くした。薪は虚像だといったが、それでは嘘になってしまう。
獅場との話を終えた薪に穂琥と籐下がそうっと駆け寄る。そして周囲の状況を見ながら薪に二人で耳打ちをする。
「嘘・・・ついたよね・・・?」
「今のは明らか嘘だよね・・・?」
薪はそれに対し面倒くさそうに顔を歪める。
「嘘はついてないって。オレらは魔法使いじゃないし。『眞匏祗』だから」
「「あ~~~~」」
声を合わせる穂琥と籐下。ここまではっきりと否定していいものか。しかし逆にここで薪が肯定してもそれはそれで変な誤解を招きそうな気もするが。
「さて。じゃぁそろそろ本格的に動きますかねぇ」
「お、やるのか、マジバトル!」
薪は籐下のその言葉に少しだけ嬉しそうに笑うだけだった。