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眞匏祗’  作者: ノノギ
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第十五話 大きな門の向こうにあるもの

 こんなに大きな門、見たことない。


 目の前のそれを見て穂琥にはそれしかいえなかった。しゃがれた声で老婆、門番は不気味に笑う。


「ふっふっ。以前来た者もそのようなことを言っておったなぁ」

「以前、さっきもそう仰っていましたけどここには他にも人がいらっしゃっているんですか?」


穂琥の問いに門番は肩を揺らしてくっくっと笑った。ここに来るものは皆『人』とは言わない。穂琥はそれを聞いてはっとして頭を抱えた。また薪に怒られる。


―こんなに大きな門は他に存在しないだろう


門番が急にそんな事を言った。穂琥が首を傾げると門番は前回ここに来たものがそう言ったと伝えた。


「ここは何なのですか?」

「門、さ」


それはわかるのだけれど。知りたいのは何の砦となっているのかということ。


「果て無き力を手に入れんとする者、この門を潜るが良い。さすればその果て無き力を授けよう」


門番の声が不気味に響く。過去にこの門の前に来たものの数は忘れた。しかし潜っていった者の数ならしかと記憶している。


「わずかに2祇だ」


その数に穂琥は身を引く。数多くの眞匏祗がここを訪れたことはわかった。しかし通ることができたのはその数。ならば・・・。


「私には無理ね」


穂琥は視線をとして静かに笑う。


「弱いからか?護って貰っておるだけだからか?そんなものは関係などありはしないさ」


門番の声が強く響いた。


「皆一様にして持っておらんかっただけのこと。とある、大切な『あるもの』が」


門番は低く声を唸らせる。


「ぬしにはあるか?」

「ある・・・もの?」


それが何か穂琥には知れない。以前来たものは少し悩んだ後に自信ありげにそれを自分は持っていると言って潜って行ったそうだ。


 自分が持っているあるものに、自分で気づくことが出来たとき、この門を開けることが出来るという。穂琥は悩んだ。おそらく今の自分にそれは無い。いや、あるのかもしれないけれどそれが何であるかを知ることが出来ない。ならばここを無理に通ろうとする意味は無い。では、穂琥のするべき事は一つだ。


「門番様。お願いです。ここから出してください。今の状況ではいくら考えても私には無理です。ですから一度出してください。そしてその答えがわかったとき、再びここにお招きください」

「くっくっくっ。面白いなぁ。良いだろう、招いてやろう。ただし我を呼ぶぬしの声がこの耳に届けばな」

「きっと届かせてみせます」


門番は鼻を鳴らすように笑う。そして目を閉じることを促す。穂琥はそっと目を閉じた。その時脳裏にふっと何かが過ぎって行ったような気がしたが急に周囲の感覚が変わって体が急に揺さぶられたので驚いて目を開けた。


「穂琥!」


目の前には今までに見たこともないくらい真っ青な顔をした薪の顔があったのでそれに驚いた。


「薪・・・?」

「穂琥・・・?大丈夫か? あまり心配かけさせんなよ・・・」


心底ほっとしたように薪は穂琥から離れた。


「薪、顔真っ青だよ?大丈夫?」

「はあ~・・・。誰のせいだと思ってんだよ・・・。急に眞稀すら感じなくなったから驚いてお前を見たらまるで死んでいるみたいだったから・・・焦ったよ・・・」


薪の心底心配している顔を見てなんとなく可笑しくなってしまったことを恥じながら穂琥は大丈夫だということと心配をかけた謝罪と礼を述べた。肩を落としてため息をつく薪の顔色が大分元に戻ったので安心した。


 ともかく、身体の状態はとてもいいと言うことで修行に戻ることにした。薪は少し心配そうだったけれど大丈夫だということに負けて修行に移った。


 事もあろうか、あれほど出来なかった魂石探しを意図も簡単にやってのけてしまった。その様子に薪は物凄く驚いていた。穂琥自身も驚く。先ほどあった『出来事』が原因だろうか。


 次のステップも案外簡単にできてしまい、薪が不思議がっているけれど何より驚いているのは穂琥自身のため薪のほうもどうしたものか悩んでいるようだった。けれどもできたことに変わりは無いわけで次のステップへと移行する。


 今度はついに攻撃に移る。身体に何らかの支障をきたす技。ただし致命傷を与えてしまっては死んでしまうのである程度動けなくなる程度のもの。


 さっきまでとは打って変わってまるっきりできなくなってしまった穂琥。力を入れすぎると壊してしまうのでそれをしないために力を抑えるけれどそれでは何もできないので少し力を入れるとそのダミーは簡単に壊れてしまった。


「ん・・・。ゴメン、薪。少し休憩していい・・・?」

「いいよ」


予想外にすんなり休憩許可が出たので少し拍子抜け。しかしやっている技が技だし、先ほど穂琥が目を激痛で傷めているので薪もあまり酷使させられないのだろう。


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