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第94話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑭メロンパンとにゃんこキック後編 愛しい日々》

提灯の灯りに包まれた、新宿・花園神社の酉の市。

威勢のいい掛け声と屋台の匂い。懐かしい風景の中で、41はふと、遠い記憶に触れる。

賑やかな夜に訪れる、思いがけない出会い。

そして、仲間たちと過ごす、かけがえのない時間。

いつもと変わらないようで、少しだけ違う夜。

その温かな灯りの向こうに、眩しい何かが待っている。

第94話《原初の粒vs新型の神編 最終章 神話を描け⑭メロンパンとにゃんこキック後編 愛しい日々》


198X年11月。


ここは新宿。

花園神社は酉の市を迎え大勢の参拝客で賑わっていた。


商売繁盛、開運の神様。


新宿は元々は宿場町。


今の新宿になったのは関東大震災がきっかけ。

地盤が強かったため、下町に比べ被害が小さかった。

そのため被災した商人たちが新宿に集まり商売を始めた。


そして戦争。

東京は大空襲を受ける。


キラキラと空から落ちてくる焼夷弾。

それは地上につくと大きな火を生み出す。


当時、木造の家屋が大半だった東京は、瞬く間に火の海に飲まれていった。


そして終戦。

戦後、新宿には闇市やバラック街が立ち並ぶ。

そこから高度経済成長とともに、現在の新宿は出来上がった。


ーーーー


そんな話をしながら五人の若者が本殿に向かって歩いていた。41。ケイ。サル。ジュン。エミ。


そして41のアタマの上にはメロンパンをかぶった、かみかみがしがみついている。


ーーーー



オレ「そーなんだってさー。叔父さんやお祖母ちゃんたちが言ってた。お米、手に入れるために歩いて新宿まで来たって。」


ケイ「オレは地元だし、ガキの頃から知ってるけど、変わらないのはここくらいだよ。酉の市は毎年、親に連れられてきてたな。」


サル「羽子板市や、ほおずき市も行くよな。ほおずき、くりぬいてさ。」


オレ「あー!やったやった。楊子で果肉ほじくり出して遊ぶんだよな。」


ジュン「何それ?」


オレ「ほおずきを皮だけにしてさ。口の中で噛むと鳴るんだよ《ブギュー》とか。」


ケイ「(*≧∀≦)アハハハ。あんなんで喜んでたんだもんなw」


ジュン「へー。ジュピタンやってみてよ。」


オレ「やだよ。オレはもう大人だもん。近所の子供には教えてるよ。」


エミ「すごいですね。アタシ田舎だったから、こんな大きなお祭り初めて!」


サル「エミ。みんなが持ってるの何だかわかるか?」


エミ「気になってたんですよ。スゴく大きいの担いでいた人もいたし。アレ何ですか?」


サル「熊手だよ。掻くやつ。わかるだろ?」


ケイ「あれで福を掻きとるんだよ。そういう意味。」


エミ「なるほど!」


オレ「酉の市は元々収穫祭だったらしいからな。東京の祭りは江戸から続いてる。縁起物とか語呂合わせみたいの多い。その中から《粋》ってのが生まれてる。」


エミ「その《イキ》って言うのが、よくわからないんですよねー。」


ジュン「ジュピタンはこだわるよねー。」


オレ「まあね。美意識っつーか価値観かな。そう育てられたから。だからって真似する必要ないし、人には強要しない。」


ケイ「してるじゃねーか。ケンカするときw」


サル「それが原因なの多いよなw」


オレ「( ̄^ ̄)知りません。」


かみかみ「( ̄^ ̄)にゃー」


オレがそっぽ向いたら、かみかみも合わせてくれた。


ケイ「(*≧∀≦)何こいつら。息あってるし。」


オレ「(*≧ω≦)《粋》って言った?」


ケイ「言ってねえよ。いちいちめんどくせえなー。」


ーー


五人と一匹が大きな赤い鳥居をくぐる。


41が鳥居を指差して立ち止まる。


オレ「あ、ここ酉の市!」


ジュン「は?」


ケイ「( ・`ω・´)おい。それ去年もやってたよな。」


サル「毎年やる決まりか?」


オレ「(*≧ω≦)ほら、エミちゃんという新人も入ったので…。」


ジュン「何なの?」


ケイ「つまんねえダジャレだよ。《鳥居の位地》と《酉の市》ってかけてるだけ。そーいえば、去年、別の誰かに解説したのもオレだったよなーw」


オレ「(´・ω・`; )あれ?そうでしたっけ?」


ジュン「( ・`ω・´)去年?別の誰かって前の女?」


オレ「ただのガールフレンドだよー。ヤクの事教えてない一般人だってば。」


サル「(*≧∀≦)41自爆w」


ジュン「まあいいわ。でもそのダジャレつまんないからやめた方がいいよw」


オレ「というわけで先に進もう!」


ケイ「そーだ。このバカかまってる時間もったいない。」


オレ「( ・`ω・´)にゃんだとー!」


サル「(*≧∀≦)/いいから、いいからw」


ーーーー


境内は出店が立ち並ぶ。


定番の焼きそば、たこ焼き、広島風お好み焼き、おでん、チョコバナナ、りんご飴にイチゴ飴。


鮎の塩焼きと海老の塩焼きの香りが食欲をそそる。


祭りに来た人たちは、季節外れの蛾のように、生ぬるい白熱電灯の灯りへと誘い込まれていく。


ーーーー


熊手商の露店から響く、威勢のいい手締めの音が鳴り響いている。


光、音、匂い。


《どん!》

後ろから何かぶつかった。


「あ、すいませーん。ペコ」

子供連れの夫婦。子供がはしゃいでんだろ。


オレ「あー。いえいえ。」


人混みでちょっと当たったくらいで怒るやつなんていねえよ。

だって、ここに来てる人たちの《楽しい》や《嬉しい》がぶつかってるだけだもん。


お祭りは《楽しい》《嬉しい》の押しくら饅頭だ。


ーー


オレは再びLSDの幻想の世界に浸る。


提灯の灯りは暖かく滲む。

優しい熱に身体が包まれていくようだ。


子供の頃から見慣れた風景。


ぼんやりした記憶。


母親と手を繋いで歩いている子供の姿が自分と重なりあう。


オレ《…一度だけだったけど、三人で来たんだ。一度だけだったけど。あの時初めて食べたりんご飴、美味しかったよな。手も口もベタベタになってさ…。》


胸の奥を愛しさと切なさが締め付ける。

セピアの記憶は、油絵を描くようにペタペタとカラフルな色が重ねられ、混ざり合っていく。


オレ《…そうか。思い出は『色』だ。色を重ねて心は出来ていくんだな。今のオレはどんな色なんだろ》


ーー《ガリー》

間違いない。これは、かみかみの爪!


オレ「(>_<")いって!」


かみかみ「にゃー」《また意識飛んでたお》


オレ「そっか。浸ってたw」


かみかみ「にゃん」《迷子なるお》


オレ「( ・`ω・´)ならねーよ」


ケイ「オイ、41。熊手買うのか?」


オレ「ああ、もちろん!その前にメロンパン売ってねえかな?」


ジュン「屋台にメロンパンー?見たことないわよ。」


《ガリー》

また引っ掻かれた。


オレ「(>_<")いって!かみかみ、引っ掻くなってば!」


かみかみ「にゃー」

《一歩だけ下がると左側に見えるお。あれ、ねこにゃんたちだ。》


オレ「一歩?」


オレは、かみかみに言われた通り、後ろに一歩だけ下がった。


そこにはーー。


オレ「あれ?…メロンパンの看板?キッチンカーの屋台か?」


オレ「ケイ!メロンパンだ!あそこ!」


オレは真っ直ぐメロンパンの看板を指差す。


ケイ「はあ?たこ焼き屋じゃねえか。LSDの幻覚だろ。」


オレ「違うよ。オレの前に来て見てみろ。」


ケイ「ハイハイ。わかった、わかった。」


ケイがオレの前に立つ。


ケイ「げー!メロンパン屋台がある!」


ジュン「また幻覚に巻き込まれたの?」


もちろんオレとケイ以外見えてない。


オレ「いいから、オレの後に真っ直ぐ並んでついてこいってば。ずれると見えないみたいだ。前へならえ!いちにっ!」


三人が41の後ろに並ぶ。


サル「…見えた。」


ジュン「どうなってるの?」


エミ「バターの匂いまでする。」


《いちにっ!いちにっ!》


オレたちはムカデ競争のように縦に並んで、メロンパンの店に向かった。


不思議な事に店の前では横に並べた。

一般の客も並んでメロンパンを買っている。


ーー


オレ「あ!」


そこには六本木で知り合った二人がいた。

ヨーニャとアムリアと名乗った男女だ。


他には、初めて見る三人の男と二人の女もいる。


「ねこた」「ぴょこた」のハチマキを巻いた二人の男。


黒を基調としたモノトーンのスーツの男性。


銀髪のゴスロリの少女。


紫と黄色に分けた髪の毛の美女。

ーーそれはケイを通り魔から救った人物だった。


ケイ「あー!命の恩人っ!助けてくれてありがとございましたー!何でここにいるんすか?」


ソノリス「あら偶然。お怪我なかったですか?私ここで働いてるんですよー。」


ケイ「運命!」


オレ「マジかよ。いや…。」


ジュン「えー。あなたたちパン屋さんだったの?」


そこにいたのは、にゃんこ世界の住人たち。


ヨーニャとアムリアはすでに会っている。


今回、ねこにゃんとぴょこにゃんはエスネコに変身せず、それぞれヒューマンボディを作り上げ人間界に来ていた。


夢の悪魔ラミーノ、色の悪魔クロノア、音の悪魔ソノリスの三人も、活躍のご褒美として連れてきてもらえたのである。


オレとかみかみだけは、すぐに事情を察した。


オレは近づいて小声で話しかける。


ーー


オレ「まさか、ねこにゃん?そっちはぴょこにゃん?」


ねこにゃん「( ̄□ ̄;)!!はっ!見破られたにゃ。」


ぴょこにゃん「いえ、猫違いです。ワタシは、ただの通りすがりのぴょこにゃんです。」


ジュン「え?ジュピタンは、そっちの人たちも知り合いなの?」


オレ《うわ、めんどくせえ!》


オレ「知り合いっつーか。説明しにくい。ねこにゃん、これどうすればいいんだよ?」


ねこにゃん「( ̄^ ̄)ねこたです。」


ぴょこにゃん「( ̄^ ̄)ぴょこたです。」


オレ《(´・ω・`; )こいつら無理だ…。ノリで押し通そう。》


オレ「あっそー。つかさ、どうやってここに店出せたの?かみかみに一歩だけ下がれって言われなきゃ、見えなかったけど。」


ねこにゃん「空間拡張したにゃん。でも隣の店からは見えにゃい。たこ焼き屋とお好み焼きの間にあるけどにゃ。」


ぴょこにゃん「並びの店から1センチずつもらったにょさ。どうせ、この人混みにゃ。気づいたヤツだけ入れる。これも都市伝説なるかもにゃw」


オレ「見えた人だけは買えるってわけか。確かに一般のお客さんも買ってるもんなー。」


オレたちの他にもお客さんがいた。

次々とメロンパンが売れている。

にゃんこ世界からきたモグリのメロンパン屋さん、


エミ「この生クリーム入りメロンパン美味しそうですよ!」


ジュン「チョコメロンパンもあるー!」


アムリア「(*≧ω≦)みんな、久しぶりね。元気してた?どれも美味しいわよ。」


ラミーノ「41様。アタシだれだかわかります?」


銀髪のゴスロリ少女。

夢の悪魔ラミーノが問いかける。


オレ「(´・ω・`; )しーっ!《様》はやめろ。ラミーノだろ?わかるから《さん》にして。」


ラミーノ「このカッコどうですか?似合う?」


ラミーノがくるんと回る。


《キュート》という名の水飛沫が上がったようだ。


オレ「だから、可愛いってば!」


オレ《ジュンに追求されたくないー。みんなに説明しにくいー。》


サル「41。誰だよ。紹介しろよ。」


サルはラミーノの《水飛沫》をアタマからかぶされたようだ。

目がハートになっている。


オレ「えーと。この子は…。ラミちゃん!こいつはサルね。」


サル「ラミちゃん。外人さんかな?ハウアーユー?」


ラミーノ「日本語でいいですよw」


オレ《サルがバカでよかった。ナイス。サル。》


ーー


ねこにゃん「おりたちが一番だったにゃん。41。おまい、メロンパンの罠に引っ掛かったにゃんよ。」


オレ「罠ぁ? 一番て?」


ぴょこにゃん「誰が一番早く、41に接触するか競争してたにゃん。このお祭りには、おまいに会いたい、にゃんこシティの住人たちも来てるにゃん。」


オレ「どして?」

オレ《(*≧ω≦)さっぱりわからない!》


ねこにゃん「(*≧∀≦)どうしてもにゃw」


ぴょこにゃん「みんなお前が大好きだからにゃ。それでいいにゃろ。」


オレ「(*≧ω≦)まあいっか。ねえ、メロンパンちょうだい。適当につめて。いっぱいね!」


アムリア「ジュンちゃんたち、もう食べてるわよ。」


ジュンは生クリーム入りメロンパンを頬張っていた。


エミ「さくさくでふわふわ。生クリームの甘さもちょうどいい。美味しいこれ!」


ジュン「バターとチョコの香りがヤバイ。太っても食べちゃう!」


オレ「じゃあてきとーに。一人三個だとして…。あ、かみかみもいるか。20個買うよ。」


ねこにゃん「へいまいど!一万円になります。」


オレ「高っ!まけてよ。」


ぴょこにゃん「じゃあ千円。」


オレ「安っ!じゃあこれで。」


オレは一万円を渡した。


ねこにゃん「じゃあお釣りが9000円だね。」


オレ「いらねーよ。ご祝儀だ。取っときな!」


ぴょこにゃん「お兄ちゃん粋だねえ。みんな集まれ。手締めするぞ。」


エミ「ん?何なんですか?値切ったのに払うって。」


エミが不思議そうにオレに聞いた。


オレ「酉の市だからだよ。熊手もこうやって買うんだ。おかしいだろw」


ぴょこにゃん「よぉーぉっ!」


いつの間にか、ねこにゃんたちは白木を持っていた。


ねこにゃん「お手を拝借!」


ぴょこにゃん「イヨーッ!」


シャシャシャン!

シャシャシャン!

シャシャシャン!

シャン!


3・3・3・1拍子


何かめでたい気分になる拍子。

酉の市の手締め。一本締め。

日本人で出来ないヤツはいないだろ。


生きてりゃ必ずどこかで出会う日本のリズム。

遺伝子に刻まれた文化のリズムだ。


ーーーーそんな時。

後ろからオレを呼ぶ声が聞こえた。


マミ「あのー…。」


オレ「ん?」


ーー

ねこにゃんとぴょこにゃんが先に気づいた。

即座に二柱は《知の共有モード》でコミュニケーションを取る。


ねこにゃん《あれ?この子って、『マミ』か。》


ぴょこにゃん《あ!マッドピエロ騒動の時に、おりたちが《生き返らせた女の子》にゃ。どうしてここに?》


ねこにゃん《わからん。この子の《祝福の未来》を構築したとき、記憶は全部消されたはずにゃ。》


ぴょこにゃん《まさか…因果軸でつながったのか?でも、マミが見たのは41じゃない。『41の姿を借りた』おりたちにゃ。》


ねこにゃん《…同じにゃろ。…魂の記憶か。》


ぴょこにゃん《あの子に構築した祝福の未来線に41は出てこない。これどうする?》


ねこにゃん《41がどうにかするだろw》


ぴょこにゃん《それがいい。丸投げにゃんw》


ーーーー


マミ「すいません。アタシの知ってる誰かに似てて。勘違いじゃなくて。…アタシが忘れてるだけだと思います!すいません!」


オレ「んー?悪いけど、正直、オレは君を知らないなー。オレは少しだけ音楽やってて、ベース弾いたりするんだけどさ。ライブ見に来てたとか?」


マミ「あ、アタシ、ライブとか行ったことなくて。すいません。」


マミ《これ突っ込んでいいのかなぁ?アタマにメロンパンかぶった子猫乗っけてる。可愛い!》


ケイ「(*≧∀≦)41。カッコわるー。」


ジュン「ひどい男ーw」


サル「とりあえず謝っとけ。」


オレ「何でよw」


カナ「アタシたち二人で来てたんだけど、マミが急に走り出しちゃって。ゴメンなさい。」


口を挟んだのはマミの連れの女の子《カナ》だ。


だが、カナは41を含めた仲間たちの瞳に吸い込まれるように、釘付けになっていた。


それはマミも同じだ。


マミ《え?この人たちの目って何?みんなキラキラしててキレイ…》


カナ《うわー。何ここ?イケメンに美人たちだ。それにこの目!メロンパン屋の人たちも全部、普通の人間じゃないみたい…。現実の人?だからアタマにメロンパンかぶった子猫乗っけてる?w》


41たちの瞳は潤み光をキラキラと反射している。

最適にブレンドされた麻薬とLSD。


瞳は幻想を映し出せるレンズとなる。


ーー


オレ「オレは41。君は誰?」


マミ「え?マミです。」


カナ「あ、アタシも。アタシはカナです。」


オレ「アタマの上に乗ってるねこは、かみかみ。」


かみかみ「にゃお」《よろしくぬ》


ケイ「え?41が名乗ったぞ?」


サル「初めて見た。珍しい。」


オレ「マミちゃんに、カナちゃんか。メロンパン食べる?」


オレ「ねこにゃん。じゃなくて、『ねこた』さん。この子にも焼き立てのメロンパンあげて。」


ねこにゃん「喜んでーw」


ーーそして。


ぴょこにゃん「熱々のメロンパンお待ちー」


オレ「いくら?」


ねこにゃん「いらにゃいよ。おりたちからのプレゼントにゃ。家族の分も持ってきな。」


オレはねこにゃんから二つの大きな手提げ袋を受けとる。


オレ「お。けっこう入れてくれたな。三種類ずつ入ってる。ハイこれ。荷物になるけど持てる?」


オレはマミとカナに袋を渡した。


マミ「ありがとうございます。こんなにたくさん!いいんですか?」


カナ「わー!美味しそう!ありがとうございます!」


オレ「これはさ。《神様》が作った味みたいだからねw 絶対美味しいよ。」


マミ「…神様。そうだ!アタシ『神様』探してたんです!」


カナ「(*`艸´)マミってば!何言い出してるのよw」


オレ「(´・ω・`; )はあ?」


マミ「あ、あー!ゴメンなさい!何言ってんだろアタシ。何かテンパってる…。」


カナ「(*≧∀≦)/マミー。イケメンたち前にして舞い上がってんでしょーw」


ケイ「新しいな。逆ナンされてメロンパン返しかw」


サル「41、『神様』だったの?w」


オレ「たまにねー。ウソウソ。神様は信じてるけど、オレじゃねえw」


マミ「あのっ!」


はりつめた声。


オレ「何?」


マミ「思い出せないんですけど、『ありがとうございましたって伝えたい人』なんですよ。…変ですよね。ゴメンなさい。もう行きますね。メロンパンありがとうございました。」


カナ「えー。もう行くのー。もう少しイケメンたち堪能しようよー。マミが変なことばっかり言うから、変な子に絡まれたで終わっちゃうじゃんw」


ジュン「あんたたち、イケメンなんだってw」


ケイ「変な子なんて全然、思ってないよ。41より変なヤツいないから大丈夫。慣れてる。」


カナ「お兄さんはサーファーですか?」


ケイ「そーだよー。」


カナ「マジ、カッコいい!そっちのお兄さんはパンクロッカーって感じ?」


サル「パンクロッカー?何じゃそりゃ?服変えようかなw」


カナ「みんな個性的ですよね。ほら、マミも、ちゃんとした話しようよ。」


マミ「ちゃんとした話かぁ。勢いで来ちゃったから真っ白なんだよ。えーと…。ねこちゃん可愛いっ!ねこ大好きなんです。」


かみかみ「にゃみ」《マミ》


マミ「え?マミって聞こえた。」


カナ「アタシも!」


オレ「ねこにゃん。書くものある?」


ねこにゃん「ペンならクロノアが持ってる。メロンパンの紙袋に書けばいいにゃん。」


クロノア「あー。やっと出番です。これどうぞ。」


呼ばれたのは、メロンパン屋の店員に不似合いな黒スーツの男。色の悪魔クロノアだ。


クロノア「こちらをどうぞ、お使いください。」


クロノア《おおおおー。41様と初コンタクトです。》


どこから出したのか、いつの間にかクロノアの手にサインペンが握られていた。


ラミーノ「あ。あなた下界で《色の悪魔》の力使ったでしょ。アウトー。」


クロノア「いやいやいや、マスターからペンて言われたからですよ。」


ソノリス「だいたい、パン屋さんなのに何でスーツなのよ。アウトー。」


ーー


オレ「お。サンキュー。」


オレはスーツの男性からペンを受け取り、そのままマミのメロンパンが入った紙袋に書き込んだ。


オレ「面白そうだからさ。思い出せたら教えて。それうちの電話番号。」


ケイ「おい。いいのかよ?」


ジュン「逆ナンする気?」


エミ《アタシより若い。やっぱり若い女の子が好きなのかな…。》


オレ「いいんだよ。お前らが心配するようなことはない。《思い出せたら》って言ったろ?」


マミ「絶対、思い出します!」


オレ「絶対なんて気軽に言うなよ。力抜いてダラダラしてたほうが思い出せるかもよ。じゃあね。」


マミ「じゃあまた。…もしどこかで会ったら声かけてもいいですか?」


カナ「マミってば。えーとアタシもついでにいいですか?」


オレ「はあ…。」


ねこにゃん《人間て眠たいこと言ってるよにゃ。》


ぴょこにゃん《時間限られてるにょにさ。》


ねこにゃん《連れてくか?》


ぴょこにゃん《ああ。来たいなら全員、ご招待にゃ》


ーー


ねこにゃん「なあ41。酉の市の後の予定は決まってるにょか?」


ぴょこにゃん「よかったら、うちの店に来ないか?ディスコもあるにゃんよ。」


オレ「うちの店?うーん…。予定はないけどある。どっかのDISCOかな。」


ケイ「出たよ。テキトー大魔王だ。」


サル「酉の市だって、いきなりだかんなw」


ジュン「お店ってどこでやってるの?」


アムリア「新宿御苑の近くかな。」


ケイ「あんなとこにディスコなんてあったっけ?」


オレ「聞いたことないなー。もしかして…?」


ねこにゃん「その、《もしかして》だよ。」


オレ「仲間に話せないじゃん!あれは《オレの夢の中》だけじゃないの?」


ぴょこにゃん「ちゃんと存在するにょさ。不思議にゃろw」


ねこにゃん「おりたちだって来てるだろ。今日は特別なにょさ。」


オレ「ますます現実離れしていくー。」


ーー


サル「夢の中ぁ?おまえ何寝ぼけたこと言ってる?」


オレ《(´・ω・`; )ほら。サルに聞かれたぁ…。》


オレ「ますます説明しにくい。とーにかーく!オレはいいけど、みんなどうする?」


ケイ「オレは、どこでもかまわん。でもそろそろ《追加》欲しいとこだな。効き目落ちてきた。」


オレ「確かに。外に出るとエネルギー使うから、効き落ちてくるもんな。」


サル「オレはまだ効いてる。お前らが燃費悪すぎなんだよ。」


ジュン「ジュピタン行くならいっしょに行くよ。当たり前でしょ。《カノジョ》だもんねー。」


エミ《カチーン。そうだけどさ》


エミ「アタシも行ってみたいです!」


サル「今さらバラバラはないだろ。行くならみんなで行こうぜ。」


マミ「この後、どこか行くんですか?」


カナ「ねえ。マミってば。アタシたち邪魔だから行こうよ。オールで二人でカラオケしようって言ったじゃない。」


マミ「…だよね。」


ねこにゃん「じゃあ、こうしよう。一通りお祭り楽しんできにゃよ。うちの店にはディスコだけじゃない。カラオケボックスもあるしゲーセン、それにフードコートもある。室内遊園地もレストルームも何でもあるにゃん。希望者は区役所の前に12時に集合!」


ぴょこにゃん「そこにメロン色のリムジンを止めておく。無理はしなくていい。」


マミ「カナ!リムジンだって!」


カナ「何なの?変なことに巻き込まれない?」


カナは41たちと因果で繋がってるわけではないので、当然の反応である。


オレ「マミちゃん。友達が嫌がってるならやめた方がいいよ。誤解しないで欲しいんだけど、オレたちは…。あれ?」


ケイ「(*≧∀≦)そこで言葉につまるか。正直でよろしいw」


サル「『悪い人じゃない』って言えない悩みw」


ジュン「( ・`ω・´)ジュピタンは悪い人間じゃないでしょ。たまに変なとこあるだけだもん。」


ケイ「たまに?いつもだろ?」


オレ「うーるさい!ってば!」


そう。いつもそうだ。話がコロコロと変わる。

こんな、ふざけた世界に誘えないよな。


オレ「カナちゃん。マミちゃんとカラオケ楽しんできなよ。」


マミ「…ハイ。いきなりすいませんでした。あの…。本当に《思い出せたら》連絡してもいいんですか?」


オレ「いいよー。でも、オレが生きてる間にしてね。あ、それと電話番号変えてる時もあるから。そんときはゴメンね。」


マミ「わかりました。ありがとうございました。」


カナ「メロンパンごちそうさまでした。」


マミとカナの二人は雑踏に消えていく。


オレの《聴覚》には去り際の会話が聞こえていた。


カナ《ほらー。電話番号しゅっちゅう変えるとかおかしいよ。》


マミ《でもさー。絶対知ってるはずなんだよ。》


オレ《(*≧ω≦)そりゃそうだ。》


かみかみ「にゃお」《会えただけでもスゴいお》


オレ《スゴい?意味わかんねえ。ぜんぜん知らない子だったけど…。》


ーーーー


オレ「カラオケボックスもあるのか。じゃあ音源持ってって新曲録音しよっかな。」


ねこにゃん「41。チマチマしたこと言ってるにゃよ。やるならライブやれ。」


ぴょこにゃん「Mちゃんは、誘わなくていいにょか?」


オレ「Mちゃん?だって横浜だよ。今から12時までになんて無理だよ。」


ねこにゃん「無理なんて、おりたちにはない。いいから41は、Mちゃんに電話しとけ。OKなら、おりたちが迎えに行く。」


ぴょこにゃん「なあに。横浜なんてメロン号ならあっという間にゃん。」


《ガリー》


アタマの上のかみかみが爪を立てる。


オレ「(>_<")いってえ!かみかみ、引っ掻くなってば!」


かみかみ「( ・`ω・´)にゃお!」


かみかみが、ねこぴょこたちとのホットラインで文句を言った。


かみかみ《ねこにゃん、ぴょこにゃん。41はボクと遊ぶんだお。そんなに《ツメツメの予定》にしたら、ボクとの時間なくなっちゃうお!》


ぴょこにゃん《あら。かみかみが怒っちゃった。もう41にベタベタだにゃ。》


ねこにゃん《かみかみ、心配するにゃよ。忘れたにょか?こっちとあっちじゃ時間の流れは違う。41の睡眠時間はヨーニャの休眠と同じ。こっちの半年にゃ。》


かみかみ《そういう問題じゃないお。こっちで暮らしてみて時間の大切さがわかったんだお。毎日を愛しく遊んでる41の時間がいいって。》


ねこにゃん《なるほどにゃー。》


ぴょこにゃん《無限すぎると時間にルーズになる。かみかみの言う通りだ。反省だにゃ。でも、今晩だけ許して欲しいにゃん。41のための祭りだから。》


かみかみ《しょうがないよぬ。でもここの位置はボクだけのものだからね。》


ねこにゃん《そう言われるとうらやましくなってきたにゃ》


ぴょこにゃん《41のアタマの上争奪戦w》


ーー


オレ「とりあえず、お祭り楽しんでくるよ。そこから決める。どっちにしろMちゃんには電話するつもりだったんだ。生きてるよってw」


ねこにゃん「オーライにゃ。」


ケイ「命の恩人。ソノリスお姉さま。後で会いましょう!」


サル「ラミちゃん。またねー!」


ソノリス「ケイさん。待ってますよ。」


ラミーノ「サルちゃん。後でね。」


クロノア「はあ…。誰も声かけてくれません。私、サインペン出す係でした。」


ラミーノ「影うっすw」


ソノリス「色の悪魔なのにw」




ーーーー


そしてオレたちは、熊手商の並ぶ一角へと向かった。


提灯の番号は若い方が老舗。

とはいっても江戸時代から始まってるからな。


五十番台でも江戸時代から続く熊手職人の店だ。


熊手の平には立体的に「お多福」や「恵比寿・大黒天」の「鯛」。「松竹梅」「鶴亀」「米俵」「小判」「宝船」。


とにかく縁起物を隙間なくぎゅうぎゅうに配置。


子供の時は何が、『おめでたい』のか、その価値もわからなかった。


『こんなものが何万円 ( ̄□ ̄;)!!?』


見た目より高い。けど『ありがたい』。


そうやって刷り込まれたのかな。

そういうもんだってわかってる。


今は伝統的な『昔からの造り』のものもあれば、招き猫にキティちゃんを模したキャラクターものさえある。


これも伝統。


羽子板市だって、その年に活躍した人気者やスポーツ選手をあしらったデザイン飾りがついてる。

『美空ひばり』さんは定番のモチーフだよな。


ぐだぐだ細かいことなんか、どーでもいい。


要は縁起物って事だ。


ーー


オレ《いいな。生まれ育った、この東京が故郷でよかった。毎年変わっていく景色と変わらない景色が入り混じる。住んでる人は変わっても、この街の流儀は変わらないでいて欲しい。それを守って伝えていくのが、この街に住む人の義務だと思うから。アナログって言葉。いつか古くさいって意味で使われるんだろう。わかってないよな。アナログは連続性って意味だよ。無限に切れ目なく続いていくんだ…。》


ーーーー


露店商「おい、兄ちゃん!ボーッとしてどうした?あれが気に入ったのか?どうするんだ?」


ケイ「(*≧∀≦)おい41!また意識飛ばしてるだろ。最近よくフリーズするなー。そろそろ壊れたかなw


オレ「( ・`ω・´)うっせえ!浸ってただけだよ。オレはなー。いつでもぐるぐる思考加速してるから、どっかいっちゃうだけだよ!」


サル「それが意識飛ばしてるって事だろ?」


ジュン「ジュピタン帰ってきてーw」


オレ「決めた!あの三万のヤツにする。」


ケイ「おい、マジか。でけえぞあれ。重たくねえか?」


オレ「持ちたいの!オジサン。あれいくらにしてくれる?」


露店商「兄ちゃん。去年もうちに来てたろ。覚えてるぞ。去年もボーッとしてたよな。」


ケイ「(*≧∀≦)有名かよ」


サル「そんなんで覚えられるなよw」


オレ「うっせえ!オジサンいくら?二万五千円?それとも二万にできる?」


露店商「あいよっ!じゃあ二万五千両!売った!」


オレ「やったぜー。じゃあハイ。三万ね。お釣りはいいよ。」


露店商「まいどー!いいね兄ちゃん。しっかりしてるよ。値切るだけのヤツが増えてきた。それでもありがたいんだけどな。じゃあ、ツレのお姉ちゃんにこの小さいの二つ、つけとくから持ってきな。」


露店商は三万の大きな熊手と、招き猫のついた五千円の熊手を二つ寄こしてくれた。


オレ《気分がいい》


オレ「ありがとう!そうこなくちゃだよ。気分がいい。気分がいいぜー!」


露店商「兄ちゃん、来年もおいで。じゃあ、みなさん行くよー。」


露店の人たちが白木を持つ。


熊手商「お手を拝借!」


「イヨーッ!」


シャシャシャン!

シャシャシャン!

シャシャシャン!

シャン!


威勢のいい手締めの音が、祭りの喧騒に響き渡った。


あちこちで鳴ってる。


ーーオレも鳴らしたんだよ。


《パチパチパチパチ》


オレ「ありがとさーん!」


ーーーー

そして本殿。オレたちは手を合わせた。

みんな何を願ってるんだろう。


オレは…。


オレ《この仲間たちがいつまでも健康で幸せで…。オレの側にいてくれますように。Mちゃんちも健やかに。そして、ママと《お祖父ちゃん》。あ、神様にウソつけないよな。《お父さん》の間違いです。いつかママとお父さんと…。いや、神様。それは自分で叶えます。応援だけしてくださいっと。》


ーー


ケイ「なげえなー。そんなに祈ることあんのか?」


サル「神様も忙しいんだからよ。ちゃっちゃとお願いしないと。」


オレ「ここは、お狐様だっけな。油揚げあげた方がいいのかな?」


ジュン「迷惑でしょ。それにしてもさ。ジュピタンて、お金使うよねー。《あっち》のお金だって安くないでしょ?ホント、こんな人初めて見た。もしかしてお金持ち?」


オレ「お金持ちじゃないよ。浪費家じゃないし、ヤクで商売もしてねえ。使うときは使ってるってだけだよ。サラリーマンだもん。普通だよ。」


ケイ「こんなジャンキーが、普段スーツ着てサラリーマンやってんだもんな。」


サル「オレ、遊びのスーツ姿以外、見たことねえ。」


オレ「オレだってお前らが何して食ってるか知らねえだろ。」


ケイ「お前が聞かねえから言わないだけだよ。あんまり人の事知りたくねえんだろ?」


ジュン「アタシも遠慮してたー。そういうとこあるよね。」


オレ「その方が守れると思ってたからだよ。何かあったとき知らねえで通せるだろ。…でも、やめた。」


ケイ「はあ?守る?自分を?それともオレたちを?」


オレ「どっちもだけどさ。間違ってたの今日気づいた。」


ケイ「今日かよw」


サル「まだ時間あるからよ。あそこの、おでんやの前で一杯やろうぜ。41以外なw」


オレ「ぜんぜん、かまわない。アルコールよりヤクが好きだし。飲酒で捕まってカトラス乗れなくなる方が辛いよ。」


ーー


オレたちは、おでんやの前のテーブルについた。

座席と言っても、ビールケースの上に板と薄っぺらい座布団が敷いてあるだけだ。


ジュンとエミは他のジャンクフードの買い出しに向かった。


ーー


ケイ「それで?」


オレ「ああ。まず一服しようか。」


オレはタバコの葉を詰め替えたマリファナに火をつけた。


一服してケイに回す。


オレ「ぷっはぁー。きっくーw」


ケイ「このハッパ、《ニルヴァーナ》か。効くなー。ほらよサル。」


サル「この《ぶっ飛んだ景色》の中でキメるのたまんねえな。まるで現実じゃねえ。」


サルの言う通りだ。


多少効きは落ちてきたけど《ルナピス》と名付けたブレンドドラッグは、オレたちをサイケな空間にいさせてくれてる。


《ニルヴァーナ》は落ちてきた効き目をリフレッシュさせてくれた。


ケイからサルに、そしてオレに帰ってきた。

周りから見たら一本のタバコを回し吸いしてる貧乏人かな。


わかるやつなら、あいつら《キメてやがる》ってなるだろうけどさ。


ーー


オレ「さっきさ。オレ玄関でぶっ倒れてたんだろ?」


ケイ「ああ。ちょっと焦ったよ。でも何か、もう忘れかけちまってた。オレは今日、通り魔に合ったのになw」


サル「非日常がいつでもあるな。」


ケイ「話の続きしろよ。守ってるだの何だのってさ。」


オレ「何だよ。怒ってるのか?」


ケイ「別に怒っちゃいねえよ。お前がぶっ倒れてた時、オレは『お前の事何も知らねえ』って思ってさ。…お前が、『もしもの時にMちゃんに』って、教えてくれたの、嬉しかったんだよ。」


サル「捕まっても、何があっても仲間は売らない。こんなの当たり前だ。つーかさ。お前はヤクに関してはオレより上だ。知識も経験も扱うブツにしてもだ。でもな、お前はオレたちより年下でもある。生意気だけど弟みたいに思ってるんだよ。弟に守ってもらってるとか、ねえだろ。」


ケイ「お前がそうしたいって思ってるから、尊重してたけどさ。ぶっ倒れてるお前を見て、『水くせえ』って思ったんだよ。何でも一人で抱え込むだろ。信じてねえのか?」


オレ「いや。信じてる。もしお前らがオレを売ったとしても、名前を出さなきゃならねえような何かがあったんだろうって考えるくらい。でもそれは…。」


ケイ「( ・`ω・´)てめー!」


ケイがいきなり胸ぐらを掴んできた。


オレ「( ・`ω・´)何だよ!最後まで聞けよ。」


ケイ「いーや、オレが先だ。いい子ちゃんぶった事ぬかしてんじゃねえぞコラ。誰がてめーを売って、てめーはそれを飲み込むってか?」


オレ「( ・`ω・´)それが間違ってたって言おうとしたんだよ!」


ケイ「はあ…。悪かったな。」


ケイは手を離し服を直してくれた。


オレ「…怒りんぼ。単細胞。瞬間湯沸し器。」


ケイ「何つった?」


サル「(*≧∀≦)やーめーろ!」


ケイ「続きは?」


オレ「…オレさ。家庭環境が複雑でさ。母親が『お妾さん』なんだよ。父親のこと《お祖父ちゃん》て呼ばされてたんだ。薄々気づいてたんだけどさ。中学の時は、すでにオレはジャンキー目指してた。死なない健康なジャンキーをな。そんなとき本当の事知っちゃってさ。…シンナーのやり過ぎで死にかけたんだよ。で、家族をバラバラにしちまった。そっから一人が楽になったんだ。失うのが恐くてさ。失っても痛くないようにしてたんだ…。」


ケイ「…。」


サル「…。」


オレはケイたちを真っ直ぐ見れない。

…弱虫だ。

でも話さなきゃ…。


オレ《いてっ!》

頭に乗っかってるかみかみに爪を立てられた。


かみかみ「にゃお。」《がんばるんだお。》


オレ《わかってるよ。相棒。》


オレ「…だから相手にも、オレを失っても痛くないようなつきあい方しようって。それが間違ってた。オレが大事に思うほど相手も、そう思ってくれるなんてさ。考えてもなかったし期待もしてなかったんだよね…。じゃあ、いっそのこと、仲間を大事にしないようにしようってのは、とてもできないし。特にこの『限られたジャンキーの世界』だと無理だ…。『信じられる人を大切にしないと、自分を守れない』。そんな当たり前のことが、よくわかんなくなっちゃってた…。」


ケイとサルが真っ直ぐ見てる。

オレも真っ直ぐ見なきゃ。


オレ「オレ、ずーっと、ちぐはぐでポンコツな事やってたかも。…ぶっ倒れて意識を手放す瞬間にさ。お前らの名前呼んでたんだ。…『怖いよ。助けて。』って。」


ケイがうつむいた。


サルも空見てる。


あきれられちゃったのかな…。


何が『無敵のジャンキー』だ。

いつも強がって平気な顔してたくせにダサい話だ。


でもさ。

ねえ。聞いてよ。


オレ「( ;∀;)うまく言えないけどさ。いろいろ間違ってたんだ。ゴメン。グスン。」


真っ直ぐ見て言えたよ。


何だか、こみ上げて泣けてきた。

鼻水まで垂れてきたし。


ーーこれはオレの感情なのか

《ルナピス》で情緒不安定になってるのかわからない。


後悔でも反省でもない。

ポジティブな気持ち。


これも不思議体験なのかな。

オレは感動してる。


…わけわかんねえ。

何で、いい大人が祭りの中で泣いてんだ?

スッキリしたような、恥ずかしいような。


LSDで滲んだ回りの景色は、一人きりのメリーゴーランドみたいだ。


ぐるぐる回ってるのに、手を振る相手がいなかったんだよ。


オレ《はぁ…。》


それでも、思考が加速する。

もう、ぐちゃぐちゃすぎてアタマ回らねえ。




ーー《ペシ!》


ケイにアタマを叩かれた。


オレ「いて。」


ケイ「話がなげえよ。早く一服してこっちにも回せ。」


サル「やっぱ弟だな。バカ可愛い。」


オレ「ああ。わりい。」


何だよ。ケイもサルも涙ぐんでるじゃん。

我慢してた涙がこぼれちゃったよ。


オレは《ニルヴァーナ》を深く吸い込む。


《スー》ーーーー《プッハァー!》


大量の煙が吐き出される。

焼き鳥屋の煙に混じっちまえ!


泣きながらハッパ吸うなんて思ってもみなかった。

煙といっしょに涙と悪いもんが吐き出されていく。

浄化作用でもあるのかなぁ。。


オレ「アハハハ。うんめえ!」


ーーその時、ジュンたちが戻ってきた。


ジュン「うわっ!キモッ!何で男同士で泣いてるの?やめてよキモいからーw」


オレ「(*≧ω≦)そーだ、そーだー。ケイ、サル。キモいぞー。アハハハハ」


ケイ「(*≧ω≦)このガキー!」


サル「何これ?」


ジュンとエミに運ばれてきたのは、定番のジャンクフード。


山盛りだ。


名物の切山椒まである。

いったい何人前買ってきたんだよ。


ジュン「行くんでしょ?アムリアさんたちのとこ。お土産だよ。」


エミ「あー。腕が痛い。重かったーw」


オレ「オレ公衆電話探してくる。Mちゃんに電話してみるわ。」


ジュン「(*≧∀≦)キャー!芸能人に会えるー!」


ケイ「Mちゃんね。41か…。アイツすごいヤツなのかもな?」


サル「スゴいバカなのはわかる。」


エミ「41さんて、『いそうで、いない人』ですよね。『いたらいいな』って思う人。現実離れしてませんか?アタシが田舎者だからかな?」


ジュン「ジュピタンはシロッコなの。木星から来たのよw」


ケイ「出たよ、ガンダムネタ。ちげーよ。アイツは薬物で作られた強化人間だろw」


サル「41番目の被験体。サイコパスガンダムのパイロットなw」


エミ「仲間に入れてくださいよー。ますますわからないっw」




ーーーー




ところかわって。ここは新宿区役所通り。


時間は深夜0時になろうとしている。


テレビでは世界各地で起きた《異変》のニュースが流れている。


41たちが知るのはまだ先の話。


そして41たちには、そのニュースさえ色褪せるほどの眩しい夜が待っていた。

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