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1.処刑台
処刑台の上で、俺は思い出した。
ここは乙女ゲーム『ラスト・セラフィム』の世界。
そして俺は、攻略対象たちに討たれる悪役公爵――アルヴィン・グレイス。
民を見捨て、婚約者を裏切り、最後は聖女に断罪される。
拍手の中、剣が振り下ろされる――
はずだった。
だが次の瞬間、時間が止まった。
「つまらない結末だ」
声が響く。
空が割れ、光が降りる。
人々も、刃も、涙も、すべて静止している。
「貴様は悪として死ぬ運命。だが、それでは世界が面白くない」
現れたのは、白でも黒でもない存在。
名を――“神”としか認識できない何か。
「力をやろう。余興だ」
それは笑った。
「我が加護を授ける。《運命改竄》――因果を、わずかに書き換える力だ」
次の瞬間、世界が反転した。




