あたしの不安
不安になります。
あなたはほんとにすごい
みんなに好かれてて
カレーライスみたいだって思うし
みんなにやさしくて
校長先生みたいって思う
とても品があって
丹頂鶴みたいだって思うし
とてもじょうずで
ギリシャの彫刻家みたいとも思う
いつもしっかりしてて
青い帽子のヘッドコーチみたいだって思うし
なにより いつもすてきで
チョコレートケーキみたいだって思うんだ
そんなすごいあなたなのに
ひとつだけ
あたしにはわかんないことがある
そんなすごいあなたなのに
こんなつまんないあたしと
どうしてなかよくしてくれるのか
なんでか ぜんぜんわかんないよ
カレーライスみたいなあなたと
福神漬けにもなれないあたし
校長先生みたいなあなたと
学年主任もまかせられないあたし
丹頂鶴みたいなあなたと
備長炭さえくべないあたし
ギリシャの彫刻家みたいなあなたと
版画もまんぞくに彫れないあたし
青い帽子のヘッドコーチみたいなあなたと
一軍のベンチにすらいれてもらえないあたし
チョコレートケーキみたいなあなたと
そのしたにひいてもらえるだけありがたい
アルミホイルのあたし
だれがどう見たって つりあいっこない
あなたがあたしになかよくしてくれるのを
みんなふしぎに思ってることだろう
だって あなたはほんとにすごいんだもん
だから あたしは不安になる
あなたのことが大好きだから
もっとすごくなってほしいって思うけど
これいじょう もっとすごくなっちゃったら
あたしなんかと なかよくしちゃいけないって
たぶん そう思っちゃうから
こんなあたしのこと きっとあなたは
馬鹿だねって笑ってくれるか
こらって叱ってくれるはず
そんなあなたのこと
あたしはどうしようもなく大好きで
うん やっぱり
もっとすごくなってほしいって思うし
なるよ ぜったい
あたしにはわかる
だって あなたはほんとにすごいんだもん
ぜったい ぜったいにもっとすごくなる
でも
だからこそ
あたしは不安になるんだ
あたしは不安になる
あたしはすごく不安になる
だって、あなたはすごいんだもん。