表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/97

第79話~つまり文化祭での勝負(中編その1)~

「ココは……天国?」


 目の前に広がるのは、お花畑。

 耳に入るのは、天女達の緊張と緊迫に満ちた声だ。


 (ん……? 緊張? そして緊迫とは?)


「――って、結局ドコなのよっっ!?」


 ベッドから飛び起きた私の周辺には『ほうれんそう(報・連・相)』が飛び交っている。


()()()()! ライリー様が、お目覚めになりましたっ!」


「では直ぐに、ウエストの測定をお願いします」


「はいっ!」 


 2人の女性が強制的に、寝起きの伯爵令嬢を直立させた。


「……問題ありません! サイズクリアです」


「それは良かったですわ! 次は()の準備を……なるべく、急いでください」


「分かりました! ……花は、どういたしましょう?」


「『無し』にします。ですから後もう1cmだけ、ウエストを細く出来ますか?」


「必ず、絞ってみせますっ!」



「えっ!? しぼっ……うぎぁぁぁーっっ!」


 装着済みコルセットの紐が複数の手によって、思いっきり引っ張られる。

 内臓が口から飛び出る程の衝撃……私の悲鳴が、部屋中に(こだま)した――。




()()()()()()()()()、ライリー様。本日は宜しくお願いしますね」


 かしこまった挨拶。

 フラワーアートの会・会長のフロレンヌは、制服の袖をたくし上げ、珍しく髪をアップにしていた。


「ちょっとっっ! いくらなんでも、キツいわよっ! これだとまともに歩け……」


 これ以上ない()()()()で、美女の顔面が迫る。

 そのサイコパス的な瞳に、背筋が凍った。



「えっと……どうして私は此処に? 医務室で寝ていたような気が?」


 二度寝から目覚めた場所は、学院内にある劇場に隣接する控え室だ。

 教室より広い部屋には、大量の花と生徒が入り乱れている。


「ええ……確かにライリー様は、先程まで医務室にいましたよ? 『ベッドで眠っている』と医師から聞いて、急ぎ様子を見に行きましたの。()()()()()お目覚めになりませんので、控え室へ運んでもらいました」


「『控え室へ』? もう展示会(ドレスお披露目)の準備を?」


「はい、お昼を過ぎましたから……そろそろブレイム殿下も、学院へご到着しますわ」


「は……? そんな時間だったのっ!?」


 体感15分の『ちょい寝』は、2時間以上にもなっていた。




「キャァァァー!」


 庭園(外)から聞こえる『歓声=()()』――。


 (来たっっ!)


 私は窓側までダッシュの(のち)、勢い良くカーテンを開けた。


「いけませんっ! ライリー様!」


「カーテンを閉めてくださいっっ!」


「今は下着姿なのですよっ!?」


 アフラ会の生徒達が、私を窓から引き剥がしにかかる。


 寝ている間に制服を脱がされ、コルセットを装着されていた伯爵令嬢。しかし『羞恥心』ごときでは、決して怯まない。


 (久々のブレイム殿下……せめて、一目だけでもっっ!)



「……その姿で、再会を果たすのですか?」


「えっ?」


 とても冷たく……そして静かに、フロレンヌが私へ問う。


「貴女はこれから『この世で最も美しい姿』になるのですよ? それを先に見せずして他にどのような方法で、お相手の心を捕らえましょう?」


「――っ!?」


 親友の指摘から、私は冷静になった。


 (そうだ……)


 この後『芸術作品』として、私はお披露目される。最高に美しく変身した姿をブレイムに見せれば、すんなり『惚れる』かも? 知れないのだ。



 シャーッッ!

 直ぐ様カーテンを閉める、下着令嬢。


「……では、そろそろ始めましょうか? ()()()()?」


「ハイッ! 宜しくお願い致します、()()っ!」


 素直に頭を下げる私に、フロレンヌから衣装が手渡された。


「先ずはこちらを、()()()くださいね?」


「へっ!? ……これは?」


「キュロットですわ」


「……」


 私の思考は『半ズボン』を手に、暫し停止した――。

次回、第80話~つまり文化祭での勝負(中編その2)~

17日か18日に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ