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第56話~生徒会長との密会~

「……それで? 要約すると『私もその()()()に、参加をする』って事?」


 始業式から2週間が経過した、放課後の()()()――。

 大きな机を前に、アケビの筆が止まる。


 クラスがバラバラになって以降……彼女とは行動を共にしていない。

 アケビは講義以外の時間を、最近は主に此処で過ごしている。スピーチ大会の功績により1年前倒しで手に入れた、生徒会長の座。年度始めであるこの時期が、最も多忙を極めるらしい。


『一方の私は?』と言うと、厳しい監視(フロレンヌ)の目を盗み、本日初めて執務室へ入った。


 アケビと入れ替わりに、学院内では常に一緒のフロレンヌ嬢――。

 表面上は『仲良く』見えるが、内情は互いに大きく違っていた。


 2人の間には確実に見えない壁があり、何とも言えぬ息苦しさを、私は常に感じている。

 どうしても拭えない不快感の主要因は、彼女が私を通して、明らかに『別の何か』を探っているからだ。


「うん、そうなの。彼女の意図がどうしても分からなくて……お茶会の様子から、アケビの意見が聞きたいのよ。忙しいのに申し訳ないけれど、どうにかお願いしますっ!」


 たったの2週間ぽっちだが、決して笑顔を絶やさないフロレンヌを注視すればするほど、ただでさえ見えにくい真実から、更に遠ざかる気がしていた。

 そう思わせるまでに、彼女には全く隙がないのだ。


 最初はやはり『ブレイム争奪戦の序章だろう』と考えたが、それがどうも違う。

 王太子や王子の話を振っても、フロレンヌは明らかに『心、此処にあらず』だったのだ。


 (もしかして、男性にそれほど興味がないのかしら?)


 試しに――眼鏡を外させた状態で、クガイを学院へ迎えに来させたのだが、超・美青年を前にしても、フロレンヌは冷静を保っていた。

 ブレイム殿下とクガイに対する受け答えに、差を感じなかったのも気になる。


 (そういえばあの時、私が『余計な探り』を入れたが為に、生徒が『クガイ様! クガイ様!』と大騒ぎで大変だったな……)



『彼女は今、()をしていないと思う……』


 車内(馬車)から密かにフロレンヌを観察していたネムも、私と同じ見解だった。


 だからこそっ!

 スピーチ大会に足を運び、私を『睨んでいた』理由が、どうしても気になる。


 (あの形相は絶対的に、ただ事ではない……)


 でもこれは、単に私の直感だ。


 そこでだっ!

 その真意を確かめるべく、私はフロレンヌをキュラス邸へ招待した。


 

 小さく息を吐いた後、アケビが顔を上げる。


「……分かった。翌々週の土曜日よね? 予定を空けるわ」


「えっ、いいのっ!? ありがとう!」


「スピーチ大会(横断幕)のお礼よ。親友の役に立てるのなら、喜んで参加をさせてもらう」


「うぅぅ……アケビっっ!」


 台詞に感動するあまり、親友をギュッと抱きしめる。


「苦しいからっ! ライリー、苦し……」


 必死でもがく、生徒会長。


「あっ! ごめんなさいっ! つい……」


 私は直ぐに手を離したが、まだまだ興奮が収まらない。


 (覚悟しなさい……フロレンヌッッ! 必ず、化けの皮を剥いでやるっ!)



『お茶会』の月は、新茶の季節――。

 とびきり高いグリーンティーを予約して、私は恋敵との戦いに備えた。

次回、第57話~トラウマ(ユーセ・クフェアという沼、その1)(仮)~

明日、投稿予定です。

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