第52話~スピーチ大会(後編)~
遅くなりました。
申し訳ありません!!
クガイと別れた私は、城内にあるスピーチ大会の会場へ直接向かった。
「ギリギリセーフ……かな?」
入り口の扉から顔を覗かせると、カラフルなキノコ頭(複数)を視界に捉える。
天井画に数人掛けのベンチ……正面には高座があり、会場内はどことなく教会に似ていた。
「ライリー嬢っ! こちらです!」
ミラ(紫)が大きく手を振る。
用意された席に座ると、隣からユーセの溜め息が漏れ聞こえた。
『ライリー様……何かあったのかと、心配しておりました』
『ごめんなさい。クガイと部屋を探索中に、オブジュ王太子が入って来たのよ』
『オブジュ様が!? そっ、それで見つかってしまったのですか?』
『ベッドの下に隠れて、どうにか逃れたわ。もしも見つかれば私とクガイは今頃、地下牢の中でしょう?』
ユーセの両肩が下がる。
『そうですよね……でもどうしてあの方が? ブレイム様の暗殺未遂について、オブジュ様は何か知っているのでしょうか?』
「そうかも知れない……噂をすれば、ご登場みたいよ?」
騒がしい会場の空気が、一瞬で張り詰める。
近衛兵に囲まれて姿を見せた『王太子=ブレイムの兄』は、私が想像していた時期国王のそれとは違っていた。
耳の下で切り揃えられた金髪……ではなく銀髪が、サラリと揺れる。顔はこれでもかと美しいのだが、小柄&華奢で少し儚げな印象だ。
背が高く、力強さを感じる弟のブレイム殿下とは真逆に思えた。
オブジュ王太子は軽く私達へ会釈をした後、壇上に並べられた高価な椅子に座る。
彼に続き、テリップ公爵とエデル殿下も席に着いた。
「……ところでさ、ユーセ?」
真っ直ぐ前を見据え、私は一応確認する。
「彼女……私を睨んでいるわよね?」
「はい……先程から私も気になっていました。ライリー様? フロレンヌ様に何かしましたか?」
「いや、何もしてないと思う」
中央に陣取る私達から2つ後ろのベンチ。その一番右端に『フロレンヌ・ベイロッサ』は座っていた。
そして何故か? 私を睨みつけている。
敵意を剥き出しにした絶世の美女は、かなり怖い……私の背中は悪寒に支配された。
「フロレンヌ嬢は毎年来ているの? ブレイム殿下が急遽欠席だから、機嫌が悪いとか?」
だとしても、私に当たるのは違うと思うけど……。
「ベイロッサ家の学生に出場者がおりますので、そちらの応援かと思われます」
「そうなんだ」
「でも少しだけ違和感が……昨年もベイロッサ家は本戦に残っていましたが、その時はフロレンヌ様をお見掛けしませんでした」
(なるほどね……これも何か、事情がありそうだわ)
テリップ公爵の合図を受けた司会者が、大会の出場者を壇上に呼んだ。
会場は始まる前から、拍手喝采で盛りあがる。
気を取り直し、負けじと私達も横断幕を広げた。
アケビを含めた、5人の学生が並ぶ――。
自己紹介を終えてもなお、全員から少し堅さや緊張を感じ取れた。
『大丈夫……貴女なら出来るわ!』
『うん!』
私とアケビが視線を交わす。
本大会のテーマは『有益経営のすすめ』――。
交流会にてメイド喫茶を黒字経営で終えた、アケビお得意のお題だ。
「それでは大会を開催致します。1番目以外の出場者は、控え室にお戻りください」
こうして『モスカトア王国スピーチ大会・上級学生の部(中級、下級学生の部は他会場で既に終えている)』は、無事に開催された――。
次回、第53話~学年末の憂鬱~
もうすぐ第三章が終ります。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます!!
第四章は、ほぼ毎日(少なくても2日に1回)投稿となる予定です。
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