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第44話~潜入計画~

「のっ!?  呪い!?」


「アケビ、声っ!  声が大きいっっ!」


「あっ、ごめんなさい。余りにも展開が急で……しかも期待をしていたのに、()()じゃないし」


 雪がまだ少し残る、長い冬休み明けの初日――私とアケビは学院の食堂で『密談?』をしていた。


 この日は講義無しの午前中までなのだが、午後からクラブ活動に参加をする生徒の為に、食堂は解放されている。


 なかなか生徒が帰らない教室に居残っても、誰が聞き耳を立てているか分からない。

 特に文化的交流会後は『執事効果』から、2人で居ると視線を感じたり、声を掛けられる機会もより一層増えた。


 食堂であれば広いし、今日に限っては人もまばら……ナイショ話にはちょうど良かった。


「それでっ!? 犯人は誰なの?」


「見当もつかないわ……それに殿下本人にも、不審な点があるのよ」

 

「不審? まさか……自作自演でもしたの?」


 さすがはアケビ。直感までも鋭い。


「まあまあ近いかな? 私は全部ではないと思うけど。でも従者や護衛を眠らせてまで単独行動をしたのは事実だし、それに……」


「それに?」


「彼、ヤプが見えていたの」


「――!? それって、殿下が『魔法使い』だという証拠じゃないっっ!?」


「私と同じ()()()の可能性もあるわ……どちらにせよ、何かを隠しているのは確かよ」


 頭脳はともかく普通の人間であるアケビには、妖精姿のヤプは見えない。

 彼を認識できるのは魔法使いか、私と同じ転生者のみだ。


「何だか、色々と複雑になってきたわね……」


 アケビが溜め息を吐く。


「ええ。もう『何をどうすればいいの!?』って感じ。せめて怪しさ満載の王城に潜入でもして、手掛かりを探ればいいのだろうけれど、暫くは舞踏会もないのよね」


「……それなら任せてっ! 私が『本選』に行くだけで、潜入問題は解決するわ!」


「えっ、本選?」


「そう『スピーチ大会』のね! その舞台は王城なの。後1回だけ選考(予選)会をパスすれば、貴女を応援団(友人枠)として招待できるわ!」


「うっそっ! 本当に!?」


「ええ! ……ただ少し問題があって、予選最後の主題が『魔法と戦争』なのよ。これまで9回も参加をしてきたけれど、こんなテーマは初めてだわ。詳細を知らない分野だし、実は原稿制作に困っているの」


 アケビがすんなり弱音を吐く。

 それ程までに難題なのだろう。



「……お久し振りです、ライリー嬢」


 背後から声が掛かった。


「ミラさん!? アルデ嬢も! お久し振りです。これから()()()ですか?」


 隣のテーブルに、魔法研究クラブのミラ(紫)とアルデ(青)がトレーを置く。キノコヘアーは本日も艶々だ。


「はいっ! ライリー様の在籍で、会員が3名も増えました。ありがとうございます!」


「ごめんなさいね、活動に参加をする時間が取れなくて……」


「『名前だけ欲しい』と言ったのは私達です。どうかお気になさらずに……ところで今『魔法』と聞こえましたが、何かあったのですか?」


「はい、友人のアケビがスピーチ大会の原稿に悩んでおりまして……その主題が『戦争と魔法』なのです」


「ああ……それは『引っかけの年』ですね」


「『引っかけの年』? どういう意味ですか!?」


 アケビが身を乗り出す。


「数年から数十年に1度、そのテーマが出題されるのです。魔法を信じる有能な人材を炙り出す、言わば()()ですよ」


「炙り出して、どうするのです?」


 何となく予想はつくが、一応聞いてみる。


「社会的に抹殺します」


「酷い……」 


「……」


 アルデ(青)の答えにアケビはショックを受けている様子だが、最初の前世で社会を知り、そんな理不尽はとっくに()()()()の私は、さほど動じなかった。

 どの国、どの世界でも多かれ少なかれ裏の顔がある。この異世界もまた、例外ではなかっただけの事だ。


 咳払いを1つしてから、ミラ(紫)が忠告をする。

 

「ですので、原稿には必ず『嘘』を書いてください。アケビさんでしたっけ? 昼食後で宜しければ活動室にて、我々まほ研が原稿のお手伝いをしましょうか?」


「はっ、はいっ! 是非、宜しくお願い致します!」


 強力な助っ人に、喜ぶ才女。


「こちらこそ。後輩会員達にとっても、良い勉強となるでしょう……ライリー様はどうされます? ラヴ(緑)やフランソワ(黄)も後で合流しますよ?」


「せっかくのお誘いですが、私は先に帰ります。ごめんなさい、アケビ……クガイに稽古を頼んでいるのよ」


「クガイさん? 彼なら今頃、王城じゃないかしら? 私の護衛隊長も呼び出されたらしいわ……」


「えっ、また!? 最近多くない?」


 (まあ王族への()()()()があれば、そうなるか……)


 どうせならクガイに『犯人捜し』を頼みたかったが、王城では仕事(会議)に忙しく、そんな余裕は無いらしい。


「おそらく、スピーチ大会の警護計画を立てているのだと思うわ。殿()()()も出席をするそうよ」


「なるほど……」


 (クガイに私の護衛までは頼れないわね……でも、ブレイムを守ってくれるのなら、それはそれで安心だわ)


『そうと知れば、私はもっともっと()()ならないとっっ!』


 いつの間にかキュラス伯爵令嬢は『愛』よりも『力』を求めていた――。

次回、第45話~偉大なる仇敵(クガイ・セマムの忠誠心、その1)

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