第35話~女子会の生け贄(中編)~
いずれ分かる時が来るのだろうか?
これまでの恋愛は『いい匂い』だと感じたら、後は突き進むのみだった。
これを巷では『フェティシズム=フェチ』というらしい。
とにかくそれが最優先な為に、私は恋愛感情を改めて確認しようと考えた事すらない。
自分の気持ちがどうこう言う前に、先ずは『体臭』よね?
でもその後は? どうやって気持ちを確かめるのかしら?
これが非常に難解だ。
よく前世では『冷めた・重い・ウザい・しつこい・頼むから死んでくれ』等の言葉と共に、殿方からお別れを言い渡されてきた。
しかし今思えば、彼等は自身の心意を理解したからこそ、私へ正直に打ち明けたのだ。
(やはり自分の心を解き明かす方法がどうしても分からないわ。フラれる事は数あれど、その逆は1度もないし……)
「そんなに考え込まなくても『ハッキリしている』じゃない? 何を悩む必要があるの?」
ネムは答えをご存知の様子だ。
(魔法? それとも占い? 何にしろ、私の心を覗いた(読んだ)のよね? ならば……)
「ネムはもう見たのでしょう? 私がその『恋』をしているかどうか……ねえ、教えてくれる?」
「は? 『見た』って? ……嘘でしょ!? もしかして、気付いてないの?」
「そうよ? だから早く教えて」
「うわぁ……」
「まあっ!」
ネムだけではなくユーセまでも、口に手を当てて驚いた表情を見せる……というより、若干憐れんでいる?
「まさかユーセまで、私の気持ちが読めるの?」
「読めるというよりは、誰から見ても明確かと……アケビ様も、ブレイム殿下とお会いしているライリー様をご覧になりましたら、きっと納得ができますよ」
「そんなに分かりやすいのね! それは大変勉強になります。ありがとう、ライリー嬢」
「ちょっとっ! 人を実験台みたいに扱わないでよ!」
「それなら講師料として、貴女を観察させていただきますわ! 交換条件よ、これでどう?」
「もうっ、勝手なんだから! ……って、アケビ! 今までお金を貰っていないの!?」
「ええ。友達と勉強するのに、お金なんて要らないでしょう?」
「まあ、それは素直に嬉しいけど……でも貴女のお父様がよく許してくれたわよね? 話を聞く限り、とても厳格な方なのでしょう?」
「問題ないわ! 父は私がキュラス家と関わりを持つ事に、反対なんて絶対しないわよ。今回も『借りができる』と喜んでいたし」
「『借り』って……また大袈裟な」
「そういう人なの。イーサン・キュラス伯爵(ライリーの父)の出世を待って『貴女を貰う』つもりなのだから、少しでも恩は売っておきたいのよ」
「えっっ!? 『貰う』と申しますと?」
ユーセの顔が強張る。
「父は『ライリーと兄の婚姻』を希望しているの! しかも長男とよ?」
「そんなっ!? 名門モンドリリー家からの申し出なんて、断れないのでは!?」
顔面蒼白となったユーセは、頭を抱えた。
次回、第36話~女子会の生け贄(後編)~




