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猛キャ令嬢は奇をもたらす~王子獲得と白濁の正義編~   作者: まきお
第二章 罪深き学園の過去と魔法研究クラブ
30/97

第30話~つまり文化祭(後編その1)~

「……? ()()かしら?」


 家畜小屋を出た少し先で、1人の子供がそわそわと元・家畜小屋(まほ研)の方を見ている。


 後ろ姿は肩まで伸ばした主張の弱い金髪だが、ブレイムと同じ制服から、男の子だと分かった。


 (あの子、どっかで見たような……)


「……()()()!? どうして此処に!?」


『エデル? エデルってあの!?』


「末の()です。あいつは一体、何をしているんだ? おいっ、エデルッッ!」


 駆け寄る兄に、弟は下を向いて体を硬直させる。


「に、兄様……何で?」


「それはこっちの台詞だ! 1人なのか? どうやって城を抜け出した!? あれ程『駄目だ』と言っただろう!?」


「ごめんなさい……兄様の荷馬車に、ずっと隠れていました」


「なんて無茶な事をっ! どういうつもりだ!? きちんと説明をしろ!」


 (いくらなんでも、怒りすぎでは?)


「あのう、殿下? エデル様も反省をしておりますし、ここは穏便に……」


「えっ、ああ……申し訳ない。つい声を荒げてしまった。ライリー嬢、弟の『エデル』です」


「ごきげんよう、エデル様」


 顔を上げたエデルが、不思議そうに私をまじまじと見つめる。

 

「あっ、下着の人……」 


 私を知っている?

 そして下着――ということは?


『……思い出したっ!』


 ガラスの靴をブレイムが私に届けに来た時、一緒に居た子供だわ。何故か遠く離れていたからよく見えなかったけれど……従者ではなかったのね。


「この子は元々病弱で、時々気分転換を兼ねて森へ連れて行くのですが、以前にキュラス邸へ伺った際も同行をさせていたのです。内気な性格ゆえ、ずっと離れた場所で待つだけでしたから、挨拶もさせていませんでしたね」


「『エデル・ハーロッジ』です。ええと、下着の……」


「ライリー・キュラスと申しますっっ!」


 (つーか、下着は忘れてくれ……()()()()!)


「それにしてもエデル様? 叱られると承知で、どうしてまた学院に?」


「そっ、そっ、それはっ! その……」


 エデルが、チラリと元・家畜小屋を見る。


 年齢から考えて、もしかしたら……。

 ミニ王子が持つ小さな花束や、小屋を覗き見る行動からしても、その目的が占いではないと分かる。


「ひょっとして、()()ですか?」


「ネム? ……ああ! 確かキュラス邸に居た使用人の子か? なるほどね」


 ブレイムも察した様だ。


「少しだけお待たせをしてしまうかも知れませんが、お呼びしましょうか?」


「いえっっ、仕事の邪魔になるので結構です。あの、せめて()()を渡してもらえませんか?」


 手に握りしめた、小さな花束を差し出すエデル。

 

 (ネム好みの青い花ばかりだわ……今日のバイトといい、よく調べたな)


「かしこまりました。必ず届けますね」


「ありがとうございます! ではこれで……」


「……待てっ! 帰るにも、馬車が無くてどうする?」


「そんなに遠くもないので、歩いて……」


「冗談を言うなっ! どうせ私の説教を避けたいだけだろう? そうはいかないぞ、エデル! しかし私もこれから()()なので、セージか誰かに……」


「それでは、殿下の警備が手薄になってしまいますわ! もし宜しければ、私の教室でお預かり致します」


「しかし、ご迷惑では?」


「いいえ。クラスメイトも、こんなに可愛らしいお客様ならきっと大歓迎ですわ」


「ではお願いをしようかな? 仕事が終わり次第、迎えに行きます」


「はい。お待ちしております!」


 子供を利用して申し訳ないが、これでもう一度、彼と会う口実ができた。


 ありがとう、ミニ王子。

 ありがとう、バイト占い師。


「では、参りましょうか? エデル様」


「はいっ!」


 私は子供達へ大いに感謝をしつつ、その内の1人であるエデルと手を繋いだ。

次回、第31話~つまり文化祭(後編その2)~


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