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猛キャ令嬢は奇をもたらす~王子獲得と白濁の正義編~   作者: まきお
第二章 罪深き学園の過去と魔法研究クラブ
26/97

第26話~つまり文化祭(前編その1)~



「お帰りなさいませ、お嬢様」


 文化的交流会当日。

 私はまだ午前中だというのに、もうかれこれ30回以上の()()()()を繰り返している。


 15分交代制にも関わらず『使用人サロン』は、予想を遥かに越えて大盛況だ。


 メイド服に着替えたクラスメイト数名と執事服姿の私。()()()()をしようと、教室(店)から廊下へ出た瞬間に客が殺到。


 そして現在――待ち1時間の超繁盛店となっている。


 午後からは学院に()()()を招き入れる予定なので『メイド服を着たお嬢様』目当ての男性陣も加わり、益々忙しくなるだろう。


 (とはいえ、この客数は想定外だわ……()()()仕事があるのにっっ!)



「あの、ライリー様。()()も良くお似合いですわ、素敵ですっ!」


「ありがとう。そういう貴女様は、いつにも増してお美しいですよ」


「まあ!」


「キャァァー!」


 (執事役も、だいぶ慣れてきたかな?)


 黒髪のウイッグにしたのは、前々回の前世を睡眠(夢)をキッカケに思い出したからだ。

 好きな人の好みに合わせ、セミロングの天然茶髪をわざわざ黒髪に染める程に()()()()()()()あの頃が懐かしい……結果は、完膚なきまでにフラれたけど。


 (ショートではなく、当時と同じ()()にしてもよかったかな……)


「……しかし意外だったな? ライリー()が『黒髪』に憧れていたとはね」


 案内役の私にそう声を掛けるのは、休憩を終えた同僚の()()(1つに束ねている)執事だ。


「アケビ様よっ!」


「はぁー、お美しい……」


(私に負けず劣らず、大人気ね)


「アケビ()こそ『銀髪』を選ぶとはね。しかも眼鏡まで用意をして……嫌がっていた割にしっかり役に撤するとは、予想もしなかったよ」


「なぁーに、売り上げの為さ。()()()ある方が、より多くのお客様に楽しんで頂けるだろ?」


 そうニヤリと笑う、男装侯爵令嬢。

 間違いなく商人(あきんど)の顔だ……。

 

「さすがは経営者ね……だな?」


 (おっと、油断をした)


「お褒めの言葉をどうも。では交代の時間だ。今のうちに休まれては? と言っても『掛け持ち』か……無理しないでね」


「ありがとう、行ってくる!」


 名ばかりの休憩に入った執事。

 私は着替える間もなく、速攻で()()()()()へ向かった――。




 校舎を出て目の前に広がる庭園には、控えめなオータムカラーの草木達がイベントを彩っている。

 オレンジ、赤、黄、紫……他の季節にはない幻想的な世界に、生徒も多く集まっていた。


 (草木だけでここまでとは……なかなかやるな、()()()会めっ!)


「……」


 どんな()()()()()()()()でも、結局はその美しさに、目を奪われてしまう。

 午後にお披露目される『花のドレス』が()()()()……。


「でも負けないわっ!」


 私は気を取り直して()から()へ入ったが、そこから頭を抱えるまでにさほど時間は掛からなかった。



「……はっ? 嘘ですよね!?」


「いえ、本当です。まだ誰も来ていません……」


 裏庭の元・家畜小屋では、黒いローブを着たキノコ(頭)達が下を向いている。



「……たかが『占い』の為に、こんなボロ小屋へわざわざ来る? 仕事がないのなら、もう帰っていいかしら?」


 テーブルを挟んで部屋の奥に鎮座するのは、()()()占い師の『ネム・ストック』だ――。

次回、第27話~つまり文化祭(前編その2)~

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