第13話~ハイスペの友~
早朝登校の目的……それは彼女だ。
『アケビ・モンドリリー (18)』
身分 侯爵令嬢
容姿 端麗(切れ長の目、知的な印象)
頭脳 学年トップ
性格 思いやりがあり物腰も柔らかいが、責任感や正義感も強く、頼りになる存在
私の学校生活を支えるのに相応しい、ハイレベルな親友。
彼女とは邪魔が入る前に、コミニュケーションを図る必要があった。
「何通も手紙を書いてくれてありがとう、アケビ。とても励みになっ……りましたわ」
(しまった! 言葉遣いに気を配るのをすっかり忘れていた! えっと、確かメモには……)
「どうしたの? 『らしくない物言い』だし、もしかして体調がまだ……」
不安を覗かせるアケビ。
動揺を見せない様に視線を床へ落とし、私は記憶を呼び起こした。
(……そう、思い出した! 2人の間に遠慮は不適切だったわ!)
基本的に学院内では、身分の差はないとされている。
しかし皆育ちが良いので、生徒同士でもお嬢様言葉? や敬語での会話が普通だ。
そんな環境の中、私達はどうやら『遠慮や敬語は一切ナシ』でも理解し合える関係らしく『絆=友情』は誰よりも強固だった。
「ううん、ちょっと感動しちゃって……アケビには1番最初に会いたかったの。心配ばかりかけて、ごめんなさい」
「親友相手に、(心配は)当然でしょ? それにしても感動って……大げさねっ!」
アケビがクスリと笑う。
私の秘密『正体や条件』は、ヤプと専属使用人(ユーセ、クガイ、ネム)以外に知る者はいない。
誰に教えてもいいらしいが、妖精の存在すら知らない、見えない(何故かユーセ達は見えている)他の人間に伝えたところで、おそらく簡単には信じてもらえないだろう。
あげく嘘つきだの異常者だのと噂を立てられては、弊害発生の危険まである。そんな理由から、私達は秘密裏に条件達成を目指す事を決めていた。
勿論、アケビ(親友)にも内緒で――。
「……コート、脱がないの?」
「そっ、そうね! 忘れていたわ……」
アケビは自身のコート片手に、丈の短い上着とネイビーのリボンを軽く整えた。
「早くしないと混むよ!」
教室の奥にズラリと並ぶ、鍵も名札も無い個人用ロッカーの前で、彼女が私を急かす。
「……」
『自分の場所がわからない=身バレピンチ』……からの、即脱出。
「一緒に掛けようか?」と、腕を伸ばして私を気遣う親友の何気ない一言(優しさ)に、早速助けられた――。
2人分のコートと鞄を各々のロッカーへ納めた後、アケビが私の隣で腰を下ろす。
「ありがとう」
「どういたしまして。人が増えてきたわね……コレ、休んでいた講義の写し! 今のうちに、少し説明をしましょうか?」
「うっ、うん。お願い」
びっしりと文字が書かれた用紙の束を受け取り、お礼を伝えた後、一瞬だけ外へ目をやる。
(もう、そんな時間か……)
窓の外では、登校時間のピークを迎えていた――。
「ライリー様ってば!」
「ライリーさんの……」
「ライリー嬢が――」
教室に到着をした生徒達から、名が連呼される。
久々に登場のレアキャラ(私)――。
『復学』や『舞踏会』の話題で、教室が朝から沸いていた。
(どうしたものか……)
教養の遅れを取り戻すどころか、クラスメイトの質問責めにストレスが溜まる――。
そんな困った状況から『病み上がり令嬢』を救ったのは、長いベルの音と共に現れた、担任の女性教師だった。
「皆さん、予鈴が鳴りましたよ? 着席してください」
そこから昼を挟んだ午後の2時過ぎ迄、難易度さえも不明な講義や実習が続いた――。
次回、第14話~教室の怪~




