世界樹と融合したボロアパートの住人達が異世界で無双するお話。
第二回なろうラジオ大賞投稿作品第一弾!!
朝起きたら、見知らぬ世界に転移していた。
いわゆる異世界転移。しかも俺の住んでるボロアパート『乾荘』……そして俺を含む住人ごと転移していた。
転移したのはその世界の、デカい樹の中。
『乾荘』がその樹と半分同化してる感じだ。
瞬間移動の失敗とかだろうか。
蠅男な状態と言えば分かりやすいか。
「おお! 召喚に成功したぞ!」
住人達ととりあえず外に出て状況確認していると、そんな声が聞こえてきた。
見ると尖った耳以外は俺達とはそう変わらないエルフみたいな人達が『乾荘』と同化した樹の周辺の小さい樹の陰から現れた。
いや、これが流行りの異世界転移ならエルフの可能性もあるが。
その台詞からして連中が『乾荘』ごと俺達を召喚したのだろう。魔力をどれだけ消費したのかは知らんが、テンプレ通りなら、建物ごとの召喚は魔力を非常に消費したハズ。それも常人ならば疲弊するくらい。疲弊した様子が、俺達を召喚したと思われるこの人達にないなら……連中が、魔術が得意なエルフなら納得か?
とその時だった。
突然エルフ達の背後から、黒い煙のようなモノを全身から出す異形が出現した。エルフ達は慌てて散開した。
しかし異形の動きが速い。
エルフは次々と捕まり彼らに捕食されかけて……黙って見ていられなかった。
勝てるかどうかは分からない。
けど誰かが傷つけられるのを黙って見ていちゃ後味が悪い。
だから俺は、いや『乾荘』の住人達は一斉に異形へと攻撃を仕掛け……驚いた。
まさかこれがいわゆるチートなのか。
全力で相手に跳び蹴りをしただけなのに、仮面騎乗者もビックリな威力になってやがった。拳骨で殴っても同じだ。面白いように相手が……最終的には爆散する。
「ああ、伝説の通りだ」
そんなチートな俺達があらかた異形を片付けると、俺達をこの世界に召喚したであろうエルフの一人が呟くように言った。
「異なる世界の住民のみが、我らが世界樹の力を存分に扱える。この世界に危機が訪れし時、彼の者達を世界樹の下に召喚せよ。さすれば世界は救われる、と」
せ、世界樹?
ま、まさか『乾荘』と同化した樹の事か?
というか俺達のこの力……俺達自身じゃなく世界樹の力だったのか!?
とにかく、俺達が異世界に召喚されたのは確からしい。
でも俺達にも用事があるから帰りたい。だが俺達の世界の危機にも繋がる事情があるらしく……?
果たして俺達は無事帰還できるのか。
ついでにお隣の未亡人とエルフ姐さんと俺の三角関係の行方は!?
連載版は、高層マンションでやりたいな(ぇ