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未曾有の世界で恋をした  作者: 志名崎三実
7/9

7ランチを終えて


このあいだ、桃乃とランチに行った。

俺が誘ったのを桃乃が受け入れてくれたのだ。

すごく、すごく、嬉しかった。


ランチが決まってから、俺は気軽で、でも少し洒落た喫茶店をSNSで調べまくった。大学から近場の店を電話予約した。とても緊張したけど、頑張ったことに喜んだ。


もちろん、当日もめちゃくちゃ楽しかった。

出てきた料理はおいしかったし、桃乃はかわいかった。白いニットに黄色のロングスカートを履いていて、今度こそスカートなんだなと思った。おいしそうに定番のランチセットを食べていたし、話も途切れることなく続いた。



でも、それだけだった。

なんにもなかった。

いや、ただそれだけが目的だったのだけれど、なんだか、「無」だった。


桃乃の俺への接し方は完璧だった。

同級生の異性とご飯を食べる時に間違わない距離感、間違わない話題、間違わない服装。それでも、彼女の個性が細やかに感じられた。



「また、一緒にご飯食べない?」

ランチを終えて、別れるとき言った。もう本当にどきどきしながら。

桃乃は言った。

「え~、どうしよっかな。私もそんなに暇じゃないんやお笑。コロナもまた広がるかもなんやし。。また、時間があればね、行こっか。」

これは妥当な返事をもらったのだろうか。



これ以上触れてくれるなというような圧を感じた。

私、ランチに来たよ?誘われたから来たんだよ?という満足感だけ与えられた。









苦しい。

苦しい。

苦しい。



彼女は何を考えているのだろう。

彼女に恋をしてしまったのに。

彼女にこれ以上踏み込めない。



なんで?

どうして俺を拒絶するんだろう。

どうして強い瞳で俺を刺すんだろう。

でも、君は、笑うんだ。

何かを諦めるように、喜ぶんだ。


まったく、ほんの少しの付き合いであるのに、彼女が見え隠れするんだ。

全て見てみたいと思うんだ。


でも、彼女の圧を破れるほど、俺は果敢でなくて。

ランチが終わって、4日経っても何も出来ない。何もしていない。


頭の中をぐるぐると回るんだ。

でも答えは回らないんだ。





これは、恋の枷ですか?

これは、彼女の罠ですか?










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