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未曾有の世界で恋をした  作者: 志名崎三実
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4桃乃とあや

3限の中国語の授業を終えた。桃乃は友人の江崎あやと帰路についていた。

あやとは、高校来の親友である。当時は同じ女子バレー部として戦い、同じ塾に通い、同じ大学を目指した、大切な親友である。大学に入ってからは、学部は違うものの、同じ授業の時や、キャンパス内で会った時はよく話したり、一緒に帰ったりする。

今日はあやも第二言語の対面授業が3限にあったのだ。あやは桃乃と違って、スペイン語選択だが。

「ねえ、桃乃。さっき男の子と話してなかった?授業前。」

「あれ?見てたの?そうそう。ちょっと前から仲良くなったんだよね。」

あやは利発で、人間関係の変化に聡い。友人も多い。登校時、桃乃と隼人が一緒にいるところを見ていたのだろう。

「あの子誰?桃乃の学部じゃないよね?」

「うん。南条隼人くんっていうの。1年やお。経済学部やったかな。前期の教養の授業が同じで。」

「へ~。珍し。」

「そう?」

桃乃とあやは話しながら、キャンパスを出る。対面授業さえ終わってしまえば、構内に残ることは出来ない。

「だってさ、桃乃が全然関係ない男子と話しかけるのは、、」

「そんな、いつもあのことを考えているわけでもないよ。普通に、やて。」


桃乃は、消極的な人ではない。異性と話すことも得意である。だから、隼人が桃乃の話しかける対象として稀であると分かるのは、同じ大学生ではあやくらいだろう。


「そかそか、いや~、まあそうやね。でも、あの、南条くん?だっけ。けっこういい人っぽかったよね。」

「ああ、確かにね。きれいな顔をしているよね。優しいし。」

桃乃はそういいながら、少しだけ苦笑いして、セミロングのまっすぐ下ろした黒髪を改めて耳にかけた。


そう、南条は世間一般の基準から判断して、上中下の内、上の下、悪くても中の上には入ることが出来る容姿の持ち主である。優しげな瞳は彼の純真さを表し、マスク越しでも、彼の表情は豊かであった。おそらく根が真面目なのだろう。


秋風が2人をぬるく包み込んだ。日の入りが早くなった。空気はよどんでいる。

あやは南条について少しだけ興味が沸いた。


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