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未曾有の世界で恋をした  作者: 志名崎三実
1/9

1未曾有の日常


今年は新型コロナウイルスのせいで世界が今までと、ガラっと変わってしまった。今の生活は、俺のイメージしていた大学生活とはまるで違う。

適当に授業受けて、たまにはサボったりして、でもレポートはぎりぎりで出したりして、空きコマに友達とキャンパスのベンチで喋って、昼飯を食べに行ったりして、サークルもバイトもほどほどにやって、ちょっとおしゃれして、1人暮らしの友達の家に泊まったりして、居酒屋行って、合コンして、、、大学ってこんな感じだと思ってた。それが実際はどうだ。朝は,今日は9時半に1回起きた。9時からのオンライン授業に遅刻だ、やべっと思って、ベッドにいながらタブレットでzoomを開く。いつもは1人で90分ひたすらのんびり語っている教授がいない。学生も誰もいない。ん?と思って、大学の授業サポートサイトに指を進めれば、今日は来週までに課題提出すれば出席とするっていうメールが来ていた。じゃあまだいいやと思って2度寝した。

今は11時。やっと起きて、誰もいない家で消費期限が今日のパンをかじる。こう言うと、俺は1人暮らしかと思うかもしれないが、それは違う。俺は実家暮らしで、親のすねをかじりまくりである。父、母、妹との4人暮らしだ。もう1人姉がいるが、2年前に就職をして、家を出て行った。父は普通に会社に出勤したのだろう。母はこれまで10年近く働いていた近所の定食屋のパートを春頃にクビになった.

だから今は車で20分の場所にある介護センターで働いている。今日は朝からのシフトなのだろう。妹は普通に中学校に行っている。案外中学校の生活は変わりがないようで、この間も体育大会をやったらしい。大学生の俺だけ1人ニートのような生活。時々サークルも何もやっていない自分に陰キャかよ、とツッコミを入れたくなるが、そう思っても何にもならないので考えないようにしている。

今日は4限に第二言語の中国語の授業が対面である。木曜の授業は1限と4限だけだ。実際に大学に行かなければならない。行くのになんの楽しみもない。だるい。今大学にいるのはゼミをやっている上回生だけなので、1年の俺には友人がいるわけでもない。授業を受けるやつはほとんど同級生だが、座席間隔が異様に開いているし、私語をすると怒られるので下手なことはしない。ただ学校に行って、静かに授業を90分受けて帰ってくる。それが俺の1日だ。高校生活、結構真面目に大学受験に取り組んできて、でもセンター試験の結果が微妙で、浪人は自分も親もなんとなく嫌で、1つ希望を下げて地元の公立大学に進学した。まさか蓋を開けてみれば、こんな生活が待っていたとは、夢にも思っていなかった。


ただ、1つ、楽しみを、あえて、探して、言うのなら、木曜の3限に対面授業があるらしい桃乃に会えるかもしれないことなのかもしれない。


そう、隼人は桃乃に恋をした。会えないかもしれない。でも会えるかもしれない。だから俺は、3限に合わせて、頑張って支度しているのだ。


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