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44話 魔力のない戦い

「Fランクだったにしては頑張ったほうね。でも結局、私の必殺技の前には何もできなった。お前もすぐに殺してやる」


 リリカの中でエリーゼが死んだことになっているが、まだ一応生きている。体力ゲージ的には三十パーセントぐらい残っているはずだ。

あれっ、エリーゼまだ全然戦えるのに気絶しやがって……。


「理由もはっきり言うことなく、話し合いにも応じようとしない。無茶苦茶だな。これがお前がなりたかった魔法少女なのか」


「そんなことはどうでもいい。私は、お前を倒してここでとれるドロップアイテムを回収するだけ」


 今の僕に出来ることは残念ながら時間稼ぎぐらいしかない。このイカレた魔法少女から少しでも情報を集めることに徹しよう。


「そんなにドロップアイテムが欲しいのなら渡してやってもいい。何が欲しいんだ?」


「ほ、本当なのか……?」


 妹のためにドロップアイテムが必要だと言っていた。しかしながら、ここでとれるドロップアイテムに薬効が期待できるようなものはない。


可能性として考えるなら重度の火傷を負っている場合に、『炎の欠片』の火属性耐性が効果があるのかというものだが……。


 しかしながら、これも情報を政府には伝えていない。何かしらで情報を得ていたとしても、それは渡した『炎の欠片』を使用すればいいだけの話。魔法少女を助けるためという名目であれば優先的に使用されるはずだ。


 つまり、この魔法少女は、月野さんとはまったく関係のないところ、敵対派閥からの刺客と考えるべきだろう。


それにしても様子がおかしい。


考えが短絡的というか、洗脳されているような気がする。少なくとも顔見知りのエリーゼを、有無を言わさず殺そうとしている時点で普通じゃない。


「ここでとれるドロップアイテムは全部で四つだ。『炎の欠片』、『回復ポーション』、『炎柱石』、『力の秘薬』だ。で、どれが欲しいんだ?」


「本当にそれだけなの?」


「嘘はついていない。信じられないならそこでしばらく見ていればいい。いや、お前が討伐したらいい。じきにゲートは開くはずだからな」


 実際には『炎魂』というレアドロップがあるが、あれから一度も出てきていないので特に問題ないだろう。


それに、ドロップアイテムの情報は月野さんに伝えている公式情報だ。何ら隠すこともない。


「そう。私には何がどのくらいの量が必要になるかわからない。御剣家で保管しているドロップアイテムを全て差し出しなさい」


「ドロップアイテムについては、政府に渡している。何故、政府に渡しているドロップアイテムを使わないんだ」


「それは私の知るところではない。そもそも、異界の門を御剣家主導で管理することがおかしい。こんな弱い者に管理を任せるべきではない」


「わかった。ドロップアイテムを保管しているのはここではない。取りにいくから待っていてもらえるか? なに、時間はとらせない」


「いや、もういい。よくよく考えてみれば、御剣家は全員殺すつもりだった。お前と長話している場合ではなかった。もういい、死ね」


身体強化魔法で十分だと思われていたのだろう。不用意に近づいた感じもプラスに働いたな。真っ直ぐに僕のお腹を突き破るようにリリカは右拳を突き刺していた。



「ごふっ」


急所は避けるようにしたつもりだったが、想像以上の痛みに力が一気に抜けていく。


リリカの腕をつたって、大量の血が抜け出していく。


今日は厄日なのか。だが、魔法で一方的に攻撃されなくて良かったとも言える。こうして、リリカの身動きを抑えることができたのだ。



「弱い、弱すぎるな。御剣……ん? お、おいっ、何をしている。腕を離せ。何をするつもり……だ」



洗脳解除(ブレインウオッシュ)




残り少ない魔力でどこまで効果が期待できるのかは判断に難しいところではある。こんな博打が出来たのも、フレデリカと星那が近くまで来ているのを感じていたからこそなのだけど。


さて、効果の程はどんなものか。


というか、ここで暴れられたら本当に命の危機かもしれない。



「あ、藍之助っ!」

「殺すっ、殺す、殺す!」


「ちょっと待て、星那。ご、ごふっ……」


僕の姿を見た星那が、暴走してリリカを殴り殺そうとしてしまった。あわてて止めに入ったものの、僕のお腹は絶賛出血中なわけで、追加ダメージで本当に死にそうになる。


「星那、落ち着いてよ。藍之助、すぐに回復魔法をかける」


「すまない、フレデリカ」


リリカの様子は、今のところは静かにしている。というか、気を失っている。


目が覚めた時にどのような状態にあるだろうか。出来れば、まともな状態に戻っていてもらいたい。


「お、お兄さま、申し訳ございません」

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