表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/49

42話 魔法少女リリカ

「よしっ、これで丹田に込める魔力は最後だな。思いの外、最後にひと伸びがあったようだな」


「マジですか、ボス! もうエリーゼのSランクはかたそうですね」


実際に魔力量としては月野さんを超えているのは間違いない。


問題はその魔力をちゃんと使えるかの方なので、ランク的にSランクだとしても、実際にはまだBランク程度の能力なのだろうと思う。


いや、身体強化のスキルがあるから近接格闘においてはAランク程度はいってるのかもしれない。


「はいはい。今度、月野さんが視察に来たときにでも模擬戦でもやってみたらいいんじゃないかな。きっと驚くと思うよ」


「なるほど、直々にエリーゼがSランク認定されてしまうのですね!」


エリーゼはランク制度にかなりのこだわりを持っているようだが、BだろうがSだろうと関係なく、負けない戦いをすることの方が重要だ。


力の足りない部分を補うように、スピードなり力強さ、スキルを育てること。


今のエリーゼにはその作業がたくさん残っている。その最たるものは魔力変換。それから、現状での長所を伸ばすなら身体強化による体術訓練になるか。


「エリーゼ、そこのポットをとってくれ」


「魔力回復茶ですね。はい、どうぞです。やっぱりボスでも最後の魔力供給は結構な量を持ってかれたですか?」


「みたいだな。午前中は間違いなく使いものにならないから頼むぞ。ちょっと寝てるから、死にそうになったら起こしてくれ」


「死にそうになる前に叩き起こすですよ!」


「あと、フレデリカの結界を確認したいからサラマンダーはしばらく無視する方向で」


「了解でっす!」


エリーゼの丹田に注入した魔力は、最後にかなりのボリュームがあったので、僕の魔力はほぼ空っぽになってしまった。こういう時に魔力量の少なさが残念でならない。


僕の場合、魔力変換によって魔力量を抑えられているのだけど、単純に魔力が必要な今回のようなケースはどうしても向いていない。


夕方ぐらいには多少は復活してるだろうか……。今日のところはエリーゼに任せて、終日のんびりさせてもらおう。


最近のエリーゼの調子であればイフリート三体ぐらいでも何とかなる気がする。エビルゲートから出てくるイフリートはだいたい一体だし、そこまで問題になることはないだろう。



「今頃フレデリカは料理教室か……」


「エリーゼも和食のお勉強には興味があるですよ。練習してボスに私の手料理をご馳走してあげるです」


「そうか。あまり食材を無駄にするなよ」


「失礼ですねっ!」


 そうして、一時間ほどフレデリカの結界の状況を確認しながら、そろそろ本格的に寝ようと思っていたところで、その魔法少女は現れた。



「エリーゼ、誰か来るようだが知り合いか?」


 エリーゼは、僕の視線の先を確認しながらもまだ数キロ離れているため視認できずにいる。


「ボスの視力はアホなんですか? あんな小さな点じゃ、見える訳ないですよ!」


 エリーゼが失礼なことを言っているが、魔力を目に集中させれば遠くのものでも見ることは可能になる。黒と紫の衣装に身を包んだその姿は、間違いなく魔法少女と言っていい姿だ。


「エリーゼはもう少し魔法の使い方を勉強した方がいいな」


「魔法で目が良くなるですか!? そういう便利そうなのは、すぐに教えてくださいね」


 近づいてくるにつれ、その魔法少女の魔力量に少しだけ驚かされる。おそらく、月野さんを超えたエリーゼを更に上回る魔力量。


「んん? あれは、一学年下の双子ちゃんですね。サイドテールの髪形は、お姉ちゃんのリリカです」


「エリーゼの知り合いか。何の要件でここに向かってきているのか知らんが、これ以上近づくなら攻撃しようと思うんだが構わないか?」


「ちょっ、待つですよ、ボス。十歳そこそこの少女に問答無用で攻撃するとか鬼ですか!? ちょっとエリーゼが話してくるです」


 そうは言っても、どうやら向こうは戦闘態勢に入っているし、話し合うつもりなど毛頭なさそうに思える。敵意を隠そうともしていないし、今もフレデリカが施した結界を壊そうと魔力を急激に高めている気がする。


「な、何をしようとしてるですかリリカ!」


「どいて。Fランクのくせに私の前に立つなんてエリーゼ先輩は死にたいんですね。御剣の者に騙されているなんて、もはや先輩と呼ぶのも恥ずかしい。私の邪魔をするというなら一緒に殺します」


 ステッキには闇の魔力がいつでも撃てる状態にセットされていて、結界の中心であるフレデリカの鱗に向けて標準を定められている。


「なっ! この結界は異界の門を押さえるのに大切なものですよ。どんな理由があったとしても壊すことは許さないです!」


 この少女の目的が何なのかわからないが、結界を壊されるのはせっかく時間をかけて作ってくれたフレデリカに申し訳ない。


「エリーゼ、いったん結界の外に出てその少女を無力化するぞ」


「わ、わかったです。でも、殺しちゃダメですよ」


 僕は無力化するとしか言ってない。というか、現在魔力が空っぽなわけで、どちらかというとエリーゼに頑張ってもらわないとならないんだ。


それに、殺すとか言ってるのはそちらの後輩魔法少女の方なんだけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ