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38話 魔力量強化

今朝は、フレデリカとエリーゼと僕の三名で異界の門改めエビルゲートに来ている。


「それでは、エリーゼさんの特訓を優先してあげてください。ゲートから出てくる精霊たちは私が討伐しよう」


「任せてしまって大丈夫か?」


「働かざるもの食うべからずですよ。エビルゲートから出てくる精霊については、私に何かできるわけでもなさそうなので気にしないでください」


仲間だった精霊を討伐しなければならないのは心苦しいとこもあるかと思っていたのだが、意外にもあっさりしているようで安心した。



「ボス、フレデリカはどのくらい強いですか?」

「僕とそんなに変わらないぐらいじゃないか」


そんな会話が聞こえていたのだろう。フレデリカが振り向くとエリーゼに答えた。


「いやいや、藍之助の方が強いよ。多分、あの召喚魔法をもう一度くらっていたら間違いなく殺されていたと思うんだよね。久し振りに身の危険を感じたよ」


「あれは朱里姉さんがいたから召喚できたものだ。それに、フレデリカに戦闘の意思はほとんどなかっただろう。まともに戦っていたらどうなっていたかはわからないよ。僕の欠点は魔力量の少なさにある。持久戦になったら勝ち目はない」


「ヤ、ヤバいですよ。ボスと同等のレベルとかやっぱりドラゴンさんなだけはあるですね。凶暴なドラゴンさんだったら人類が滅亡していたかもしれないのです」


「エリーゼさん、ドラゴンというのは孤独な種族なんだ。もちろん、仲の良い精霊やモンスターはいることもあるけど、一生のほとんどは一人で過ごす時間が多い。そんな種族が凶暴なわけないだろう」


「フレデリカ、ぼっちだったですか……」


「力試しで討伐しようと来る者は返り討ちにするけど、こちらから何か行動を起こすようなことはないよ」


「さみしくなかったですか?」


「種族的にそういうものだと思っていたんだ。一人でいることは気ままだし好きだよ。でもね、この世界で藍之助たちと出会って、関わって美味しい食事を頂いて、優しくされて。うん、友達っていうのも面白そうだなって思えてきたんだ」


いきなり攻撃をしてしまったのにフレデリカは僕たちを友達認定してくれていたらしい。


「友達……か?」


「いやだったかい?」


「そんなことはない。こちらこそよろしく頼む」


「ボスだけズルいですよ! フレデリカ、エリーゼも友達ですよね?」


「はい、エリーゼさんもお友達です」


ドラゴンの友達認定はかなり緩いらしい。


「やったです。エリーゼ、御剣島に来てから友達増えまくりですよ!」


島にきて出来た友達というのは星那だけだろう。まさか、手を振ってくれる島の少女達を友達と言っている訳ではないだろうな。そもそも何で人口の少ない土地にきて友達が増えてるんだ。この真性ぼっちめ。


「ボスも友達にしてあげてもいいですよ?」


「はいはい。それじゃあ特訓を始めるぞ」


「ちょっ、待つですボス! な、何をしようとしてるですか!?」


僕の手のひらには魔力の塊が炎のように漂っている。これは正真正銘ただの魔力体なのだけど、今からこれをエリーゼの身体の中に注入する。


「細かい説明をするよりも慣れた方が早い。じっとしてろ、別に初日はそんな痛くはないはず……」


「は、はずって、絶対痛いやつじゃないですか!?」


「ちっ、影縛り」


「ふぇっ、う、動けない、です……」


「大丈夫、痛みはないから。はい、深呼吸して。吸ってー、吐いてー、よしっ、いけ!」


「ふ、ふぅ、ふぇっ!?」


「いいか、エリーゼ。お前の丹田、つまり魔力が生産される場所に俺の魔力を注入した。魔力量を増やすために強引に丹田を刺激しながら広げているといえばわかりやすいか」


コクコクと頷くエリーゼ。別に言葉は喋れるはずだが、身体に入ってきた魔力にビビっているのだろう。


「今入れた魔力はエリーゼの持つ量の1.5倍ぐらいだ。今日はその量が馴染むまで魔法は使用禁止な。それから、体は動かした方がいいからサラマンダーが出たら、力の秘薬でぶっ飛ばせ」


そんなことして大丈夫なのか? 的な顔をしているが、魔力を馴染ませるにはそれが一番効果があると思われる。


「いいから準備をしておけ。それから、魔力は放出せずに手のひらでイメージをかためる訓練をする」


何言ってるのコイツ? 的な表情をしているのがムカつかせる。


「別に喋れない訳じゃないんだ。質問があるなら声を出せ」


「な、なんか、お腹が膨らんで口から魔力が出ちゃいそうなんですよ」


俺が渡した魔力は丹田に収まっている。溢れ出てはいないので大丈夫なはずだが、圧迫されているからか、自分の魔力が外に出ようとしているように感じているのかもしれない。


「そ、そうか。でも、口から魔力は逃げていかないから安心しろ。そこまでの量を注入していない。これを見てみろ」


手のひらから改めて魔力の塊を炎のように出すと、その形を炎から鳥の姿へと変えていく。炎の鳥がゆっくりと羽ばたきながら僕の肩にとまる。


「そ、それは……?」


「魔力をイメージしたものに変換する初歩の訓練だ。魔法はイメージ力がものをいう。今日から毎日丹田を広げながら魔力変換をスムーズに行う。そして、サラマンダーが出てきたらぶっ飛ばせ」



「ボス、無理です……」


エリーゼの手のひらには小さな芋虫がうにうにと動いていた。

一応イメージしたのは鳥らしい……。


これはかなり時間がかかりそうだ。でも、魔力量を増やすのもそれなりに時間はかかる。じっくり取り組んでもらうしかない。

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