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28話 エリーゼ改造計画1

魔法というのは、身体の中にある魔力を各属性に変換して外へと撃ち出すものだ。


なかでも、この変換という部分が初心者には難しい。


魔法はイメージ力が伴うものなので、火属性が得意な者は火属性に偏りがちになるのは仕方ない。また、反対の属性を使うのが難しいのもそれが理由だ。

火のイメージに引っ張られて水魔法が苦手になってしまうのだろう。


「このステッキには、使用するのに必要な魔力を吸い上げる仕組みがある。だが、それでは魔法を使う想像力や、魔力を属性に変換する能力がまったく発達していかない」


「なんだかよくわからないですが、一度Fランク認定されたら成長しないってことですか?」


「その通りだ。デビューした魔法少女でランクが大幅にアップした者はいるのか?」


「う、それは、いないです。あっ、でも魔法少女シズクちゃんがAランクからSランクに上がってるです」


「月野さんは元々Sランクだった可能性もあるから何とも言えないな」


「ステッキがなくても同じように魔法使えるようになるですか?」


「僕や星那はステッキを使っていないだろうが」


「さ、さすがは星那とボスです。ということは、特訓が終わればエリーゼもイフリートをボッコボコにできるようになるですか?」


「それは、エリーゼ次第だろう。だが、かなりの確率で倒せるようになるはずだ」


「マジですか!? Bランク魔法少女三人がかりでも倒せなかったイフリートをエリーゼが一人で……。それはもうAランク魔法少女と言っても過言ではないですよ!」


FからAへ五段階アップか。それはそれで面白そうだな。魔法少女を成長させることは政府を牽制することにも繋がりそうだしな。



「最初は体内を巡る魔力の道を広げることだ。星那、しばらくつきあってもらえるか?」

「はい、お兄さま」


「パワーバインド」


 僕の魔法は狙い通りエリーゼを拘束している。


「ふおっ! ちょっ、ボス、こ、これは?」


「この特訓は慣れるまでは暴れられることが多くてな。しばらく身動きがとれないようにさせてもらった。では、星那あとは頼んだ」


「お任せください」


「せ、星那? な、何するのかな? 私たち友達でしょ。い、痛いのはダメですよ!」


僕は門の管理をしていないとならないので、エリーゼのことはいったん星那に任せることにする。


というか、この特訓は神経を過敏に刺激してしまうので、女性の場合は女性が担当した方がいい。


「ふわぁぅ!? な、何するですか星那! な、なんか、ヤバいですよ!」


どうやら始まったようだ。


エリーゼの名誉のためにも僕は見ないようにしよう。魔力の道を広げるというのは、身体を巡る魔力の流れを広げること。発動スピードと魔力の量を上げることを目的にしている。


簡単に言うとレギュラーガソリンの車からハイオクガソリン仕様に無理やり変更するようなものだ。


「ふぁ、あ、あついです……」

「エリーゼ、無理しないでいいです。みんな最初はそうですから、感情の赴くままにしてください」

「エ、エリーゼ、最近こんなんばっかりです……」


星那がやっているのは自らの魔力をエリーゼに強引に流し込む作業だ。魔力の道は最初はとても細いが収縮性があり広がりやすい。これを利用してある程度道が広がりきるまで、魔力を流し続ける。


「で、でも、あっ、せ、星那、そこは触っちゃダメです……」

「エ、エリーゼ、あまり動いたらもっと大変なことになります」

「ひぃあ、ふあぁぁ、も、もう、死んじゃう……」


問題は、道を広げることで身体中の神経を刺激してしまうことだ。つまり、感度が必要以上に上がってしまう。


僕も経験があるが、まるで身体中が性感帯にでもなったかのように痺れる感覚が半日近く続く。こればっかりは辛抱してもらうしかない。優れた魔法使いへの第一歩だと思って我慢してもらおう。



この作業はあくまでも魔力出力を上げるためのものであって、魔力量を増やすことはできない。


エリーゼの魔力量はかなり少ないので、このままではすぐにガス欠になってしまう。ただ、魔力回復については、目処が立ちそうなのでしばらくはお茶をがぶ飲みしてもらおうとは思っている。


出力が上がれば、明日からは魔力をアップさせる特訓をやってもらうつもりだ。こちらは道を広げるのとは違い、丹田と呼ばれる魔力を生み出す場所を刺激することで魔力量を増やしていく作業となる。


 火属性耐性を得て魔力出力も上がり、さらに量も増えていけばエリーゼのカスタマイズもおおよそ完了となる。といってもその後の変換の部分に関しては本人のセンスも影響するところなので頑張ってもらいたいところだ。


今のところ、本人のやる気も気力も十分なようなので大丈夫だろう。


「し、死んじゃう……」


 ……きっと、乗り越えられるはずだ。

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