26話 閣議2
「事前にお伝えしているとは思いますが、門の管理については御剣家主導となります。立地的な問題もありますので、形式上は御剣島に魔法省の支部を置かせてもらう形になりますが、実質の管理は御剣家です。そして、こちらから派遣する魔法少女は新人のエリーゼということで了承頂いております」
「新人なんか送るから、舐められているんじゃないのか月野」
「巴村さん、お言葉ではございますが、彼らの力を甘く見ない方がいいです。派遣したBランク魔法少女三名を捕虜にするだけの力を持っています。そもそもですが、御剣島沖に出現した異界の門はこちらで管理することは難しいと思っています」
その言葉に全員が驚きの表情を浮かべる。唯一官房長官だけがすぐに質問をしてくる。
「口を挟むようで申し訳ございません、月野さん、それは一体どういうことでしょうか? 今、管理が難しいと聞こえたのですが」
西條さんは、管理が難しいといった部分を疑問に思ったようだ。そういえば、会談で決められた内容については報告を上げていたが、御剣家の力についてはちゃんと説明をしていなかった。
「まず、異界の門に関してですが、出現するモンスターは二種でサラマンダーとイフリート。サラマンダーであれば、Bランク魔法少女が数名いれば管理可能ですが、イフリートは強さの次元が異なります。おそらく私でも門を半日押さえるのが精一杯でしょう」
「月野さんでも半日しか押さえられない……のですか」
「実際に対戦もしましたが、魔力の消費が激しく後半はかなり苦戦させられました。ところが、御剣家の者は異界の門をここ数日何でもないかのように管理しています。はっきり申し上げて、私たちとは強さのレベルが違います」
「月野さん、つまり御剣家の者でなければ、異界の門は管理できないということですか?」
静かに話を聞いていた黒川総理がはじめて口を開く。
「こちらで管理するとなると、私と内海のAランク魔法少女の二名体制で、それでも一週間持つかどうかでしょうね」
「そこまでですか……。一応確認ですが、この件について御剣家の反応はどういったものでしたか?」
「政府に対してはかなりアレルギー反応がありそうです。元々印象のよくなかったところに今回の一件ですから。……個人的には、政府は御剣家に対しての方針を改めるべきかと思います。彼らと手を結んでこそ、真の平和が訪れるのではないでしょうか」
「月野、お前自分が何を言ってるかわかっているのか? 現場を離れて、ひよったんじゃないか」
「巴村さん、お静かに願いますよ。榊原さんの件は、あなたにも監督責任をとってもらうことを考えているのです」
「ちょっと待ってください総理。私は何も知らなかったですし、早々に榊原を逮捕できたのは私の行動が早かったからですよ!」
「西條さん、例の資料を」
「はい、巴村大臣の政治資金収支報告書とその献金リストです。個人献金に魔道具開発研究所の瑞沢恵一の名前が入ってますね。巴村大臣と瑞沢はドロップアイテムの便宜を図ったことの見返りに多額の献金を受け取っています。もちろん、リストに乗っていないお金もですよね? 巴村大臣」
「し、知らん。報告書に問題は無い。西條さん、官房長官ともあろう方が憶測でものを言うのはやめていただきたいですな」
「では、こちらが料亭での写真です。机の上にある大量のお札は賄賂で間違いありませんね。このデータを週刊誌から買い上げるのに一体いくら機密費を使ったと思ってるんですか?」
「そ、その写真は、どこから!?」
「御剣家に対しても、それなりに誠意を見せなければなりません。部下の尻尾切り程度の話ではないのですから」
「だ、誰が、私を嵌めた! 月野、お前なのか? わ、私は無実だ。認めん、絶対に認めんぞ」
「これ以上は結構です。巴村さんを警察に連れていきなさい。それから、この情報を週刊誌に伝えてあげなさい」
既に手を回していた警察官数名が手際よく巴村を逮捕していく。黒川総理はつけ加えるように集められた大臣に言葉を続ける。
「他の皆さんも明日は我が身だと思ってください。勝手な行動で政府の信用を落とすばかりか、週刊誌にまで貸しを作る阿呆は徹底的に排除します」
間違いなく、見せしめなのだろう。今後同じようなことを考えた場合、どうなるかを戒めるためにわざと集めたに違いない。
つまり、黒川総理と西條官房長官はこの中にそういう人物がまだいることを知っているということか。はたまた、単なる可能性の話なのかはわからない。
「黒川総理のおっしゃる通りですよ。月野さんの話が本当であるのなら、我々は御剣家との関係を考え直さなければならない時期に来ているということです」
「閣議はこれにて解散です。あっ、月野さんは少し残ってもらえますか? 少し話があります」
※※※
「……ふんっ、腰抜けめ。黒川と西條はもうダメだな」
「御剣家ごとき島人にいいようにやられやがって情けない」
「しかしながら、Bランク魔法少女三名が相手にならなかったのは確かなのだろう」
「それについては今後調べていく必要はあるだろう」
「巴村は項を焦ったようだが、我々はそんなミスは犯さない」
「ああ、じっくりといこう。準備は整い始めている」
「我々が魔法少女を強化してこの国を守るの日まで」
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