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パラレルワールド ~齢17歳の暗殺者は世界に叛旗を翻す~  作者: ふぁなお
第壱章 「死神の仕事」
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第壱章 [武器庫] 2

「おお、ぉぉおお⁉」

「すすすs、すごいわ‼」

「おぉ……」

 目の前に広がっていたのは計り知れないほど複雑でもの凄い光景であった。

 雲のようにも見える、おびただしい数の白衣を着た研究者。さらにはどんなに見てもなくならない多くの電子的コンピューター、そして厚さ20cmにも及ぶ強化ガラスのケース。見えるだけで100以上、いや1000以上はありそうな研究品。

「やべえな、これ」

「地下ですよね……ここ」

 あまりにもな光景に驚きつつも引きつってる二人の顔が所長にはちょっと悲しいと感じてしまう。

「所長‼‼」

 低めの研究員の声が響く。

「ん? 所長!」

「所長じゃないですか‼」

「おお、鬼我さぁん‼」

 徐々に連鎖していく声の波。広大な地下の研究室と言っていいのか分からないホールが一体感に包まれる。どんどん溢れゆく研究員たちの中、一人の特長的な低めの声が掛かった。

「鬼我(きが)さん、お久しぶりです。お待ちしていましたよ」

「おお、これはこれは、鶴見研究員!」

 その中でさっそうと前に出てきた研究員が一人、名前は鶴見公平(つるみこうへい)。48歳の独身で、標準的な体型の眼鏡のおっさんという感じの研究員だ。特徴的なところは――強いて言えば、なぜか下にアロハ服を着ていることである。

「ご無沙汰だな、どうだい例の研究のほうは?」

「そうですね、結構順調ですよぉ!」

「おお、それは期待できるな! 今後の世界の発展のために頑張ってくれたまえ」

「世界には出せないでしょうよ……」

苦笑いをした鶴見に少々笑いながら、

「まあとにかく、頑張ってくれ!」

「はぁいよ、頑張らせぇて、いただきますぞ!」

 リズミカルに返した鶴見にはセンスを感じる。

 仲の良い会話を交わすこの二人は古くからの友人であり、鶴見は札幌支部の第一研究班の研究責任者でもある。研究機関には第一、第二、第三、第四、第五、までの研究班があり、研究品の難易度や今後の発展、重要性で一から五までの班に分かれている。だからこの鶴見というアロハじじいはいわゆる所長のお墨付き、大袈裟に言えば「PARALLEL」のお墨付きである。

「姉様、あの御方は?」

「ああ、あいつはな、うちの最高の研究員だよ」

 ドヤ顔の我らがお姉様の鬼我京子に、

「何の研究してるんすか?」

 その質問に珍しく少し黙り込み、何か迷う表情で俯くが答えは早かった。

「一応……秘密事項だから漏らすなよ?」

 小声でも強く、お姉様はすかさず言った。

「時間の研究だよ」

「「時間?」」

「タイムマシンですか?」

 硬直した所長に、不思議な顔をするナナ。

「今言おうとしたのに……」

「ははは」

「ナナは空気読めないわよね」

 常識人は苦笑いを浮かべる。

「まあいいわ。そう、タイムマシンなのよ。ようやく実用化してきているのよ、詳細は私もよく知らないのだけれどね」

「タイムマシンってブラックホール使うとか……宇宙ひも使えばできる……? とか聞いてたけど、そんな大掛かりなものあるのですか、姉様?」

「でも、理論上できないって話も俺、聞いたことあるぞ」

「だーから、よく知らないんだよ、でも……最近日本が見つけたとか『なんとか』っていう新たな物質を使えばそれが可能になったんだって感じのことを鶴見は言ってたわ」

 新たな物質、想像すらできない話に少々くらくらするが、それがこの研究機関の事実。もはや時間旅行までもが可能になる高い技術、世界に劣るはずもない。だが、こんなものがあると分かれば世界は変わってしまう。もはや人類は神をも超える領域に来ていることを示す。時間旅行とは本来あってはならないものでもある。そこらへんの倫理観などの関係性がここからの世界の要となると言える。公表するか、否か。答えは出ているとも言えないのである。

「興味深いですね」

 普段から日常のことや世界情勢にも興味のない、ましてはこの世界に入ってきてからも気にするようなことがなかったナナが興味を持った。明日には隕石が落っこちて世界が壊れるような気がしてしまうほどだ。

「まあ、ここはとにかく関係ないから。肝心な武器庫に向かおうか」

 少しだけ怒るような感じの顔をナナは感じる。ただ、人間触れたくないこともある……とナナには理解出来るはずもなく。

「そうですね」

「はい!」

「……」



 三人の一番後ろをゆたゆたと歩くナナ。

 やはり気になってしまい、もう一度鶴見の研究室を見つめ、立ち止まる。

 中には十三人の白衣を纏った男女。知識と努力の結晶が底にはあった。視力4もあるナナの目に、皆が見つめる先にある真っ黒なケースに記されていた文字が見えてしまう。


『TRIAL PRODUTION 06 MADE BY TURUMIGROUP PASSWORD:sytm6m6n68』

 (試作6号機 制作元 鶴見グループ パスワード:sytm6m6n68)


 何か気持ち悪く、不穏な、かつ興奮じみた違和感を肌で感じた。


 一人遅れて合流したナナ。

「どこ見てたのよ?」

「いや、タイムマシンが気になって」

「まあ、すごいよなぁ!」

 いつもより感情が豊かなナナに皆、顔が晴れやかである。

 そして、不意に目の前に何かが現れる。

「お、これは⁉」

 分かっているはずの所長が声を荒げた。

 その先にあったのは、漆黒色の巨大な個体。

 先端は尖り、両側には黒い翼がついてあり、その下にはジェットエンジンが四つ。普通とは違う歪な黒い機体には覇気のようなものが感じられる。

 そう、それの名は『超音速戦闘機(ちょうおんそくせんとうき)』。

 目の前に見えるものは決して戯曲にあるものではない。

 「超音速」という名前の通り、速度は音速をも超える。最高速度は外部からの力抜きでマッハ4、ロケット機にも劣らない世界最速の戦闘機である。実際、1947年に実験機Ⅹ1によってマッハ1を突破後、1953年にはすぐマッハ2に達した。しかし、マッハ3を超えるとなると大気の断熱圧縮によって加速度的に機体表面温度が上昇するため、その速度を超える機体は世界には極僅かである。

 だが、この機体はその温度上昇をチタン合金と炭素などによる特殊コーティングで無害にまで引き上げる。おそらくであるがこれ以外にも、何枚もの特殊装甲に加え、普通には分からない、ありえない高度な技術を駆使しそれを可能にしている。

「いやあ、この説明見ても全然分からないなぁぁ」

「ほんとですよ、姉さん。本当にここの研究ってヤバ過ぎ……」

 またしても引きつった二人に今度は先よりもドヤ顔で、

「まあ、私の可愛い、可愛い、こ、ど、も、たちだからね‼」

 その言葉を聞いたクハは即座に振り向き、

「ね、ね、ねえさまの子供は私だけですよ‼‼」

「いや、お前、姉様って笑 いや、ママだろう、そこ……」

「なによ?」

「いや、なんでも」

 喧嘩を察知し、どこかのトラックのようにすぐに手を引いたゴロ、これは何よりも良い危険察知だ。

「お、これは、似てるな」

 ゴロの目に映ったのは『超音速輸送機』。

 先のものとほとんどの構造は同じだが、現代ではあまり人気なものではない。性能を上げれば上げるほど輸送できる人数は少ないからでもある。また、ソニックブームによる被害、高空での排気ガスがオゾン層に影響を与えるのではないか懸念され実用には至っていない。JAXAと東大のチームが液体水素を燃料とするターボジェットエンジンなどの開発が現在進められている。

「こっちもすげえな」

 小ケースに収めらえている2メートル程度の銃。

『超電磁砲(レールガン)』

 中に装填した小さな鉄の塊がローレンツ力によって音速の三倍以上のスピードで打ち出される。射程範囲は120M。どんな装甲をも貫く最強に近い銃である。

「私これ欲しいかも……」

 後ろに背負っているギターケースを触りながら、願望を口に出す。よほど自分の銃に不満があるのか、よく分からないがもう5年以上付き合ってきた銃なのにそんなこと言ってはいけないだろ、相棒が悲しんじゃうだろう?

「でも、衝撃ヤバそうじゃない?」

 唐突に反応したゴロは的をしっかり射ていた。

 いくら火力があると言って良いものである、と言えはしない。電撃を使って放つときの衝撃で腕がへし折れることもあるこの武器。試作品完成後の実験で火力は申し分ないほどであったが、撃った本人が右腕が衝撃に耐えれなく綺麗に真っ二つ……という話もあるようだ。

「ああ、クハ君の体では四肢が飛んでくんじゃないかな?」

「ぇ! む、ぅぅぅ」

 さすがの神聖な姉様に言われると突き刺さるものがある。

「お、これなんだ?」

 今度は疑問が多き声で、その先にあったのは見た事もないような武器? であった。

『ベクトル変換機』

『スカラー変換機』

 その構造は超機密となっていて、研究員の中でも数人しかその情報を知りえていない上に、先に見せたタイムマシンと同等のセキュリティがなされている超重要そのものの鶴見の後輩が作っている研究品である。構造は不明だがその性能は本物であり、理解しづらいと言う。

 手袋のような、ブレスレットのような、ガントレットのようなものを手と腕に装着して使い、ベクトル変換機はありとあらゆる力の『向き』と『大きさ』を操作する。また、スカラー変換機はありとあらゆる力の『大きさ』を操作する。まさに、どんなものでも持ち上げたり、どんなものでも触れて打ち出せば観測しようもない速さにすることもできる武器、と言っても差し支えないものである。

「見たことねえ、てか、ヤバくね?」

「ああ、これも安全性と危険性を考慮していてな、実際見ることのできるのは私と数人しかいない」

「だよな、チートだぞこれ……」

 そんな次世代、とも言えないようなはるか先の武器や薬などを研究し保管しているのがここの研究機関である。進めば進むほど面白い研究品が存在し、あっという間に時間が深夜2時になってしまっていた。

「おい、そろそろいいかな? もう夜中の2時だ」

「あ、はい。いいですよ姉様」

「はいよ~~」

「ああ」

 長い時間にわたった研究品披露大会は終了し、流れはフェーズ2に移行した。



皆さんこんにちわ!

最近ブクマとpvが増えませんね、そういう時期なのでしょうか? まあ、ごたくは並べず頑張りまーす!

評価、感想、ブクマ待ってます!

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