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パラレルワールド ~齢17歳の暗殺者は世界に叛旗を翻す~  作者: ふぁなお
第壱章 「死神の仕事」
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第壱章[国家機密と秘密保持]2

一時間後


 日を越えた会議がようやく幕を閉じる。

 ナナには組織から莫大な報酬金が支払われた。さらに国のお偉い様方はその功績をとても喜び、さらに多くのお金が支払われた。

「おお、今回もありがとう! 君は私が信頼に足る仕事をしてくれたよ、是非! 今後とも、報酬金はたっぷりもらってくれ!!」

「あ、はい……。」

 興味もなさそうに銀色のジュラルミンケースを受け取るナナ、大きな拍手が彼に向けられた。

 一応、補足として説明しておくと、この組織の報酬制度は一般的な給料支給と変わらない。個人の口座に税金の額分だけ抜かれて一か月分の給料がそのまま振り込まれる仕組み。だが、それ以外にも報酬は存在する。それはスポンサーが払うそれと似ていて、支払われる個々の活躍に応じて額が決まる。今回のように大活躍した分だけ多くの人間から多額な報酬金が支払われる。


 それに比べての二人。

 ゴロには標的一人分の報酬が支払われ、最終的には負けてしまったが、クハを助けようと現場に向かったという勇敢な行動に称賛の声が少々あった。だが、そのおかげであの男の殺害任務失敗についての始末書は免れることになった。

「ふぅ、あっぶねぇ」

 額から冷や汗が流すゴロ、そして最後。

 最悪な結果、この女。

 罰として給料50%カットに加えて報酬金もいつもの1%だけ支払われ、始末書が50枚、さらにはお偉い様方への謝罪文20枚。まさに地獄である。パワハラと言ってもいいのではないかと思ってしまうが、この暗部の組織に常識は通用しない。

「あぁぁ……なんでよぉぉ…………グスッ……」

 小粒の涙を頬に浮かべるクハに対して、批判の嵐だった。

「まったく、自業自得だ。リーダーとし恥ずかしくないのか!」

「ほんとだわ! リーダーは007さんにしましょう!」

「そうだ! 所長! なぜそうしないのですか?!」

 周りからの圧倒的な批判に対し、どんどん凹んでいくクハ。

「まてまて! あの標的はおかしかった! 俺らの手に余る相手だぞっ!」

 その光景を見てすぐさまゴロがそう言った。

「相手が強敵だとしても、任務を成し遂げるのが君たちではないのかい?」

「だけど……」

「それに、膨大な数のセキュリティを抜けてくる人間だぞ! 強くて当たり前じゃないか!!」

「いや、でもっ!」

「言い訳はいらん! 君も報酬金を無くしたいのか??」

「馬鹿かね、君は」

「呆れたぞ新人」

「……」

 意外と、仲が悪いと見えてクハのことはしっかり考えている格好良さがあるが、周りの冷たい目と言葉に負けかけている。少し、情けない。

「まあまあ、落ち着きたまえよ、諸君」

 そこで、ようやく、この人間が口を開いた。

 真夏の室内であるのにもかかわらず真っ白なダッフルコートを着た女性。会議室の一番奥の席で皆を見渡し、肘を机につけ顎を手に乗せているその人。

 サングラスを瞼の上に少し上げ、もう一度口を開く。

「…………この会議室で喧嘩かい? そんなものよそでやってくれ。ここは会議室だ、それに。その男の給料も、その女がすべきことも、我ら「PARALLEL」が決める。口を出すな」

「ぁぁ……、だが! その男h!?」

 頭に光が灯るおじさんの言葉を遮って笑いながらこう言った。

「黙れ、それはこちら側の話。そんなに気に食わないならぁ、報酬金でも減らせばよかろう」

「ふ、ふざけるな!! 渡しているのは私の金であるぞ!」

「だっったら減らせばよかろう、何度も言わせるでない。……それに、暗殺業は我らの領分だ、口出しご無用で頼む」

 無気味な笑いに腰を引かせて、俯く禿げ。

「っち。分かりましたよ」

 そう吐き捨てて、音を立てて部屋を出て行く禿げ。これが世の中のお偉い様なのかと思うと先程のゴロよりも情けなく思ってしまう。

「ふ……これは少々失礼した。では会議はこれにて解散だ、次の会議は来週末だ。よろしく頼むぞ」



 誰もいない会議室にて。

「姉さん! 大丈夫なんですかぁ? あんなこと言って……」

 ゴロが疑問を口にする。

「姉様、申し訳ございません。本当に御迷惑を……」

 先ほどまでの凹み具合をかき消すかのように、お嬢様のような態度でクハは言った。

「ん、いいさ。気にするなよ、私の可愛い妹、弟たち」

「でも、私のせいで……」

「まあ、分かっているならいいさ。現場では的確かつ迅速な判断を。そうだろ、ゴロくんも」

「あ⁉︎ はい‼︎ 俺もすみませんした、姉さんっ!」

 いつもの陽キャ感がまるでなくなったゴロは頭を深く下げる。

「俯くなよ元気くん! 君はもっと明るくぅ、そうだろぉ?」

 笑いながら肩をたたく所長、そんなお姉さん感に一切反応もしないで、席でスマホを見ているナナを向いて言った。

「よし、ナナ君にも朗報だぞ!」

 その言葉にすら反応をしないナナ。

「また聞いてないわね、ナナったらいつも暗いし、何を考えているかわからないのよねぇ」

「まあ、強さは本物ですけどな」

「ははは、これこれは私も忙しいなぁ!」

 感情の分からない高笑いに少々顔が引きつる二人。

「ナナ君! 武器を新しくしてあげよう!!」

 ……

   ……

      ……。

 数秒の沈黙の後。

「あ?」

「へ!?」

 その一言と同時に二人。

「え?」

 いや、三人が驚愕の表情で振り向いた。



 お久しぶりです、fです!

 先日は日間13位にになり、ほんと励みになりました!

 でも、まだまだなので!

 これから頑張ります!!

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