行間五 「ゆりの日記3751」
行間5 「ゆりの日記3751」
私は恐らく、もう死ぬでしょう。
理由は、彼なら知っているかもしれません。
だから、この「日記その一〇」を彼に渡してください。
彼は後悔しているでしょう。
勿論、私も後悔しています。
もっと、心を教えていれば、こんな結果にならなかったかもしれません。
言葉も知らないで、気持ちも伝えられないで、大人に使われて。
可哀そうな彼が愛おしくてたまりません。
裏の世界で、それが普通のことだと思っていた彼が悲しそうでなりません。
なぜ、人間は知らない人間を都合がいいように使うのでしょう。
親に見捨てられた人間は、愛を知りません。
生きることの意味を知りません。
死ぬことの意味を知りません。
もしも、チャンスがあるのなら私が絶対に助けに行きます。
絶対、絶対、絶対。
君の隣がすごく嬉しくて、辛かったです。
十年間、ともに歩んだ道が、振り返ると長いようでとても薄い。
すべては、世界と――私のせいです。
彼は何も悪くありません。
みんなのように、楽しい人生を送ってほしかった。青春してほしかった。
それは、もう叶わないのかもしれません。
でも、これを読んだ君には……伝えたい。
『無神ゆり(し)は無神クロ(み)を愛しています。』
どうか。
他の世界の私に向けて、この言葉を送ります。
永遠の幸せを、可哀想な少年に。
これは、物語の前日談。
彼の命は彼女が残した唯一の希望です。
あの手紙の最後、ヒントはそこに隠されています。
読んでいただきありがとうございました。
最初はここで終わらせようと思っていました。
でも、僕ってバットエンド嫌いなんですよ。だから、やめました。
この先こそが彼の物語なんじゃないかなって思って、先を書くことにします。
バットエンドとも捉えられて、ハッピーエンドでもあるような不思議で綺麗な作品をこれからもよろしくお願いします。




