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一時的な共闘

最近ヒーローものも書き始めました!

「正義の方程式」

 かつてヒーローに助けられた少年がヒーローの活動を追っている内に悪の組織のボスになっていた話です。興味がありましたら是非読んでみてください。

 久しぶりの再会をよろこぶ速見達を見ながらクレアは嬉しそうに目を少し細めた。


「いやー、良いモノね血はつながっていなくても心がつながっている親子なんだもの」


 そっと呟かれたクレアの言葉に応えるは側の机の上にちょこんと腰をかけたミニチュアの骸骨・・・元魔王のパイシスだ。


「・・・ふん、お前みたいな化け物にもそんな感情があるのか?」


「化け物とはずいぶんな言いぐさね。人外度合いではアナタも負けてないと思うけど?」


 クレアの言葉にパイシスは首を横に振る。


「そう言う意味じゃない。確かに私は魔王だった・・・そして死んでも尚真理の探求を重ね、知識を磨いてきたこの私にすらお前の底が見えない・・・これを化け物と言わずして何と言う?」


 パイシスの言葉に無言で笑みを浮かべるクレア。それを確認してため息をつくと、パイシスは言葉を続けた。


「なあクレア・マグノリアよ。今回の目的は何だ? まさか本当に馬鹿弟子に会いに来ただけじゃないだろう」


「うふふ、そうね。アタシがここに来た理由は・・・まあ全部は教えてあげないけどマルクくんの側にアナタがいるかもと思った事も要因の一つよ」


「・・・やはりな。で? 私を完全に滅ぼしに来たのか? それなら無駄なことだ。長き時をかけて小細工を仕掛けてきた私は完全には滅ぼせんよ。今此処で私を殺そうともまだ別の方法で復活してみせる」


「別にそんな事はしないわ・・・少し取引に来たのよ」


「取引だと? 力を貸せという話なら前に断った筈だが?」


 すげなく断ろうとするパイシスにクレアは少し迷ったような表情を見せた後にぽつりと言葉を漏らした。


「・・・”命の宝球”が勇者の手に渡ったわ」


 クレアの言葉を聞いてパイシスは信じられんとばかりにクレアの顔を見上げた。


「・・・・・・それは確かな情報か?」


「ええ、アタシの信頼できる部下二人が目撃したわ。困ったわよねーこのまま放置してたら世界滅んじゃうかもよ?」


 その言葉にしかしパイシスは首を横に振った。


「・・・例えそうだとしても私がお前に協力する道理は無い筈だ。何故なら私は魔王なのだから」


「いいえ、それは違うわパイシス。アナタはとっくに魔王なんかじゃない。ただの生き汚いエルダーリッチよ。数千年前に死んだくせにいつまで魔王気取りでいるつもりなのかしら?」


「・・・何が言いたい?」


「アナタは自分の目的を見失っているのではなくて? アナタはとっくに死んで魔王という責務から解放されている筈なのにいつまでも自らその鎖に捕らわれている。今のアナタの目的は、望みはその魔法技術の伝承にあるのではないの?」


 クレアの言葉を聞き、パイシスはゆっくりと振り返って家族の再会を喜んでいる自らの弟子の姿を見た。


「今世界が滅んだら確実にアナタの魔法は伝承されないけれど?」


「・・・・・・吐き気がするほど癪な話だが、どうやらお前の言うことは正しいようだ」


 クレアに向き直ったパイシスはその虚ろな眼窩に浮かんだ炎を滾らせて彼女を睨み付けた。「お前の傘下には下らん。・・・だが一時的に知恵は貸してやろう」


「ええ、それでいいわ。よろしくねパイシス」






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