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精霊術の秘奥

 駆ける

 駆ける

 駆ける。


 足場の悪い森の中を、風のように滞りなく駆けていくミル。


 森の民である彼に取って、木々に囲まれた森はまさにホームグランド。スピードそのものはウィリアムの全速力に劣るモノの、遮蔽物を回避するその技術は見事で、通常では考えられないほどのスピードで魔王城の元までたどり着いた。


(急がなくては・・・・・・いくらハヤミ殿の射撃技術が優れているとはいえ、矢の本数に限りがあっては、そう長くは持たない)


 そびえ立つ魔王城の巨大な扉に手をかけようとし・・・背後から近寄る何者かの気配を察知したミルは、サッと飛び退いて戦闘態勢を整えた。


「あら、侵入者に気づかれてしまったわデルタ」


「あぁ、そのようだねラムダ」


 可愛らしい少女の声。


 木々の暗がりから姿を現したのは、姿のよく似た二人の少女。


 金のロングヘアーをした少女は、黒のドレスを身に纏い、右手にはその可愛らしい姿に見合わない禍々しい装飾の施された大鎌を握り締めている。


 その隣にはシックな執事服に身を包んだショートカットの少女。彼女は薄らと微笑みながら、両手にそれぞれ握り締めた刀身の細い剣をビュンと素振りする。


 二人の少女は、立ちふさがるかのように扉の前へと移動した。


「・・・・・・可愛らしいお嬢さまがた、そこを通してはいただけませんか?」


 ミルの問いに、少女達はクスクスと笑い声を上げる。


「答えはNOよ。ねぇ、デルタ」


「その通りだよラムダ。あぁ、全くその通りだとも」


 小馬鹿にしたようにそう答える少女達に、ミルはスゥっと大きく息を吸い込んだ。


「・・・・・・子供と戦う趣味はありませんが・・・仕方が無いですね。私はどうしてもその扉の先へ進まなくてはならない、故に・・・」


 懐から植物の種を取り出し、地面にバラバラと撒く。


 力ある言葉を素早く唱えると、急速に成長した植物の蔓が、まるで威嚇をするかのようにユラユラと大きく揺れる。


「少しだけ、精霊術の秘奥をお見せしましょう」


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