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迎撃


「・・・・・・イプシロンがやられたようだね」


 ポツリと呟いかれた魔王サジタリウスの言葉に、隣りに控えていたトパーズが反応した。


「デルタとラムダを向かわせます。お待ちを」


 しかし、魔王はその言葉に対し首を横に振る。


「侵入者の実力が未知数だ。イプシロンがこんなにあっさりやられたのなら、あの二人では荷が重いだろうね・・・・・・トパーズ、君がいってくれるかな?」


「よろこんで、親愛なる魔王様。この私が侵入者を灰にしてみせましょう」


「うん、ありがとう。デルタとラムダには城の警備を任せるよ・・・・・・そして」


 魔王はゆっくりと立ち上がり、玉座に立てかけられていた一張の弓を手に取った。


「久しぶりに面白そうな相手だ。私もここから援護をするとしよう」


 静かに開かれた魔王の右目。それは見るモノを魅了する妖しげな赤色が灯っていた。


 トパーズは、其の妖艶な光を見て、何かを悟ったかのような表情で深く深く頭を下げ部屋を後にする。


 去りゆくトパーズの背を見送った後、魔王サジタリウスは弓を持って玉座の背後へと移動した。


 玉座の背後にある質素な扉を開くと、そこは城下を一望できる開かれた見張り台のような場所に繋がっている。


 魔王サジタリウスはその中央に仁王立ちすると、弓を持った左手を肩の高さまで持ち上げた。


「・・・さて、この一射に対応できるかな? 異世界からの来訪者よ」


 空だった右手にどこからともなく一本の矢が出現する。ソレをゆっくりと番えキリキリと音を立てながら弓を引く。

 鏃を空に向け、魔王サジタリウスは狙いを定めながら、流れるような洗練された動きで矢を虚空に放つ。

 音もたてず、通常ではありえないほどの速度で飛んでいく矢を見据え、魔王はその顔に薄らと柔らかな笑みを浮かべるのだっった。




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