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新手

「いやあ、俺も色々な地を旅してきたが本物の森の民は初めて見た」


 ウィリアムは興味深そうにミルを観察する。


 人によっては無礼だと捉えられかねないその行動を、当のミルはニコリと爽やかに対応していた。


「それはしょうがない事です。森の民の集落には結界が張ってありますからね。尋常な存在ではたどり着くことはかないません」


「へえ・・・・・・そう言われると是が非でも自力でその結界を突破したくなってくるな」


 ミルの言葉の ”尋常な存在” という言葉に引っかかりを覚えたのか、ウィリアムはその精悍な顔に獰猛な笑みを浮かべた。


 魔王を倒し最強の称号を手にすると豪語する彼にとって、”無理” や ”無茶” は乗り越えるべき対象なのだ。


「無駄口はそこまでだぜ、そろそろ魔王領に入る。まあ、千里眼を持つ魔王サジタリウスが相手とあっては、距離なんて関係が無いかもしれんがな」


 3人は魔王城へ向かっている。


 色々と策を考えてはみたものの、数が少ない上に相手が千里眼持ちと合っては奇襲も出来ず、結局の所正面から戦う以外無さそうであった。


 出発前に情報収集を行ったが、どうやら魔王サジタリウスは、歴代の魔王の中でも変わり者らしく、自身の軍団を持たず、その千里眼と数名の側近だけで魔族を統治しているらしい。


 確かに千里眼と優れた遠距離の武器があれば個で軍を圧倒することも可能・・・・・・それは速見自身が、かつてアヴァール帝国の軍団相手に体現している。


(しかし妙だな・・・魔王はいつ仕掛けてくる? 千里眼を持っているんだ・・・・・・俺達の行動なんて筒抜けの筈だが・・・)


 速見の千里眼は所詮紛い物。全てを見透かすとはいえ、その視認距離には限界がある。しかし、一説によるとオリジナルの千里眼の使い手、魔王サジタリウスは世界全てを見透かす事ができたという。


(千里眼の精度で勝てるわけも無い・・・・・・しかし、少しくらい仕掛けても構わないか?)


 そう考え、速見は千里眼を発動しようとし、横で歩いていたウェルターに突き飛ばされた。


「ッッ!? テメェ何を・・・・・・」


 文句を言おうとした次の瞬間、先程まで速見が立っていた場所に何かが飛来した。


 モウモウと土煙が舞い戻る中、姿を見せたソレは嬉しそうにその口を歪ませた。


「ハッハァ!! 侵入者! 侵入者だな? お前達ぃ! おいおいおい、侵入者なんて何十年ぶりだよおい!!」


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