表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

205/234

握手

「初めまして、ギルドの依頼を見たよ」


 すまし顔で近寄ってくる男。フレンドリーに差し出された右手を、速見は警戒しながら握りしめた。


 其の瞬間、男がニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


 握り締めた男の右手から伝わる尋常ならざる力。明らかに握手の力ではない。一般人なら拳が潰れていてもおかしくない・・・・・・。


(試しているのか? この俺の力を)


 わからない。


 しかし、このまま舐められているのも癪だった。


 速見は神経を集中させ、万力を込めて握り返した。容赦はしない。手から伝わる力が、目の前の男に対して手加減が必要ない事を知らせていた。


 互いの力量を測るように万力で締め付け合う二人。たらりと一筋の汗が速見の額から流れ落ちた。


 魔族の力を持ってしてなお、目の前の男の力は計り知れない。


(・・・コイツ、本当に人間か?)


 速見の手の骨が、ミシミシと悲鳴を上げ始めた頃、男はパッと手を話した。


「おっと、済まなかったな。合格だ、流石は魔王を討伐しようとするだけの事はある・・・・・・俺の力とこれだけ張り合える奴は久しぶりだ」


「・・・いい加減にして欲しいね。魔王と戦う前に手が折れちまうとこだ」


 速見が皮肉を言うと、男は悪戯っ子のような表情で肩をすくめた。


「この程度で手が折れるなら、もとより魔王討伐など無理だ」


 正論だった。


 速見はニヤリと口角をつり上げる。


「人間のくせにノコノコと魔王討伐に名乗り上げる命知らずの名前を教えてくれるか?」


 その言葉に男は無骨な笑みを浮かべながら再び手を差し出した。


「俺の名は ”ウィリアム・J・ビルドゥ” 。魔王を討ち滅ぼし、いずれ世界最強と呼ばれる男さ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ