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戦力差 3

 速見の声を聞き、ハッとした表情で空を見上げるミルとトパーズ。そして視界に入ったのは速見とミルに向かって音も無く飛来する何かの影が二つ。


 ミルは俊敏な動きで回避を試みる。一方、飛来物を目視したトパーズは何やら複雑そうな表情を浮かべてポツリと呟いた。


「・・・・・・そういう事ですか、我が主人よ・・・」


 そしてブルリと首を横に振ると、飛来物に気を取られている速見とミルを放置してトパーズは駆けだした。


 先に飛来物に気がついていた速見は、素早く安全圏に移動した後、トパーズに動きに気がつく。彼が駆けだした先、その先にあるのはブルブルと震えている、幼い少女の姿。


「ノア!?」


 トパーズの動きを妨害しようと矢を射るが、トパーズは自身の肩に突きささる矢を気にもとめずにノアに向かって突進すると、その小さな体を右脇に抱え込んだ。


 くるりと身を翻し、速見に向き直るとトパーズはギリリと歯を食いしばりながら声を上げた。


「・・・非常に不本意な結果だ。本来ならば貴様ら二人を叩きのめし、悠々とこのガキを攫うつもりだった・・・・・・。だが、我が主人が介入してきた以上、猶予はもう無い。悪いが我が使命を最優先にさせてもらう」


「・・・逃げるつもりかテメエ」


 速見の言葉に、トパーズはその表情を怒りに染めた。


「勘違いするなよ? 貴様らは命拾いしたのだ。寛大な我が主人に感謝するが良い・・・・・・、そしてこの俺は貴様を許した訳では無い。追ってこい。しからば心置きなく貴様を殺してくれる」


 そしてトパーズは泣き叫ぶノアを抱えたまま、空高くへと飛び上がった。そのスピードは凄まじく、今の速見に追いつくことは不可能だった。


 悔しさのあまり歯を食いしばる速見。そんな速見の元へミルがやってきた。


「・・・役に立てずすまないハヤミ殿・・・・・・そして、空から振ってきたモノを見て欲しいのだが」


 ミルの言葉に、先程空から飛来したものに視線を向ける速見。そこには、大地を深々と抉る鉄製の二本の矢が禍々しい存在感を放って存在していたのだった。


「・・・・・・魔法サジタリウス。千里眼を持つ史上最強の狙撃手・・・・・・」






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