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森の民 3

「・・・何から何まですまないなミル。生憎今の俺には何も返せそうにないが・・・」


 当たり前のように食事を運んできたミルに、速見はすまなそうな顔をして頭を下げた。


「気にしないでください速見殿、何も私は見返りが欲しくてやっているわけでは無いのだから・・・・・・それに、あんな簡素な武器でグレードベアと戦うなど、何か深い訳があるのでしょう?」


「そうだな・・・・・・何から話せばいいのやら・・・」


「無理に話さなくてもいいです。今は体を治す事に専念してください」


「・・・・・・助かるよ。ありがとう」


「どういたしまして。では私は失礼します。精霊の加護があらんことを」


 パチリとウインクをして部屋から去って行くミル。速見の体調を気遣ってか、ノアは里の年老いた森の民が面倒を見ているそうだ。


 彼が運んできた木製の椀には、どうやら豆のようなモノが煮込まれた薄茶色のスープが入っているようだった。


 まだほんのりと暖かいそのスープを一口すする。


「・・・・・・まあ、マズいってこたあねえが・・・・・随分と薄味なスープだな」


 森の民が塩を使う習慣が無いのか、それとも体が弱っている速見を気遣ったのかはわからないが、豆が煮込まれたスープにはほとんど味付けがされていなかった。


 しかしまったく手が加えられていないという訳でも無いようで、素朴な豆の味の奥に、ふわりと何か香料のような風味が香った。


 マズいわけでは無いのだが、少し物足りない。しかし腹を満たせるだけありがたかった。


 薄味のスープをのみながらのんびりしていると、急に速見の右目が激しい痛みに襲われた。あまりの痛みに、思わず手にしていた木製の器を落としてしまう。


「・・・ッツ!? なんだこの痛み・・・」


 やがてたらりと右目から一筋の血が流れる。


 脳がオーバーヒートしているような感覚。この感覚は、覚えがある。千里眼の能力を使いすぎたときの・・・あの、感覚・・・。


「・・・・・・!?」


 カッと右目が開かれる。本人の意志とは関係なく強制的に発動される千里眼。そこに写されたのは・・・・・・。


「やべえ!?」


 バッとベッドから飛び起きた速見。彼は慌てたように部屋から飛びだすのだった。




 


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― 新着の感想 ―
[良い点] すっごくスナイパーしてる感じがあって好きです。続きが気になる作品でした。好きです。 [一言] 旅してないな...って思ったら、いろんなところに飛ばされててやっぱ旅してるなぁって思いました。…
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