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されど魔王 3

「ハァアアァ!! ”サンダー・ランス”」


 気合い一閃。


 エリザベートが、今彼女が持つ最強の突破力を持つ魔法を放つ。同時に展開された三つの”サンダー・ボルト”の魔法が一つに束ねられ、一本の槍を形成、放たれた雷の槍は、崩壊した壁から覗く道化の集団を串刺しにする。


「防御は任せた!!」


 雷が焼き払ったほんのわずかな隙間に、するりと剣を構えたアンネが踏み出す。


 銀の刃がクルリと閃き、道化達を切り裂いて道をこじ開ける。しかし相手は魔王、すぐさま体勢を立て直し、アンネに目がけて無数の火球が放たれる。


 再び隙の無い全方位攻撃。しかしアンネの側に駆け寄ったマルクが、地面に手を当てて魔法を展開する。


「”ボーン・シールド”」


 ニョキニョキと地面から生えだした骨の壁が、無数の火球を防御する。


「走れ!!」


 アンネの掛け声で、後方にいたエリザベートとカテリーナも駆け出す。


 こんなギリギリの攻防は長くは続かないだろう・・・。しかし、ただ黙ってやられるわけにもいかないのだ。


「ふほほほホ!! そんな破れかぶれが、いつまデ続きマスかねェ!!」


 狂ったように笑う魔王ジェミニ。


 馬鹿の一つ覚えのように再び同じ攻撃を仕掛けてくる。


 魔王は知っているのだ。


 一見単純に思えるこの攻撃こそが、最も攻略の難しい難攻不落の戦術であると。


「次、いけるか!? カテリーナ!!」


 半ば叫ぶように問いかけたアンネに、青ざめた顔のカテリーナは小さく頷き、皆を守る為に奇跡を行使する。


「”プロテクション”」


 防護の奇跡 ”プロテクション”。


 薄い光の膜が皆を覆い、火球の攻撃を遮断する。


 マルクの ”ボーン・シールド”とは性質が異なる。神の奇跡による完全防護。カテリーナが奇跡の行使を終了するまで、プロテクションの防護壁は破られる事などない。


「・・・すいません皆さん、連続して奇跡を使い続けたせいで・・・この防護もあと数秒で解けます」


 カテリーナの言葉に、皆は無言で頷く。


 この中で最強の突破力を持つエリザベートが、プロテクションが解けた瞬間に魔法を発動できるように体勢を整える。


 しかし次の瞬間、ビリビリと大気を振るわすような獣の遠吠えが戦場に響き渡った。


 困惑した表情を浮かべるアンネ。しかし対照的に、マルクは何かを悟ったかのようにパッと表情を明るくした。


「タロウ!!」


 宙に躍り出る白狼。


 その背に乗るは、木製の杖を掲げた少女・・・シャルロッテだ。


「カテリーナさん!! プロテクションはそのままでお願いします!」


 苦しそうな顔で頷いたカテリーナを確認すると、シャルロッテは杖を頭上に掲げて特大の魔法を展開した。


「”メガ・ファイア・レイン”」




 

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