総力戦 4
「”ボーンアロー”」
スッと骨の手をかざした魔王パイシス。高速で構成されたオリジナルの攻撃魔法が化け物を襲う。
凄まじいスピードで射出される骨の矢。
しかし化け物は意に介さないとばかりに腕を軽く振るう。呆気なく宙で粉々に粉砕された骨の矢。だが魔王パイシスの攻撃は終わらない。
スッと頭上に掲げられたパイシスの右手。パチンと指を弾くと、彼の周囲に宙を埋め尽くす程の骨の矢が出現する。
「単純に数を増やせば強いという理論は下品だが・・・真理でもある。一本の矢が二本になるだけで単純に威力は二倍だからな」
次の瞬間、パイシスの周囲に待機していた矢が一斉に放たれる。
視界が埋まるほどの密度。逃げ場など無い。
しかし相手は魔神の力を持つ存在。この程度で絶命するなどパイシスも考えてはいない。これはただの小手調べ、そして時間稼ぎだ。
事前に地面に刻まれていた巨大な魔方陣。その一端に手をかざすパイシス。ありったけの魔力を魔方陣に流し込み、大規模な魔術を発動する。
「”ボーンコロシアム”」
メキメキと音を立てて地面から無数に生えてくる巨大な骨。それらは複雑に絡まり合い、魔方陣を覆うようにドーム型を形成した。
ドームの中には先ほどの攻撃でわずかにダメージを負った化け物と、この魔法を発動した本人である魔王パイシス。そして・・・・・・。
「ご苦労、魔王パイシス。疲れただろう? あとはアタシに任せて休んでいてもいいのよ?」
さらりと流れる紫の長髪、しっとりと紅く濡れた形の良い唇に歪な笑みを浮かべ、戦闘態勢に入ったクレア・マグノリアが化け物をヒタと見据える。
「おっと、私も忘れて貰っては困りますね」
そしてその隣に佇むは人類最強の男。
”騎士の中の騎士”
”史上最強の男”
アルフレート・ベルフェクト・ビルドゥがすらりと太陽の聖剣を引き抜いた。
全ては最大戦力をもって、確実に化け物を殺すために。




