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総力戦 3

 ギョロリと、大きく見開かれた化け物の瞳がマルクを見据える。ゾワリと、マルクの背筋に怖気が走った。


「避けろマルク!!」


 背後からハヤミの叫び声が聞こえる。


 次の瞬間、いつの間にか目の前に迫っていた化け物の顔面が視界いっぱいに広がる。


「・・・・・・え?」


 あまりの急な出来事に思わず硬直してしまうマルク。カパリと開かれた化け物の巨大なアギト。ぬらぬらと唾液で濡れた牙が、目の前の獲物を捕食せんと進撃し・・・マルクの背後から放たれた光の弾によって、化け物の体ははじき飛ばされた。


「引きますわよマルク!」


 駆けつけたエリザベートが、硬直しているマルクを小脇に抱えて戦線を離脱する。食事を邪魔された化け物が、逃がすまいと体勢を立て直すが、追撃の光弾が、化け物の大きな右目を撃ち抜いた。


 大声を上げてのたうち回る化け物を、右目を撃ち抜いた本人である速見は冷酷な視線で観察していた。


「・・・準備は出来たかシャル?」


 速見の言葉に、隣で待機していたシャルロッテがコクリと無言で頷いた。


「思い切り吹き飛ばしてやんな」


 速見の言葉と同時に、シャルロッテは杖を構える。


「”メガ・ファイアボール”」


 ありったけの魔力を込めたシャルロッテの炎呪文。威力的には広範囲殲滅魔法の ”ヘル・ファイア”には劣るものの、今回の目的は敵を殺すことではなく・・・とある場所に吹き飛ばす事。


 圧縮された炎の塊が、地面でのたうち回っている化け物に着弾。その体を大きく吹き飛ばした。


 炎に塗れた化け物の向かう先、そこに待ち受けていたのは地面に刻まれた巨大な魔法陣。


「・・・強大な力を持ちながら、それをまともに扱えない存在とはこうも哀れなものなのか」


 満身創痍の化け物が顔を上げる。視線の先にいたのは漆黒のローブを身に纏った骸骨があぐらをかいている姿・・・。


 骸骨・・・力を取り戻した魔王パイシスが、面倒くさそうにゆっくりと立ち上がったのだった。



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