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総力戦 2

 二人の放った攻撃魔法 ”サンダーボルト”。二方向から放たれた偽りの雷が化け物の体を貫く。


 しかし二人の攻撃はまだ終わらない。エリザベートが右手に握った、スラリと伸びた細剣を巧みに操り、化け物の両足を切りつけた。足を傷つけられ、体勢を崩した化け物に向かって、マルクが腰に下げていた肉厚の刃を引き抜く。


 グラディウス。


 短剣の小回りと大剣の重量を兼ね備えた異形の剣。


 マルクは振り上げたグラディウスを思い切り振り下ろす。肉厚の両刃剣が向かう先は、先ほど騎士アンネによって傷つけられた化け物の首筋。


 反撃など考えない。剣の型など知ったことではない。


 マルクはただ全力でグラディウスを叩き込む。


 すでに負傷していた化け物の首は、鈍い音を響かせて見事に両断された。ころりと地面に転がる首と、それを見つめて肩で荒い息をする。


「終わった・・・のか?」


 多対一で奇襲を仕掛けたとはいえ、あまりにも呆気ない終わり方。話しに聞いていた強大な魔神の力からすると、早すぎる決着にマルクは困惑する。


「気を抜くなマルク!! まだ終わってねえぞ!!」


 背後から聞こえるハヤミの声。そして飛んできた光の弾が、首を失ってなお直立していた化け物の体を吹き飛ばす。


 光の弾に数メートル飛ばされた体は、しばらくして急にむくりと起き上がった。固唾を呑んでその様子を見つめる一同。次の瞬間、化け物の切断された傷口が超再生を始める。


 ボコボコと音を立てて再生されていく首。その様子を見たエリザベートが呆れたような声をだした。


「一部のモンスターが持っている超再生能力ですわね・・・まあ、首を切り飛ばされても再生するなんて馬鹿げた話しは聞いたことありませんが。どちらにせよ、もう人間ではありませんわ」


 首を再生し終えた化け物が、新たな首の感触を確かめるようにゆっくりと首を回す。そしてギロリと襲撃者の姿を見ると、その口を大きく開いた。


 咆哮。


 ビリビリと大気を振るわせるその咆哮は、まさに人間のものではあり得なかった。




 反撃が


 はじまる。

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