邂逅
バタンッ、と乱暴にドアが開かれる音が、部屋中に鳴り響いた。
しかし、部屋の主であるクレア・マグノリアは、突然の乱入者に対して気にする様子も見せずに、椅子に腰掛けたまま読書を続行している。
顔すら上げずに部屋に入ってきた人物に呼びかけた。
「やあ、しばらくぶりね下僕。ドウしたのかしら? ずいぶんと不機嫌そうだけれど」
「・・・・・・こっちを見もしないで俺が不機嫌かわかるのか?」
「わかるわ。だって、アタシとお前の魂はリンクしているのだから」
そう言って、悪戯っ子のような表情で、チラリと視線を上に向けるクレア。その先には憮然とした表情の速見がいて・・・予想通りの光景に、クレアはまた微笑むのだった。
「それで? 戻ってきたということは、仕事は終わったのかしら?」
クレアの問いに、速見は不機嫌そうに頷きながら口を開く。
「ああ・・・・・・終わったぜ。多分あんたの思惑とは違う形でな」
その言葉に、クレアは少し首を傾げた。速見は小さなため息をつくと、開いたままのドアに向き直り、外に向かって声を出す。
「入ってこいよ」
部屋に入ってきたのは髪の長い女性。その瞳は静かに閉じられており、首からは荘厳な装飾の施されたアミュレットが下げられている。
「・・・・・・初めまして、ミス・マグノリア」
その声は、声量こそ小さいモノの、スッと耳に染みいるような心地よいモノであった。
「私の名はフィエゥ・・・・・・死のアミュレットの守護者です」




